シカネット設置後の効果検証及び被害の傾向と対策調整
キーワード:シカ防護柵、ツリーシェルター
1 開発目的
シカネットの効果を最大限維持するため、シカによる破損や侵入状況を調査し、シカネットの改良、設置方法、管理方法について検討する。
2 成果の概要
- シカネット張り方式別に、資材、設置、点検及び下刈りコストを比較すると、総コストの高いものから順に、ツリーシェルター(2,000本/ha)、垂直張りシカネット、寝かせ張りシカネット、斜め張り(人工支柱)シカネット、斜め張り(立木使用)シカネットとなった。(図2)
- 垂直張り2.4m(0.6mスカート付)は、スカートによりシカ等による潜り込みによるピン抜けが少なく、スカート部分に雑草が繁茂して安定感があり、資材価格は高いが最も有効である。但し、ピン間隔を1m以下とする必要がある。

図1 シカネット別効果等試験実施体制

図2 シカネット張り方式別コスト比較
ツリーシェルター以外は下刈りが必要であるため、同額の下刈りコストを計上している。また、点検コストは全て同額として計上している。
3 成果の詳細
- 資材及び設置コストを比較すると、総コストの高いものから順に、ツリーシェルター(2,000本/ha)、垂直張り、寝かせ張り、斜め張り(人工支柱)、斜め張り(立木使用)となった。(ツリーシェルター以外はすべてシカネット)(図2)
- 斜め張りは破損があっても結束バンドで短時間で補修でき、資材価格も安く、シカの侵入もなかったことから、引き続き検証を行う。
- 寝かせ張りは、シカがネットを踏むことをいやがることで侵入を防げるという効果を期待したが、ネットを超えて進入し効果がないことが判明した。
- 垂直張り1.8m(スカートなし)はイノシシ等の潜り込みによるピン抜けが発生し、シカの侵入に繋がるため、設置時にピン間隔を1m以下とする必要がある。
- 垂直張り2.4m(0.6mスカート付)は、スカートにより潜り込みによるピン抜けが少ないことに加え、スカート部分に雑草が繁茂して安定感を増していく。資材価格は高いが最も有効である。但し、ピン間隔を1m以下とする必要がある。
- ネット設置後の侵入防止効果を高める上で、定期的(1ヶ月程度)、台風、大雨後の巡視による維持管理が重要であり、簡単なネット破損には結束バンドで補修し、巡視の際に発見した侵入口を石や丸太で塞ぐ簡単な作業でも侵入防止効果は非常に高いことが分かった。

図3 獣によるネット設置後の被害状況
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:九州森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:西都児湯森林管理署尾鈴国有林(宮崎県児湯郡木城町)、熊本森林管理署吉無田国有林(熊本県上益城郡御船町)、熊本南部森林管理署高仁田国有林(熊本県人吉市)
- 開発期間:平成28(27)年度~平成29年度
- お問合せ先:九州森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0985-82-2211)
5 参考情報
[九州森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告2(PDF : 3815KB)
完了報告(PDF : 158KB)