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経年変化を考慮したコンテナ苗の成長特性解明試験

キーワード:コンテナ苗、一貫作業システム、植付時期、低コスト

1 開発目的

  前期課題(実生コンテナ苗を用いた一貫作業システムによる低コスト化造林技術の実証試験)において、1生育期までで評価した場合、北関東地域では、夏・秋植栽ではコンテナ苗の成長・活着能力が普通苗のそれを上回ることが明らかにされた。ただし初期サイズはコンテナ苗の方が小さく、この傾向は期間を通して変わらなかったため、植栽後の樹高という観点でコンテナ苗の優位性が発揮されるかどうかは、継続した調査が必要となる。また、コンテナ苗の成長の優位性がいつまで継続されるのか明らかにする必要がある。

  そこで本課題においては前期課題で植栽した苗(コンテナ苗・通常苗)の成長を追跡調査し、経年変化を考慮したコンテナ苗の性能を検証することを目的とする。

2 成果の概要

  • ・平成28年度からの個体生存率は、春植コンテナ苗に誤伐がみられたものの、夏植及び秋植箇所のコンテナ苗・裸苗ではともに枯損は認められなかった。
  • ・コンテナ苗よりも裸苗の樹高が高く、春植と夏植ともに裸苗の成長速度が大きい傾向が見られた(図-1)。

[春植]

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[夏植]

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図-1. 春植と夏植の樹高成長(抜粋)

  • ・コンテナ苗よりも裸苗の地際直径が大きく、春植と夏植で裸苗の成長速度が大きい傾向が見られた(図-2)。

[春植]

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[夏植]

c2019-3-2-2.png

図-2. 春植えと夏植の地際直径成長(抜粋)

  • ・裸苗、コンテナ苗ともに春植の方が秋植よりも成長が優れていると判断され、春植については、下刈期間の短縮により保育コストの縮減が図られると示唆された。

3 成果の詳細

  • ・春植栽プロット裸苗においては、4生育シーズン経過時点で75%の個体が2mを越えていたため、被覆する植生が高木性木本でないかぎり、ほとんどの場合競争対象にならないと想定され、裸苗では4生育シーズン、コンテナ苗では5生育シーズンをもって下刈を完了しても苗木の多くが競合植生に被圧されることはないと思われる。
  • ・形状比はコンテナ苗・裸苗とも期間中は60~70程度であった。春植においては、下刈を省略した2018年にコンテナ苗の形状比が上昇する傾向が見られた(図-3)。
c2019-3-3.png
                             図-3. 植栽時期によるコンテナ苗・裸苗の2018年(平成30年)の形状比

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:関東森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所
  • 実施箇所:茨城森林管理署(茨城県城里市)
  • 開発期間:平成28年度~平成30年度
  • お問合せ先:関東森林管理局 森林技術・支援センター(0296-72-1146)

5 参考情報

印刷版(PDF : 705KB)

[関東森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 119KB)
前期課題(実生コンテナ苗を用いた一貫作業システムによる低コスト化造林技術の実証試験)完了報告(PDF : 148KB)
前期課題(実生コンテナ苗を用いた一貫作業システムによる低コスト化造林技術の実証試験)完了報告添付資料(PDF : 2,554KB)
 <分割版>
  前期課題(実生コンテナ苗を用いた一貫作業システムによる低コスト化造林技術の実証試験)完了報告添付資料 Part1(1~17ページ)(PDF : 1,042KB)
  前期課題(実生コンテナ苗を用いた一貫作業システムによる低コスト化造林技術の実証試験)完了報告添付資料 Part2(18~39ページ)(PDF : 1,719KB)
一貫作業システムマニュアル(PDF : 372KB)

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