エリートツリーさし木品種化試験
キーワード:エリートツリー、精英樹、さし木、初期成長、品種
1 開発目的
成長や材質にさらに優れた「初期成長に優れたさし木品種」の開発に資するため、第2世代精英樹候補木(精英樹(第1世代)同士を交配したものから成長・形質に優れたものとして選抜されたもの)から特に初期成長が優れた系統を選抜する実証試験を行い、育林初期における下刈りコストの削減に資する。
2 成果の概要
約40系統の第2世代精英樹候補木の樹高のBLUP値(成長能力の予測値)は第1世代精英樹から選抜された「初期成長に優れた品種」のBLUP値を上回っていることから、第2世代精英樹候補木から、樹高、成長にさらに優れた「初期成長に優れた品種」の開発の可能性があると考えられる。

図1 北茨城試験地
試験地設定箇所:阿吹山国有林1042け林小班
植栽時期:平成25年度
系統数:第2世代74個体(クローン)
:第1世代10個体(クローン)

図2 城里試験地
試験地設定箇所:梅香沢国有林25か林小班
植栽時期:平成26年度
系統数:第2世代98個体(クローン)
:第1世代10個体(クローン)
3 成果の詳細
- 平成25年および26年に設定された第2世代精英樹候補木のさし木苗により造成した試験地2箇所において、植栽木の成長量調査を毎年継続して行った。試験地2箇所のデータを統合して解析を行い、環境による影響を除いた成長能力の予測値であるBLUP値を、樹高について算出した。
- 3年生の第2世代精英樹候補木の中で最も優れた成長を示した個体(クローン)の樹高のBLUP値は2.13mで、3年次の第1世代精英樹のBLUP平均値(1.51m)と比較して、0.62m優れていた。
- さらに、約40系統の第2世代精英樹候補木の樹高のBLUP値は、第1世代で選抜された「初期成長に優れた品種」2品種(揖斐3号及び上都賀7号)のBLUP値(それぞれ1.60mおよび1.58m)を上回っていることから、第2世代精英樹候補木から、成長や材質にさらに優れた「初期成長に優れた品種」の開発の可能性があると考えられる。

図3 第1世代精英樹の樹高のBLUP値
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:関東森林管理局 森林技術・支援センター
- 共同研究機関:森林総合研究所林木育種センター
- 実施箇所:茨城森林管理署管内
- 開発期間:平成27年度~平成29年度
- お問合せ先:関東森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0296-72-1146)