低密度植栽試験
キーワード:植栽密度、生存率、下刈り
1 開発目的
低密度植栽地における、造林・保育コストの削減及び広葉樹の侵入による生物多様性確保の効果について試験・調査を行う。
2 成果の概要
- 生存率は植栽後3~4年目の間では概ね70~100%で植栽密度別に違いは見られない。
- 成長は植栽後3~4年目では植栽密度別に明らかな差は見られない。
- 植栽及び下刈り(筋刈り)の功程(能率)は、植栽密度が低いほど高くなる。(図2、図3)
- カラマツは植栽1年目と3年目の下刈り(筋刈り)のみで成長が見込める。(図4)
- スギは植栽1年目、3年目及び5年目の3回は下刈りが必要である。

図1 低密度植栽試験位置図
表1 低密度植栽試験地設置状況(面積、樹種)

試験地を、青森県2か所、岩手県4か所、山形県1か所、秋田県1か所の計8か所に設定し、うち3か所(盛岡、由利、最上)は一部異なる設計としたが、そのほかはそれぞれの試験地に植栽密度を500本/ha、1000本/ha、1500本/ha、2500本/haの4区画を設け、さらにそれぞれの密度試験地区画を下刈りを毎年実施と隔年実施の2区画に分け、計8区画(区分)の比較試験が可能な設計とした。
3 成果の詳細
- 生存率については植栽後3~4年目の間では概ね70~100%で、植栽密度別(500本区、1000本区、1500本区、2000本区)に違いは見られない。枯死原因は、活着しない、獣害、下刈り時の誤伐、雪害などによる。
- 成長量については植栽密度別に多少の違いが見られた試験地はあったが、微地形や光条件によるものと考えられ、植栽後3~4年目では植栽密度別に差は見られない。
- スギコンテナ苗(2年生)の植栽は、植栽密度が低いほど植栽功程(能率)が良くなった。また、スギコンテナ大苗は、植栽密度が低いほど下刈り功程が良くなった。(図2、図3)
- 毎年と隔年による下刈りの違いにより、一部毎年下刈りの試験地に根元径の成長がよいところが見られたが、差がないところも多かった。
- カラマツについては植栽後4年目で樹高150cm程度以上であり、下刈り隔年実施区でも競合植生より高く成長していることから、下刈り(筋刈)は1年目と3年目のみで成長が見込まれると考えられる。(図4)
- スギについては、植栽後4年目で樹高が100cm程度であり、競合植生に被圧されている状況にあるため、植栽5年目までは下刈りの可能性がある。

図2 植栽密度別植栽功程調査(由利署スギ、haあたりの人工(人日)数)

図3 植栽密度別下刈り功程調査(盛岡署スギ、100m2あたりの作業時間)

図4 植栽密度別下刈り頻度(毎年・隔年)別平均樹高の推移(三陸北部署カラマツ)
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:東北森林管理局 森林技術・支援センター、森林整備課、技術普及課
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:津軽森林管理署7林班ち1小班(青森県弘前市)、遠野支署38林班い3、4、5小班(岩手県遠野市)、ほか6個所
- 開発期間:平成26年度~平成29年度
- お問合せ先:東北森林管理局 技術普及課、ダイヤルイン(018-836-2023)
5 参考情報
[東北森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF : 1,516KB)、研究発表(H26)(PDF : 830KB)