ヒノキコンテナ苗による低コスト再造林のための植栽・初期保育技術の開発
キーワード:コンテナ苗、植栽器具、直径生長、樹高生長、緩効性肥料
1 開発目的
ヒノキコンテナ苗に適した植栽技術及び初期保育技術を開発し、再造林の低コスト化を図る。
(なお、本研究は、岐阜県森林研究所が平成26年度から新規に重点研究として実施する「低コスト再造林のための育苗・植栽・初期保育技術の開発」の研究項目の一部について共同で実施したものである。)
2 成果の概要
- ・植栽功程は、緩傾斜、急傾斜いずれの場合も普通苗よりコンテナ苗が約2割上回った。(表1)
- ・植栽地の傾斜や根茎、土性別の植栽器具選定のおおまかな目安を作成した。(表2)
- ・緩効性肥料苗は、植栽後も効果が持続し樹高成長率に有意な差があった。(図1)
- ・緩効性肥料を用いたコンテナ苗は根鉢に肥料が保持され植栽後にも長期間効果が持続した。
表1植栽功程
表2林地傾斜、地質別の植栽器具選定の目安
3 成果の詳細
- ・植栽器具のクワ、ディブル、スペードについてアンケートを行った結果、ディブルが扱いやすいが重さが欠点となった。(図1)
- ・石礫や根茎及び土性が植生功程を左右することから、傾斜や地質に応じた器具の選択が必要。
- ・緩効性肥料苗と従来苗の生長比較に加え、下刈の有無による比較の結果は以下のとおり。
(図2)小川長洞試験地(150cc)
根元生長率では緩効性肥料苗と従来苗の差はなく、樹高生長率では緩効性肥料苗(下刈なし)が他の苗に比べ有意差が認められた。また、比較苗高では、緩効性肥料苗と従来苗の「下刈あり」において数値が下がったが、「下刈なし」では下がらなかった。
(図3)小川長洞試験地(300cc)
根元生長率、樹高生長率とも緩効性肥料苗の有意が認められた。比較苗高では、緩効性肥料苗(下刈あり)と従来苗(下刈あり、下刈なし)において数値が下がったが、緩効性肥料苗(下刈なし)は数値が上がった。
(図4)湯舟沢試験地(300cc)
根元生長率、樹高生長率とも緩効性肥料苗の有意が認められた。
(図1)植栽器具のアンケート
小川長洞試験地(150cc)では根元生長率では緩効性肥料苗と従来苗の差はなく、樹高生長率では緩効性肥料苗(下刈なし)が他の苗に比べ有意差が認められた
(図2)小川長洞試験地(150cc)
小川長洞試験地(300cc)では根元生長率、樹高生長率とも緩効性肥料苗の有意が認められた。比較苗高では、緩効性肥料苗(下刈あり)と従来苗(下刈あり、下刈なし)において数値が下がったが、緩効性肥料苗(下刈なし)は数値が上がった
(図3)小川長洞試験地(300cc)
湯舟沢試験地(300cc)では根元生長率、樹高生長率とも緩効性肥料苗の有意が認められた。
(図4)湯舟沢試験地(300cc)
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:中部森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:岐阜県森林研究所
- 実施箇所:岐阜森林管理署小川長洞国有林1112は2林小班(岐阜県下呂市)外
- 開発期間:平成26年度~平成30年度
- お問合せ先:中部森林管理局 森林技術・支援センターダイヤルイン(050-3160-6095)
5 参考情報
[中部森林管理局Webサイト掲載情報]
森林技術・支援情報(H30.3)(PDF : 1,869KB)
森林技術・支援情報(H31.3)(PDF : 3,056KB)
<分割版>
森林技術・支援情報(H31.3) Part1(1~5ページ)(PDF : 1,378KB)
森林技術・支援情報(H31.3) Part2(6~17ページ)(PDF : 1,809KB)