低コスト林業のモデルの作成
キーワード:施業モデル、低コスト、低密度植栽、大苗、短伐期
1 開発目的
東北森林管理局の技術開発課題成果と全国の低コスト化に関する報告書等を比較・分析・検証し、多雪寒冷地である東北地方における収穫から育林にわたる一連の工程の低コスト化をシミュレートできるモデルを作成する。
2 成果の概要
「従来型モデル」、「スギ低密短伐期モデル」、「スギ大苗低密短伐期モデル」、「カラマツ大苗低短伐期モデル」を作成。従来型モデルの収支はhaあたり4万円のマイナスとなるが、他のモデルの収支はすべてプラスで、順に17万円、19万円、34万円となる。(表1)

表1 低コスト林業モデル
3 成果の詳細
- コンテナ苗は普通苗より植栽効率がよく、冬季を除き植栽時期を選ばないが、普通苗より重く、価格が高い。コンテナ苗の価格削減がポイント。(表2)
- コンテナ苗は植栽時の形状比が高いと直径成長が優先されるため下刈りを見据えた場合、非常に不利となる。
- 低密度植栽は苗木代と植栽コストが削減でき、直径成長が早く、間伐も少なく済むメリットがある。デメリットとしては優良木生産ではないので材質は低下がある。
- 主伐と植栽の一貫作業システムとコンテナ苗活用の組み合わせにより、地拵えの省略が可能。普通苗とコンテナ苗を比較すると、無地拵であればコンテナ苗の方が総コストが約30%削減できる。(表3)
- 2,500本/ha植栽地において、下刈り回数を文献等を根拠として普通苗は6回、コンテナ苗は3回、大苗は1回と決め、コスト比較した場合、普通苗に比べてコンテナ苗は41%の削減、大苗は80%削減となった。(表4)
- 上記の項目等を元に、「従来型モデル」のほか、コンテナ苗を活用した一貫作業システムによる「スギ低密短伐期モデル」、「スギ大苗低密短伐期モデル」、「カラマツ大苗低短伐期モデル」を作成した。(表1)

表2 普通苗・コンテナ苗(普通・大苗)別植栽コスト比較

表3 一貫作業システムのコスト比較

表4 普通苗・コンテナ苗別下刈省力比較
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:東北森林管理局 技術普及課、森林技術・支援センター
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:東北森林管理局内一円
- 開発期間:平成27年度~平成28年度
- お問合せ先:東北森林管理局 技術普及課、ダイヤルイン(018-836-2023)
5 参考情報
[東北森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF:2502KB)