囲いわなによる効率的なシカ捕獲試験
キーワード:囲いわな、シカ捕獲、シカ誘引
1 開発目的
「囲いわな」は狩猟期間内に限り、農林被害防止の目的であれば、狩猟免許や捕獲許可が不要であるが、大きい、重たいなど機動性が悪いため、「箱わな」の天井部分を取り除き、「小型囲いわな」として開発・使用する。また、捕獲効率を上げるため、餌による誘引の季節変動等の生息状況調査等を行う。
2 成果の概要
- 新たな「小型囲いわな」の開発にあたっては、1.低コスト化(市販価格の01月02日以下の50千円程度)、2.軽量化(120kg以下で軽四トラックに掲載できるもの)、3.設置・撤収が容易(10~15分程度)を目標に作成し、ワイヤメッシュを使用し、ボルトで組立・解体を行う「タイプ7」が最も普及可能なものとなった。(写真1)

写真1 「小型囲いわな」(タイプ7)
3 成果の詳細
- シカ誘引には「ヘイキューブ」を使用。シカの確認は夏場には少なく、春と秋から冬に多かった。時間帯は20時以降翌朝6時頃までが多い。
- 捕獲確認などのために、携帯電話に防犯システムユニットを組み合わせた捕獲通知システムを開発。(写真2)
- 129箇所(うち13台は市販のもの)に設置し、43%(56箇所)で捕獲。うち、捕獲数が1頭のみが53%だが、4頭捕獲したわなも7%あった。
- 設置後1~7日で1頭目を捕獲するわなが53%、8~14日が26%となった。設置後1~7日で2頭目も捕獲するわなは35%となった。捕獲はH24年は3~6月が多かったが、夏は減少。11月以降に再度捕獲数が増加。25年も同様の傾向。(図1、図2、図3)
- 捕獲個体のうち、メスが60%で、また、体重20kg未満ものが60%であった。
- 効率的な捕獲に向けては、1.生息密度・状況を把握し、撒餌により誘引し、十分採食されていることを確認してわなを設置する。見回り軽減のためには捕獲通知システムが有効。2.1頭目が2週間程度確保できず、撒餌もあまり採食されていないようであればわなの設置を移動する。1頭目の確保後2頭目が2週間程度確保できない場合も同様。


写真2 捕獲通知システム図1 設置後1頭目の捕獲に要した期間

図2 設置後2頭目の捕獲に要した期間

図3 時期別の捕獲数とわな設置数
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:四国森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:四国森林管理局管内
- 開発期間:平成24年度~平成25年度
- お問合せ先:四国森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(088-821-2250)
5 参考情報
[四国森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 669KB)