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林野庁

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長伐期施業における樹冠長率を指標とした森林管理技術の開発

キーワード:長伐期施業、樹冠長、樹冠幅、樹冠長率

1 開発目的

中部地方の高齢人工林の目標とする林型について、特に、「樹冠長」あるいは「樹冠長率」に着目して検討を行う。また、目標林型に誘導し、健全かつ低コストに維持するための管理技術の検討を行う。

2 成果の概要

  • 長伐期施業において、林齢に見合う径級の木を育てるためには、相応の密度管理が必要なことが示唆された。
  • 樹冠幅と本数密度とは密接な関係にあるため、それらと胸高直径との関係から本数密度の目安が得られると考えられる。
  • また、樹冠長は樹高から枝下高を引いた値であることから、将来的に必要な樹冠長を確保するための枝下高の上限値が分かり、間伐のタイミングを見極める指標となると考えられる。
  • 調査結果から、例えばヒノキ林では100年くらいで期待径級40cmを目指すとすれば、240本/ha程度が必要であると分かってきた。

3 成果の詳細

  • 80~110年生の林分について、胸高直径、樹高、枝下高、樹冠幅(4方向)、地形、標高の調査を行った。
  • 林齢と林分構造の関係については、1.林齢と本数密度に関係はみられず、2.林齢と平均胸高直径との関係もみられず、3.本数密度と平均胸高直径には負の相関関係がみられた。これらのことから林齢に見合う胸高直径の林木を育てるためには、相応の密度管理が必要であることが示唆された。(図1)
  • 胸高直径と樹冠構造の関係(林分)については、1.平均胸高直径の大きい林分は、平均樹高も大きく、2.平均樹冠長と平均胸高直径には正の相関がみられ、3.平均樹冠幅と平均胸高直径にも強い正の相関がみられた。これらのことから、目標径級に対する最適な本数密度を算出できると考えられる。(図2、図3、図4)
  • 樹高直径と樹冠構造の関係(個体)については、1.本数密度の高い林分は平均胸高直径が小さいばかりではなく、優勢木の胸高直径も小さく、2.個体の胸高直径と樹冠長・樹冠幅には正の相関がみられた。このため、生産目標と照らし、高齢林をどのようなサイズの個体で構成すればよいかを考え、管理手法(間伐のタイミング、選木方法など)を検討する必要がある。(図5、図6)
  • 高齢林の成長については、1.100年生クラスの人工林の樹高成長量はスギ・ヒノキともに年10cm程度であり、2.肥大成長は樹冠長・樹冠幅と正の相関を示した。このため、樹冠長・樹冠幅の大きい個体は胸高直径の大きい個体であり、胸高直径の大きい個体は肥大成長量も大きい。よって、高齢でも肥大成長を期待するなら、十分大きな樹冠が確保できるように早期に間伐が必要である。
本数密度と平均胸高直径の関係(ヒノキ)

図1 本数密度と平均胸高直径の関係(ヒノキ)

平均胸高直径と平均樹高・平均枝下高の関係(ヒノキ)                                                    平均樹冠長と平均胸高直径の関係(ヒノキ)

図2 平均胸高直径と平均樹高・平均枝下高の関係(ヒノキ)        図3 平均樹冠長と平均胸高直径の関係(ヒノキ)

平均樹冠幅と平均胸高直径の関係(ヒノキ)                                                 樹冠長と胸高直径の関係(ヒノキ)

図4 平均樹冠幅と平均胸高直径の関係(ヒノキ)                    図5 樹冠長と胸高直径の関係(ヒノキ)

樹幹幅と胸高直径の関係(ヒノキ)

図6 樹幹幅と胸高直径の関係(ヒノキ)

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:中部森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:岐阜県立森林文化アカデミー
  • 実施箇所:岐阜森林管理署 落合国有林18は小班(岐阜県下呂市)等
  • 開発期間:平成23年度~平成25年度
  • お問合せ先:中部森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(050-3160-6095)

5 参考情報

印刷版(PDF : 314KB)

[中部森林管理局Webサイト掲載情報]
中間報告(H23)(PDF : 664KB)

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