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林野庁

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渓畔林再生のための施業技術の確立

キーワード:渓畔林、人工林、天然更新、更新補助、ぼう芽

1 開発目的

渓畔に存在する不成績な人工林について、立地条件に応じた自然林に効果的かつ着実に誘導していくための伐採や除伐の具体的な指針を作成する。

2 成果の概要

  • 調査地(プロット)については、5プロットについて2003年に調査を行い、2005年に伐採率を17%(R1)、55%(R2)、72%(R3)、75%(R4)、76%(R5)とする間伐をそれぞれの人工林で行い、その後の状況を2013年に調査した。
  • 高木性広葉樹について、スギ上木50%程度以上(胸高断面積・材積等)の間伐と更新補助作業(スズタケ刈払)により、対照林分(天然渓畔林)の群集組成、断面積合計に近づいており渓畔林としての再生が進行している。(図1)
  • 更新補助作業である刈出し・全刈作業については、(ア)稚樹がほとんどない、または高さ30cm未満のときは全刈りが必要で、(イ)稚樹の密度が高く、稚樹高もある場合は刈り出しでも可能である。(図2)
  • 更新補助作業である萌芽については、オノエヤナギの萌芽本数は伐採高・胸高直径と有意な相関がある。ヤマグワの萌芽本数は胸高直径と有意な相関があり、また、ヤマグワの最長萌芽枝長は伐採高と有意な相関がある。このため、特定の樹種の萌芽を活性または抑制させたい場合は、伐採高のコントロールで萌芽傾向を変化させられる可能性がある。(表1)
試験地全体(R1~R5)における林分変化(高木性広葉樹胸高断面積)

図1 試験地全体(R1~R5)における林分変化(高木性広葉樹胸高断面積)

更新補助作業の作業種判定

図2 更新補助作業の作業種判定

表1 萌芽発生状況

萌芽発生状況

3 成果の詳細

  • 胸高直径5cm以上の高木性広葉樹について、スギ上木50%程度以上(胸高断面積・材積等)の間伐と更新補助作業(スズタケ刈払)により、試験地全体(R1~R5)で10年間の試験地全体の状況変化をみれば、対照林分の群集組成、断面積合計に近づいており渓畔林としての再生が進行している。なお、伐採率の低い林分では高木性広葉樹の本数・胸高断面積が減少している。(図1、図3)
  • 胸高直径5cm未満の高木性広葉樹について、種子源の重要性が確認され、その実生の「発生」、「定着」、「成長」にはそれぞれ異なる条件があると思われる。成長条件について、現在のところ稚樹はササや低木類等と競合しており、渓畔林をより多様で異齢な林分に誘導するため、今後もモニタリング調査と状況に応じた更新補助作業が必要であると思われる。
試験地(プロット)別高木性広葉樹の本数・胸高断面積・種数の推移(参考)

図3 試験地(プロット)別高木性広葉樹の本数・胸高断面積・種数の推移(参考)

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:関東森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所
  • 実施箇所:茨城森林管理署横山国有林1074り林小班(一部)外
  • 開発期間:平成22年度~平成26年度
  • お問合せ先:関東森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0296-72-1146)

5 参考情報

印刷版(PDF : 1,008KB)

[関東森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 92KB)
完了報告添付資料(PDF : 3,972KB)
 <分割版>
  完了報告添付資料 Part1 (表紙~23ページ)(PDF : 2,326KB)
  完了報告添付資料 Part2 (24~32ページ)(PDF : 1,828KB)
ガイドライン(PDF : 4,576KB)
 <分割版>
  ガイドライン Part1(表紙~7ページ)(PDF : 1,531KB)
  ガイドライン Part2(8ページ)(PDF : 2,443KB)
  ガイドライン Part3(9~10ページ)(PDF : 1,037KB)

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