第60回国際熱帯木材理事会の結果について
令和6年12月2日(月曜日)から同6日(金曜日)にかけて、「第60回国際熱帯木材理事会」が横浜市において開催されました。
1.出席者
75加盟国のうち、40か国及びEUが参加。このほか、オブザーバーとして、国連森林フォーラム(UNFF)、国連食糧農業機関(FAO)、国際林業研究センター(CIFOR)、森林管理協議会(FSC)等の国際機関とNGO等が参加しました。
我が国政府からは、外務省、環境省及び林野庁担当者が参加し、開会式において滝波農林水産副大臣と山中横浜市長が挨拶しました。
2.主な議題と対応
(1)「2006年国際熱帯木材協定(ITTA 2006)」の再交渉に向けた議論上記現行協定の有効期限が2029年12月6日までとなっているところ、加盟国から構成される準備作業部会(我が国からは外務省と林野庁が参画
)が、策定済みの作業計画に沿って、将来の協定交渉に必要な要素を特定し、その成果を次回理事会に報告すること等が決定されました。
(2)ITTO事務局長の任期延長
2026年1月31日までとなっているシャーム・サックル事務局長(マレーシア出身)の任期について、多くの国からこれまでの実績を評価し、延
長を求める声が上がり、2028年1月31日までの延長が正式に決定されました。
(3)プロジェクト向け資金の調達・資金構造に係る検討
プロジェクトの形成及び資金調達について、第55~56回理事会を通じて設けられた、特定のテーマに沿ったドナー側の意向を反映可能な簡易な
コンセプトノートに基づく方式と、従来どおり生産国が作成する完全なプロジェクト提案書に基づく方式を当面併せて実施し、年2回行っている
提案書の受理・審査プロセスを1回に減らすことが決定されました。
(4)我が国からの任意拠出金の拠出表明
今期間(ITTC59からITTC60)では、我が国、米国、韓国、豪州、カナダ、マカオ特別行政区等から、生産国によるプロジェクト及び事務局に
よる活動に対して、総額約433万米ドル(約6.0億円)の任意拠出が表明されました。
我が国からは、約1.1億円の拠出を表明しました。うち、林野庁からの拠出分は約7,500万円で、令和6年度当初予算により、以下の2事業に拠出
しました。
(ア)コートジボワール北部ラ・パレ及びブンディアリ公有林におけるアフリカン・ローズウッドの地域コミュニティの参加による保全
(フェーズII)
(ィ)インド国内市場における持続可能なチーク材利用の促進
具体的な内容につきましては別紙をご覧ください。(別紙(PDF : 88KB))
(5)林野庁の拠出による持続可能な木材利用促進プロジェクト
技術委員会において、林野庁の拠出によりアジアで展開している「持続可能な木材利用促進プロジェクト」について、ベトナム、タイ、インドネ
シア及びマレーシアの各プロジェクト・コーディネータ―からプロジェクトの進捗状況や成果が報告されました。また、上記(2)(ィ)のプロ
ジェクトは、本取組を新たにインドにおいて展開するものです。



3.次回の日程
次回の第61回国際熱帯木材理事会は、令和7年10月下旬にパナマで開催される予定です。4.その他
(1)ITTOと(一財)リモート・センシング技術センター(RESTEC)の覚書締結ITTOとRESTECは、会期5日目となる令和6年12月6日(金曜日)に覚書を締結し、リモート・センシング技術を活用し、熱帯木材製品の持続可
能な取引と熱帯林の持続可能な経営に関連する相互の関心分野における両者の協力の可能性を探ることが発表されました。

(2)熱帯木材市場に関する議論
会期2日目となる令和6年12月3日(火曜日)に貿易アドバイザーグループ(ITTOの活動に助言を行う熱帯木材貿易に関わる民間事業者等で構成
される機関)は、EUDR(欧州森林減少フリー製品に関する規則)施行の12か月延期を歓迎しつつも、(EUDR以外にも)輸送費の高騰、干ばつ
や紛争による物流の混乱など、熱帯木材市場を取り巻く多くの課題について懸念を表明しました。
また、熱帯木材が市場シェアを失いつつあり、熱帯木材生産国が持続可能な森林経営に向けて行ってきた多くの努力が消費者に認識されていない
ことが課題であり、広報戦略を改善すべき等との指摘が発表した業界団体の代表からなされました。
当日の実際の発表及び議論の様子はこちら(外部リンク)をご覧ください。


その他の議題等の結果概要につきましてはこちら(外部リンク。決議や発表資料もご覧になれます。)をご覧ください。
お問合せ先
林政部木材利用課木材貿易対策室
担当者:貿易第二班
ダイヤルイン:03-3502-8063