伐採・植付一貫作業下でのコンテナ苗等の活着・育成実証
キーワード:コンテナ苗、伐採・植付一貫作業、夏植え、下刈り、低コスト、スギ、ヒノキ
1 開発目的
コンテナ苗を用いて伐採・植付一貫作業を行うことにより造林(地拵・植付・下刈り)コストの大幅削減を図る技術の検証を行う。
2 成果の概要
- コンテナ苗は、普通苗と比較して植付功程(能率)が倍になること、夏植えの活着率が9割で春・秋植えと遜色なく、植栽時期を選ばないことが明らかとなった。(表1、写真1、図2)
- 植生の少ない伐採直後に植栽すること(伐採・植付一貫作業)で、地拵えと下刈り回数の削減が可能となった。(写真2)


写真1 (左)コンテナ苗:植栽器具による植栽(右)普通苗:鍬による植栽写真2 夏植栽箇所の生育
(植栽から3年目下刈りを1回も行っていない)(三室)
表1 植栽功程 平成24年調査

3 成果の詳細
- 三光山国有林の伐採から2~3年経過した皆伐跡地にスギ及びヒノキのコンテナ苗、普通苗を植栽。
- 三室国有林の伐採直後の皆伐跡地にヒノキのコンテナ苗、普通苗を植栽(一貫作業)。
- 専用植栽器具を使用したコンテナ苗の植付功程(能率)は、普通苗の場合の約2倍(約400本/人日)。(表1)
- スギ・ヒノキともに、コンテナ苗の平均活着率は9割(普通苗8割)。(図1)
- ヒノキのコンテナ苗は夏植えでも春・秋植えと遜色ない9割の活着率(普通苗の夏植え活着率は7割)。(図2)
- スギ・ヒノキともに、コンテナ苗と普通苗に成長には大きな差は見られない。(図3)
- 三光山国有林では、下刈り省略箇所に比べ、毎年下刈りを実施した箇所で成長が良かった。
- 三室国有林では、伐採直後に植栽することにより、結果的に3年間無下刈りで樹高140cmを超える成長となった(地拵えと下刈り回数の軽減)。(表2、図3)
- 伐採から植栽までの期間を空けるよりも伐採直後に植栽した方が、植栽木と下層植生の競合が少なく、良く成長したものと考えられる。


図1 三光山:センター試験地 スギ活着率図2 三室: ヒノキ 苗タイプ別・季節別植栽活着率
(平成24年秋植裁-平成25年10月調査)(平成26年10月調査)
表2 試験区別施業履歴



図3 三室国有林 季節別成長率
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:(国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所
- 実施箇所:三室国有林702ら1林小班、三光山国有林591り1,り2林小班(岡山県新見市)ほか
- 開発期間:平成24年度~平成28年度
- お問合せ先:近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0867-72-2165)
5 参考情報
[近畿中国森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告書(PDF : 191KB)
現地検討会資料(PDF : 3,600KB)