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林野庁

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ヒノキ・ナラ・ホオノキの混交植栽試験

キーワード:コナラ、混交林、下層植生、生存率、形質、枯死率

1 開発目的

森林の水土保全機能の高度発揮と収益性の向上を図るため、針広混交林を造成し、調査・分析を行い、育成方法を確立する。

2 成果の概要

  • 水土保全機能については、コナラの混植割合が高い方が下層植生の生育が良好で(図1)、コナラの混植は、ヒノキ・コナラともに成長過程の競争による枯死率を緩和させる傾向を示す。(図2)
  • 収益性については、ヒノキを主とする林分には及ばないが(図3)、コナラの混交割合が高くなると、ヒノキの病虫害や気象害などによる形質異常のある立木の割合が低くなる。(図4)
ヒノキ・コナラ混交割合別調査プロットの状況

写真1 ヒノキ・コナラ混交割合別調査プロットの状況

ヒノキとコナラの混交割合の違いによる4プロット(コナラ混交割合:20%(P1)、30%(P2)、40%(P4)、0%(対照区P5))により分析した。なお、ホオノキの混交したプロットほか1プロットは地形等の影響が大きく分析から除外した。

3 成果の詳細

  • 林分の成長・蓄積については、ヒノキ、コナラともにプロット間には大きな差はなく、コナラはヒノキに対して7~9割程度の成長である。
  • 樹高、胸高直径ともヒノキは概ね正規分布するが、コナラは分布幅が広く個体間の成長差が大きい。
  • ヒノキの混交割合が大きいほど胸高断面積合計が大きい。
  • ヒノキは各プロットで8割が優勢木(寺崎式樹形区分)となっていたが、そのうち6割が二又・曲りの欠点があった。コナラの混交割合が高いほどヒノキの1級木の割合が高くなる。(図4)
  • ヒノキのみの対照区(P5)では特に獣害が多く見られた。
  • コナラはシロスジカミキリの産卵・加害による材質低下が生じていた。
  • 各プロットのヒノキ・コナラは優勢木に被圧を受けるようなことなく、競合しつつ成長を続けている。形状比はヒノキが60~70、コナラが70~80で肥大成長も概ね良好である。
  • 植栽木の残存木は試験地設定後の5年間で大きく減少したが、広葉樹の混交割合が最も高い40%区(P4)が最も高い生存率となった。(図2)
  • コナラの混交割合の高さに応じて、下層植生の被覆率は高くなった。(図1)
  • ha当たりの幹材積量としては広葉樹の混交割合が低いプロットが高くなる傾向となった。(図3)。
プロット(混交割合)別下層植生被覆率

図1 プロット(混交割合)別下層植生被覆率

プロット(混交割合)別立木残存率(減少率の逆数)

図2 プロット(混交割合)別立木残存率(減少率の逆数)
コナラ混交割合:P 1 :20%、P2 :30%、P4 :40%、対照区P5 :0%

プロット(混交割合)別ha当たり本数・材積

図3 プロット(混交割合)別ha当たり本数・材積
コナラ混交割合:P 1 :20%、P2 :30%、P4 :40%、対照区P5 :0%

プロット(混交割合)別ヒノキ樹形区分調査結果

図4 プロット(混交割合)別ヒノキ樹形区分調査結果
コナラ混交割合:P 1 :20%、P2 :30%、P4 :40%、対照区P5 :0%

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:中部森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:なし
  • 実施箇所:岐阜森林管理署本洞国有林1049ほ林小班(岐阜県下呂市)
  • 開発期間:平成9年度~平成29年度
  • お問合せ先:中部森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(050-3160-6095)

5 参考情報

印刷版(PDF : 708KB)

[中部森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 2,124KB)
中間報告(H27)(PDF : 1,942KB)
中間報告(H24)(PDF : 900KB)

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