北海道型作業システムを踏まえた路網作設に伴う林業生産コスト低減の検証
キーワード:作業システム、林業専用道、路網密度、ストリップロード、低コスト
1 開発目的
林業専用道の路網密度を上げて、一方で作業道を概ね200m/ha以内とすることにより、10tトラックや大型ホイールフォワーダの高速走行や、グラップルによる直接木寄せを可能とし、搬出・集材コストの削減を図る。
2 成果の概要
- 林業専用道の整備を行い、路網密度を55m/haまで上げることにより、森林作業道の作設コストと集材コストの削減が図られ、主伐までの全体コストの低減と利益の向上が見込まれた。
- 車両系(ハーベスタ・フォワーダシステム)による作業において、緩傾斜地ではストリップロード*を取り入れることで、労働生産性の向上が確認された。
ストリップロード:列状間伐の伐採列の部分を使って、切り盛りを行わず、場所によっては枝条を敷き詰め、フォワーダが集材時に1~3回程度走る道。

図1 旧型作業システムと北海道型作業システムの路網比較イメージ

図2 北海道型システムのイメージ図
3 成果の詳細
- 3つの新たな作業システムと従来のものとの比較を行うため、次の3つの区域において事業を実施し、生産性の比較を行った。(表1)
区域1:ストリップロードによるハーベスタ伐倒区域(林業専用道からの直接木寄せ・造材、または伐採部分をストリップロードとして使用したハーベスタ・フォワーダによる作業(林業専用道59m/ha、森林作業道8m/ha))(図2)
区域2:ストリップロード+森林作業道+林業専用道直接木寄せ等の複合区域(区域1の作業方法に加え、森林作業道を配置してフォワーダ集材(林業専用道53m/ha、作業道森林105m/ha))
区域3:森林作業道を配置したフォワーダ集材区域(森林作業道を配置して、作業道上で造材フォワーダ集材(林業専用道49m/ha、森林作業道165m/ha)) - 伐木造材(木寄せ)、集材・巻立、搬出路(作業道)等作設、検知・その他までの労働生産性とコスト比較について、区域1は23.6m3/人日、2,163円/m3、区域2は9.0m3/人日、4,963円/m3、区域3は5.3m3/人日、8,645円/m3。
- 上記の3区域全体をひとつの施業団地として、既存の林道のみで路網密度が15 m/haの場合(1)と林業専用道を新設して既存林道と加えた路網密度が55m/haの場合(2)の木材生産コストの比較計算を行ったところ、伐木造材(木寄せ)、集材・巻立、搬出路(作業道)等作設、検知・その他、人員輸送費までの生産コストは1の場合は14,074千円、2の場合は9,303千円となった。(表2)
- 以上のことから、林業専用道の路網密度を55m/haにまで上げたことにより、森林作業道の作設コストと集材コストの削減が図られ、主伐までの全体コストの低減と利益の向上が見込まれた。
- また、車両系(ハーベスタ・フォワーダシステム)による作業において、緩傾斜地ではストリップロードを取り入れることで、労働生産性の向上が確認された。(図2、表1の区域1)

表1 区域別の生産性コストと労働生産性

表2 路網設置状況別木材生産コスト比較
4 技術開発担当機関及びお問合せ先等
- 担当機関:北海道森林管理局 森林整備第二課、資源活用第二課、技術普及課、森林技術・支援センター
- 共同研究機関:なし
- 実施箇所:上川中部森林管理署
- 開発期間:平成25年度~平成28年度
- お問合せ先:北海道森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0165-23-2161)
5 参考情報
[北海道森林管理局Webサイト掲載情報]
平成28年度技術開発委員会(完了報告資料)(PDF : 2069KB)
「平成28年度 未来へつなぐ森林づくり交流会」に参加(平成29年2月16日)
平成28年度未来につなぐ森林づくり交流会発表資料(PDF : 1129KB)
北方林業2017 Vol.68 No.2(H26)(PDF : 754KB)