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北海道森林管理局

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    森の撮っておき!

    北海道国有林の大自然、森林づくりの現場などから届いた”HOTな写真”を掲載していくギャラリーです

    森林(もり)の撮っておき!(2022年7月)

    日高山脈・1967峰への登山 2022年7月最終週 撮影

    7月最終週、自分の仕事現場である日高山脈を久々に登りました。

    日高山脈は、「北海道の背骨」と呼ばれており、北海道唯一の山脈です。
    最高峰は幌尻岳(2,052メートル)であり、日高北部森林管理署と日高南部森林管理署が管轄している国有林です。

    ヌカビラ岳から臨む幌尻岳
    ヌカビラ岳から臨む幌尻岳(写真をクリックすると拡大します)

    幌尻岳は、日本百名山にもなっており、毎年多くの登山者がその頂を目指してやって来ます。
    特に、日高町のチロロ林道から登るルートは、徒渉点が少なく日高山脈の稜線に比較的たどり着きやすいのに加え、途中にある北戸蔦別岳付近にはテントスペースもあるため、多くの登山者が利用しております。

    今回は、そのチロロ林道から北戸蔦別岳を経て、幌尻岳と反対方向にある無名(むめい)(ほう)1967峰(いち・きゅう・ろく・なな・ほう)というマイナーな山を登ることにしました。
    1967峰は、正式な名前では無く標高からその名前で呼ばれています。

    日高・十勝の国境に聳える山で、日高町の最高地点です。
    南隣に北戸蔦別岳、東隣にピパイロ岳があり、双方の山からピストンで訪れる人が多く、山で1泊することが無難なコースとなっております。

    北戸蔦別岳から1967峰方面へ向かう登山道は、踏み跡程度しかなくハイマツの藪漕ぎをしながら登るコースとなっておりハードな行程となっています。

    踏み跡の登山道を覆うハイマツ
    踏み跡の登山道を覆うハイマツ(写真をクリックすると拡大します)

    加えて、天候不良時には視界が悪くなり、北戸蔦別岳からチロロ林道へ下山しようとした際に、誤ってピパイロ岳方面に向かってしまい遭難し、2名の方が亡くなる痛ましい事故がこの2年立て続けに発生しております。
    登山へ行く際は、どんなに低い山でも地図やGPSを持ち歩くように心がけましょう。

    今年から新たに設置された道標
    今年から新たに設置された道標

    北戸蔦別岳山頂からピパイロ岳へ続く稜線、昨年から日高町で注意喚起を行っている
    北戸蔦別岳山頂からピパイロ岳へ続く稜線、昨年から日高町で注意喚起を行っている

    北戸蔦別岳から1967峰に至るまでには、随所にあるコルにはお花畑があり、間近で高山植物を見ることができます。

    コルにあるお花畑
    コルにあるお花畑

    エゾウサギギク
    エゾウサギギク

    エゾシオガマ
    エゾシオガマ

    しかし、人があまり利用しないコースのため、お花畑ではヒグマの掘り返し跡をよく見かけました。
    道中すれ違う登山者からは、1967峰のお花畑でクマを見かけたとの注意喚起もあり、注意しながら登ってきました。

    ヒグマの掘り返し跡
    ヒグマの掘り返し跡

    チロロ林道ゲートの登山口から、8時間ほどで北戸蔦別岳と1967峰の中間に位置する1856メートルの尾根に到着。
    テントを設営し荷物をデポしました。

    1856m地点のテント場(左奥幌尻岳、中央北戸蔦別岳、中央右にテント)
    1856メートル地点のテント場(左奥幌尻岳、中央北戸蔦別岳、中央右にテント)
    (写真をクリックすると拡大します)

    12時頃に1967峰へアタックを開始しました。
    アップダウンの続く道のりで、手前に見えるピークを見ては1967峰の山頂かと錯覚し、一喜一憂。
    途中、岩場を登ったり、痩せ尾根を通過したりと気を抜くことができない所が随所にありました。

    1967峰(左の山)
    1967峰(左)(写真をクリックすると拡大します)

