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林野庁

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天然林での樹種の多様化を図る更新方法の開発

キーワード:天然林、天然更新、樹群択伐、単木択伐、照度

1 開発目的

樹種の多様化を図る天然更新方法の開発(針葉樹2樹種、広葉樹3樹種以上)。

2 成果の概要

  • 地がきを行った試験地でのウダイカンバ、トドマツ、イタヤカエデ、ミズナラの4樹種について更新木数と照度との関係を整理すると、ウダイカンバ、トドマツは照度が高いほど本数を増やし、50%を超えるとウダイカンバがほぼ優先的となった。一方、イタヤカエデとミズナラは概ね35%以下程度でウダイカンバ、トドマツと同程度の更新本数となった。このため、多様な樹種を更新させるためには、照度20~30%が目安といえる。(図1)
  • 地がきを行った試験地のうち照度が35%以下の箇所では、ササ植生の平均高が低く抑えられている。(図2)
  • 照度の抑制と小規模な地がきにより多様な後継樹の育成が期待できる。
地がきプロットの照度と更新樹

図1 地がきプロットの照度と更新樹

ササ植生の平均高と光条件との関係

図2 ササ植生の平均高と光条件との関係

3 成果の詳細

  • トドマツ・ミズナラ等を主体とした二次林の針広混交林において、H20年に樹群択伐、単木択伐と無施業の試験地を設けた。翌H21に伐採によるギャップにササの除去と更新実生の雪腐病防止のため、B層を露出させた小規模地がき処理を樹群択伐区と単木択伐区内一部のプロットで行い、また、根返しを行ったプロットも別に設けた。設定されたプロットの相対光強度は10~30%となった。
  • 埋土種子の76%以上がウダイカンバであり、種子落下量については、実生発生数の多かったウダイカンバやトドマツ・キハダは毎年のように落下が確認された。
  • 更新状況について、樹群択伐区では、H22年の調査ではウダイカンバが大部分を占め、93%を超えた。しかしH25年には、ウダイカンバやバッコヤナギが減少しているのに対し、トドマツのほかイタヤカエデ、ミズナラ等が増えている。(図3)
  • 単木択伐区でもH22年調査ではウダイカンバが95%を超えたが、H25年にはトドマツが増加した。(図4)
  • H25年の更新木の樹高成長調査では、樹群択伐区では100cm以上はほとんどウダイカンバであるが、40cmではキハダ、ミヤマザクラ、イタヤカエデ、ミズナラ等ウダイカンバ以外の樹種が30%を占める。単木択伐区でも60cm以上をほとんどウダイカンバが占めるが、40cmでバッコヤナギ、トドマツ、イタヤカエデ等ウダイカンバ以外の樹種が13%となっている。
更新樹種の地表処理別推移(樹群択伐区)

図3 更新樹種の地表処理別推移(樹群択伐区)

更新樹種の地表処理別推移(単木択伐区)

図4 更新樹種の地表処理別推移(単木択伐区)

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:北海道森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所北海道支所
  • 実施箇所:上川北部森林管理署2069と林小班
  • 開発期間:平成18年度~平成25年度
  • お問合せ先:北海道森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0165-23-2161)

5 参考情報

印刷版(PDF : 551KB)

[北海道森林管理局Webサイト掲載情報]
平成25年度技術開発委員会(完了報告資料)(PDF : 1629KB)
天然林試験地の視察に上川総合振興局から
平成27年度国有林野事業業務研究発表会発表要旨(PDF : 275KB)

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