植栽本数密度別の林分構造変化試験
キーワード:疎植、植栽密度試験、低コスト、スギ
1 開発目的
疎植による林分構造の変化を検証し、低コスト化に向けた森林施業技術の確立を図る。
2 成果の概要
スギについて、植栽方法を通常3,000本/haから2,000本/haに削減しても良好に生育し、苗木代及び植栽に係る人件費の削減に繋がる。


写真1 1,000本区試験地(保育区)(平成28年) 写真2 2,000本区試験地(保育区)(平成28年)

写真3 3,000本区試験地(保育区)(平成28年)
3 成果の詳細
- 平成11年に植栽密度(1,000本/ha。2,000本/ha、3,000本/ha)別のスギ植栽試験地を設定。平成27年度調査で、樹高成長は、2,000本区>1,000本区>3,000本の順。根元径及び平均胸高直径は、1,000本区>2,000本区>3,000本区の順。単木材積は1000本区≒2000本区>3000本区の順。haあたり材積は、2,000本区>1,000本区>3,000本区の順となっている。(図1、図2、図3)
なお、下刈りを行わない無保育区も設けたが、植生との競合、動物被害により約8割が枯損した。 - 樹高成長について、3,000本区の樹高が他の植栽密度試験地に比べて低いのは、試験地の位置が1,000本区及び2,000本区と離れていたため、地位が異なっていた可能性がある。(図1、表1)
- 植栽方法を通常3,000本/haから2,000本/haに減らしても良好に生育し、苗木代及び植栽に係る人件費の削減に繋がる。
- 1,000本/haに減らすと、「うらごけ」の傾向が現れているが、成林は可能である。
- 今後の保育については、1,000本区はすでに850本/haとなっていることから間伐は行う必要がない。2,000本区は1,600本/haなっており、除伐2類(間伐の前の段階で空間を確保して、肥大成長を促すために行うもの)実施後に間伐を1回行う必要がある。(表1)

図1 植栽密度別保育有無別樹高成長の推移


図2 植栽密度別保育有無別根元径成長の推移 図3 植栽密度別ha当たり材積比較
表1 植栽密度別試験地の林分状況比較

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:釜谷国有林596ふ林小班(岡山県新見市)
- 開発期間:平成11年度~平成28年度
- お問合せ先:近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0867-72-2165)
5 参考情報
[近畿中国森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 565KB)