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林野庁

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広葉樹人工林の育成方法の検討

キーワード:造林、カツラ、ケヤキ、シオジ、ハルニレ、ヤマトアオダモ

1 開発目的

「広葉樹造林の困難さ」は、広葉樹は種ごとに異なる多様な生活史を持つことが、その要因といえる。個々の初期の樹高成長や立地条件など、樹種特性が不明な種が多く、このため成林に導くための条件や施業方法について明らかになっていない樹種が多数である。関東森林管理局で定める有用天然木のすべてを網羅することは困難であるため、今回の事例ではカツラ、ケヤキ、シオジ、ハルニレ、ヤマトアオダモについて取り上げることとした。

2 成果の概要

  • ・立地と樹高の関係から、カツラの人工造林は渓畔域周辺に限定されず適用範囲が広い可能性 (図-1)。
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図-1. 立地と樹高の関係(カツラ主幹)

  • ・ケヤキの植栽はA層の厚みが適地判定の基準として利用できる(図-2)。
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図-2. A層の厚さと平均伸長量・平均肥大成長量

  • ・シオジはスギの造林適地と重複するが、スギの予想樹高に近い。
  • ・ハルニレはコンテナ苗で育苗可能で、林冠層を形成した(図-3)。
  • ・ヤマトアオダモは高い蓄積を持つ(表-1)。

表-1.ヤマトアオダモ造林地の林分概況

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3 成果の詳細

  • ・カツラの胸高直径は山頂部や山裾といった立地、平行斜面や谷といった微地形は影響しなかった一方で、樹高は立地よりも微地形が影響していた。植栽地は渓畔域周辺に限定されず、樹高をより高くするには、谷地形などの微地形が重要であることが示唆された。
  • ・ケヤキは伸長量、肥大成長量ともにA層の厚さに影響を受けていることが分かり、肥沃度の指標としてA層の厚さが有効であることが示唆された(図-2)。これにより造林予定地の土壌から、植栽前の造林判定の基準として利用できることが示唆された。
  • ・シオジは斜面下部から中部までよく成長し、渓畔域以外での造林についても、選択肢になりえることが示唆された。
  • ・ハルニレのコンテナ苗を用いた造林事例では、ハルニレを主要樹種とした渓畔林の再生が可能なこと、およびコンテナ苗の有効性が示された(図-3)。
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図-3. 植栽木の樹高階分布

  • ・ヤマトアオダモは樹高、胸高直径、材積においても高い数値が示されており、ヤマトアオダモが造林樹種として選択できる樹種であることが示された(表-1)。

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:関東森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所
  • 実施箇所:茨城森林管理署ほか(茨城県笠間市外)
  • 開発期間:平成26年度~平成30年度
  • お問合せ先:関東森林管理局 森林技術・支援センター(0296-72-1146)

5 参考情報

印刷版(PDF : 558KB)

[関東森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF:83KB)

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