高性能林業機械・コンテナ苗を活用した低コスト育林に向けた実証試験
キーワード:コンテナ苗、低コスト、機械、造林、植付、下刈り、高性能林業機械
1 開発目的
低コスト造林と造林作業の負担軽減のため、1.高性能林業機械等を活用した集材・地拵え・植付・下刈りと、2.植付時におけるコンテナ苗植栽の実証を行う。
2 成果の概要
- 植付及び保育作業における機械化はこれまで試みられることがなかったが、実用化に向けた課題を把握することができた。
- 自動耕耘植付機の耕耘・植付・てん圧モードの場合はコンテナ苗1本当たりの平均時間は34.5秒、植付・てん圧モードの場合は30.6秒であった。試算では1,000本/日となる予定(現状では200本/日)。苗詰まり、センサーの誤作動等が課題。(写真1)
- 立乗型刈払機(5cm程度の雑灌木を破砕。傾斜35度まで可能。オペレーターは常時水平)の功程は1時間当たり0.1ha。(写真2)
- コンテナ苗は、成長量において従来の裸苗に比べ同等であり、植付時期が春と秋だけに限定されないという利点から重要なツールとなることが期待される。


写真1 改良型コンテナ苗自動耕耘植付機写真2 立乗型刈払機(刈幅150cmタイプ)
(開発者:森林総合研究所)

写真3 立乗型刈払機(刈幅60cmタイプ)
3 成果の詳細
- ロングリーチグラップル(リーチ長20m)を用いた集材(木寄せ)の功程は時間当たり3.47m3。また、地拵えはhaあたり1600分で約5.3日/ha。(写真4)
- 植付器具による功程の違いについては、鍬で普通苗は527本/日、プランティングチューブ(以下PT)でコンテナ苗は450本/日、鍬でコンテナ苗は568~697本/日となった。培地(根鉢)が壊れたコンテナ苗などがあったことがこのような結果となった。
- コンテナ苗の活着率はいずれも90%以上であった。枯損の主な原因はイノシシによる踏み荒し等である。
- タノアカ(在来種)のコンテナ容量・培地別の成長量について、培地50:50(ココナツハスク:土)でコンテナ容量が250ccのものは根元直径、樹高ともに良好な結果であったが、これ以外のコンテナ苗の成長量は裸苗と同程度であった。
- タノアカ(在来種)と精英樹の成長量の比較については、タノアカと有意差がみられる精英樹はなかった。これはそれぞれの個体数が10本前後であったためと考えられる。

写真4 ロングリーチグラップル

図1 容量別・培地別の樹高の推移(タノアカ)
比率は、ココナツハスクと土の比率
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:九州森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:森林総合研究所九州支所、林木育種センター九州育種場
- 実施箇所:去川国有林256い林小班内(宮崎県宮崎市)
- 開発期間:平成21年度~平成26年度
- お問合せ先:九州森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0985-82-2211)
5 参考情報
[九州森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告・実施報告(H21~25)(PDF : 7,955KB)