北海道国有林の大自然、森林づくりの現場などから届いた”HOTな写真”を掲載していくギャラリーです
森林(もり)の撮っておき!(2022年8月)
大平山への登山 2022年8月28日 撮影
最後の8月週末に、島牧村にある大平山(おびらやま)に登りました。大平とは、アイヌ語の「オ・ビラ」を漢字で当てたもので、「崖のある川」という意味のようです。
大平山は、標高1190メートルで後志森林管理署が管轄し、大平山生物群集保護林に指定され希少な植物を有する山として有名です。
月越峠から臨む大平山(写真中央)
なぜ、希少な植物が多いのかというと、大平山は石灰岩という特殊な地質を含むためです。
石灰岩地の特徴として、カルシウムを多く含むため植物に必要な栄養が不足しやすく、岩が風化しにくいために土壌の発達が悪く乾燥しやすい環境となり、生息できる植物が限られます。
特に、木本植物にとっては生育が難しい環境のため、草本が主体となる植生が広がりやすいです。なので、周辺の山とは異なり標高が低くても森林が発達しにくく、石灰岩特有の植生となっております。大平山の代表的な植物としては、オオヒラタンポポやオオヒラウスユキソウをはじめとした、読み方は違いますが山名が由来となった植物が生息しています。
石灰岩の露頭とお花畑
登山口からの登り始めは、沢沿いの道を上がっていきます。
沢沿いの道では、カタツムリを多く見ることができます。
特に、カドバリヒメマイマイという殻が角張っているのが特徴のカタツムリを多く見ることができました。このカタツムリは、北海道の大平山とアポイ岳周辺でしか見ることができません。道中、踏まないように気をつけて登りました。
カドバリヒメマイマイ
沢沿いの道を上がりきると、ブナの樹林帯に入ります。ブナは、北海道では道南地域にのみ分布しており、国内分布の北限となっております。
ブナの樹林帯
ブナの樹林帯を抜けると、草原となり視界が開けます。天気が良ければ狩場山などを臨むことができ、草原には高山植物を見ることができます。
草原
特に、石灰岩が露出している様な礫地ではオオヒラウスユキソウやエゾコゴメグサ、カラフトマンテマなどの様々な高山植物が咲いていました。
オオヒラウスユキソウ
カラフトマンテマ
エゾコゴメグサ
ヤマルリトラノオ
チシマリンドウ
お花畑を登り続けると、稜線に出てきます。稜線に上がる直前からササなどの藪が生い茂り、歩きづらい道となります。ここからは、藪漕ぎとなるので、道を失わないように気をつける必要があります。
大平山(右端)
山頂に到着すると、日本海と噴火湾が一望できます。
大平山山頂
山頂から臨む日本海(左)と噴火湾(右)
8月も下旬となり、だいぶ秋の植物が主体となっておりました。
今度は、夏の花盛りの時期に登ってみたいものです。
(日高北部森林管理署 日高森林事務所 森林官補 大室 諒太)
トムラウシ山への登山 2022年8月10日 撮影
お盆休みを利用して、トムラウシ山に登りました。トムラウシ山は、日本百名山の1つで表大雪の南部に位置する標高2,141メートルの山で、「大雪の奥座敷」と呼ばれています。
奥座敷と呼ばれているように、旭岳などの大雪山からはかなり離れた場所に位置しており、旭岳から登る場合は山で泊まる装備が無ければなりません。
十勝西部森林管理署東大雪支署が管轄している、新得町トムラウシ温泉にある短縮コースを利用すると日帰りで11時間ほどの行程で往復することができます。
今回は、この短縮コースを利用してトムラウシ山へ登ってきました。
白雲岳避難小屋から臨むトムラウシ山(写真左端にある王冠型の山、7月撮影)
(写真をクリックすると拡大します)
トムラウシ山は、旭岳などの大雪山と同じ火山で、山の頂上付近が王冠のようにギザギザしている形をしています。
今回利用した短縮コースでは、火山由来の水はけの悪い土壌により、雨が降ると登山道はぬかるみ田んぼように泥だらけになる箇所が序盤に多くあります。
しかし、その道を抜けると岩場やお花畑が出現し、ナキウサギや高山植物などの高山らしい環境が広がっております。
トムラウシ公園周辺
特にトムラウシ公園周辺のでは、沼や岩場が庭園のような景色となっており、その中にミヤマアキノキリンソウやタカネトウウチソウなどの高山植物が咲き乱れて美しい眺めでした。
トムラウシ公園のお花畑
ミヤマアキノキリンソウ
タカネトウウチソウ
残念ながら天候には恵まれず、霧に閉ざされ山頂からの景色を臨むことができませんでしたが、お花畑などを楽しむことができました。
トムラウシ山山頂
山頂からの帰り際に、エゾシマリスが登山道に出てきてお見送りしてくれました。
エゾシマリス
今度は、晴れた日に登ってみたいです。
(日高北部森林管理署 日高森林事務所 森林官補 大室 諒太)
大きな大きなカツラの木 2022年8月5日 撮影
8月は夏真っ盛り、日が照り植物は良く育ち、森林の中は葉が茂ってうっそうとしています。そんなうっそうとした森林の中を調査で歩いていると、ひっそりと佇む大きなカツラの木を見つけました。
全景(写真をクリックすると拡大します)
写真中央にあるのが、そのカツラの木です。
ぱっと見だと大きさは分かりづらいので、木の横にポールを立てかけてみます。
大きさ(写真をクリックすると拡大します)
このポールは紅白の色一つひとつが20センチメートルの長さになっています。
こうやって見ると、幹の太さは直径1メートルよりもさらに太いことが分かります。
1メートルを超える太さの木はめったに見ることが無いので、私も驚きです。
また、よく見ると2本の木がくっついて育っていることが分かります。
カツラの木はこうやって複数の木がくっついて育つことが多いです。
裏側から見ると、こんな感じです。
裏側から(写真をクリックすると拡大します)
より大きさが分かりやすく、また2本の木がどちらも良く見えるせいか迫力がありますね。
ところで、カツラの木にはほかの木とは違った特徴がいくつかあります。
まずは葉っぱの付き方。
カツラの葉の付き方(写真をクリックすると拡大します)
カツラの葉は、1つの枝を伸ばしたらその両側に左右対称になるような形で枝を伸ばし、葉っぱを付けます。
このように対称になるように枝を伸ばして葉っぱを付ける木はあまり多くないので、カツラの代表的な特徴の一つになっています。
葉っぱの形も、丸みが強かったりします。
ねじれ(写真をクリックすると拡大します)
もう一つは、この樹皮の大きなねじれ。
カツラは大きくなればなるほど樹皮が厚く、そしてその樹皮がねじれた形になっていきます。左右の幹を見比べると、大きくなるほど厚く、そしてねじれるのが良くわかると思います。
大きくなる木はいくつか種類がありますが、これだけねじれるのは北海道ではカツラを置いて他にありません。
なので、幹を見るだけですぐにカツラと分かってしまったりします。
けっこう、分かりやすい木なんです。
下から見上げる(写真をクリックすると拡大します)
見事に育った大きな大きなカツラ。
これからもまだ成長して、さらに大きくなっていって欲しいですね。
(十勝西部森林管理署 芽室森林事務所 森林官 久保)
お問合せ先
総務企画部 企画課
ダイヤルイン:050-3160-6271