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林野庁

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コスト削減をめざした森林整備への取組~コンテナ苗による省力造林に向けて~

キーワード:コンテナ苗、裸苗、アカエゾマツ、グイマツ、トドマツ、カラマツ、成長率

1 開発目的

北海道の主要樹種であるトドマツ、アカエゾマツ、カラマツ等のコンテナ苗の植栽功程、活着・成長状況等の調査を行い、現行の植栽方法と比較検討し、有効な造林技術となり得るか検証する。(植栽功程については、現行植栽方法の2倍を目指す。)

2 成果の概要

  • H23秋植えの後の裸苗とコンテナ苗の苗高成長率を比較すると、H24年秋時点では、トドマツはコンテナ苗が10%ほど高く、アカエゾマツ、グイマツはほとんど差がなかった。カラマツはコンテナ苗が83%も高かった。H25秋時点では、トドマツはコンテナ苗が裸苗よりも28%高く、アカエゾマツは差がなかったが、グイマツはコンテナ苗が20%ほど高い結果となった。カラマツはコンテナ苗が4%高い状態であまり差はなかったが、成長量ではコンテナ苗が上回った。(図1)
植栽後2年間の苗種(裸苗、コンテナ苗)別成長比較(4樹種)

図1 植栽後2年間の苗種(裸苗、コンテナ苗)別成長比較(4樹種)

3 成果の詳細

  • トドマツ、アカエゾマツ、カラマツ、グイマツの4樹種を対象として、裸苗は鍬、コンテナ苗は、鍬、スペード、プランティングチューブ(トドマツのみ)、ディプル(トドマツのみ)でH23秋に植付した。コンテナ苗植栽4器具による植付平均所要時間は裸苗植栽(鍬)の場合の74%、特にプランティングチューブは58%であった。
  • H24年春の時点の生存・被害状況は、トドマツ、アカエゾマツ、グイマツでは裸苗、コンテナ苗の被害の差はほとんどなかったが、カラマツは裸苗とコンテナ苗の差が大きく、コンテナ苗の被害は11%であったが裸苗は先枯れの被害が多く全体で75%の被害を受けた。
  • H25年春の時点の生存・被害状況は、トドマツの裸苗の枯死が10%であったが、コンテナ苗は5%であった。アカマツ、グイマツに裸苗、コンテナ苗の顕著な差はなかった。カラマツ裸苗で先枯れ被害を受けた個体のおよそ半分が枯死し、枯死・消失が31%となったが、コンテナ苗は6%にとどまった。カラマツ裸苗の根系は植栽時に根をあまり広げず斜めに入れたため、烏賊足状態となっており、根はあまり伸長せず、直根、側根ともに発達していなかった。
  • 苗高成長率については、H24年秋調査では、トドマツが裸苗110%に対してコンテナ苗119%。アカエゾマツ、グイマツはほとんど差がなかった。カラマツは裸苗が134%に対し、コンテナ苗は217%と極めて良かった。H25秋調査では、トドマツ裸苗144%に対してコンテナ苗が172%となった。アカエゾマツは差がなかったが、グイマツはコンテナ苗のほうが20%ほど良い結果となった。カラマツは裸苗が183%、コンテナ苗が187%であまり差はなかったが、成長量ではコンテナ苗が上回った。(図1)
  • 苗種(裸苗、コンテナ苗)別の植栽・保育コストの比較では、各樹種ともにコンテナ苗は苗木代が高いことから裸苗よりも植付コストが高くなっている。しかしながら、伐採と植付の一貫作業による地拵えコストの低減を見込んで試算したところ、カラマツコンテナ苗では1500本/ha以下の疎植で裸苗の場合のコストを下回った。但し、カラマツコンテナ苗は成長がよく下刈りが3年で完了する見込みで試算。(図2)
苗種別(裸苗、コンテナ苗)コスト比較(地拵え~下刈り完了)

図2 苗種別(裸苗、コンテナ苗)コスト比較(地拵え~下刈り完了)

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:北海道森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所北海道支所
  • 実施箇所:上川北部森林管理署2200か林小班
  • 開発期間:平成23年度~平成25年度
  • お問合せ先:北海道森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0165-23-2161)

5 参考情報

印刷版(PDF : 488KB)

[北海道森林管理局Webサイト掲載情報]
平成25年度技術開発委員会(完了報告資料)(PDF : 1352KB)
実施報告(H24)(PDF : 2,633KB)

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