    2時間ほどかけて、山頂に到着。
    山頂では、日高町方面を見るとチロロ岳、十勝方面にはピパイロ岳や十勝平野を臨むことができました。

    写真の説明:1967峰山頂(手前の山は、ピパイロ岳)
    1967峰山頂(手前の山は、ピパイロ岳)
    (写真をクリックすると拡大します)

    1967峰山頂から臨むチロロ岳(中央右)
    1967峰山頂から臨むチロロ岳(中央右)(写真をクリックすると拡大します)

    1967峰山頂から臨む十勝平野
    1967峰山頂から臨む十勝平野(写真をクリックすると拡大します)

    帰りも2時間ほどでテント場に到着。
    テント場からは、夕焼けに赤く染まる日高山脈を見ることができました。

    テント場から臨む日高山脈(中央奥:幌尻岳、中央左:戸蔦別岳、中央右:北戸蔦別岳)
    テント場から臨む日高山脈(中央奥:幌尻岳、中央左:戸蔦別岳、中央右:北戸蔦別岳)
    (写真をクリックすると拡大します)

    今度は、チロロ林道から幌尻岳へ登ってみたいものです。

    (日高北部森林管理署 日高森林事務所 森林官補 大室 諒太)

    大雪山への登山 2022年7月中旬 撮影

    普段は日高の山を歩いていますが、上川中部署管内の山へ登山に。
    7月の連休中に、大雪山を登りました。
    大雪山は、「北海道の屋根」と呼ばれており、主峰の旭岳(2,291メートル)は道内で一番高い山です。

    旭岳
    旭岳(写真をクリックすると拡大します)

    大雪山とは、山の総称であって大雪山という山はありません。
    (このような総称で親しまれている山は、ほかには九州の霧島山や神奈川の箱根山があげられます。)
    大雪山は、大正時代に本格的に登られるようになり、その当時は御鉢平周辺の山々を指していたようです。

    御鉢平と周辺の山(左から、北鎮岳、凌雲岳、桂月岳、黒岳)
    御鉢平と周辺の山(左から、北鎮岳、凌雲岳、桂月岳、黒岳)
    (写真をクリックすると拡大します)

    その後、御鉢平から南へ連なる忠別岳やトムラウシ山、北部にあるニセイカウシュッペ山、東部にある石狩岳やニペソツ山、南部にある十勝岳までも指すようになっていきました。
    現在は、御鉢平からトムラウシ山までの山域を表大雪、北部の山域を北大雪、東部の山域を東大雪、南部の山域を十勝連峰と呼んでいます。

    地元の上川アイヌの人たちは、大雪山を親しみと畏敬の念を込めて「カムイミンタラ」、神々が遊ぶ庭と呼んでいたそうです。

    今回は、表大雪に属する旭岳から大雪高原温泉まで縦走してきました。
    行程としては、山で1泊する事が無難なコースとなっております。

    大雪山は火山であり、なだらかな溶岩台地が広がっています。
    その台地の上には、溶岩円頂丘というお椀を伏せたような形の山が点在しており、険しさよりも山の大きさを体感できるコースとなっています。
    標高2,000メートル付近に大規模な面積でなだらかな地形が広がっているため、広大なお花畑が成立し、国内屈指の高山植物の宝庫となっております。

    キバナシャクナゲやエゾノツガザクラの咲くお花畑
    キバナシャクナゲやエゾノツガザクラの咲くお花畑
    (写真をクリックすると拡大します)


    旭岳ロープウェイ姿見駅から2時間ほどで旭岳に到着。
    山頂の西側からは、忠別湖や美瑛の田園風景が見られました。

    旭岳山頂から臨む忠別湖
    旭岳山頂から臨む忠別湖(写真をクリックすると拡大します)

    東側からは、白雲岳や御鉢平の縁が見られました。

    旭岳山頂から臨む白雲岳(写真右中央)
    旭岳山頂から臨む白雲岳(写真右中央)(写真をクリックすると拡大します)
    先ほども紹介しましたが、大雪山には多くの高山植物が生育しています。
    ここでは、その一部を紹介します。

    メアカンキンバイ
    日本固有の種であり北海道にのみ分布しています。
    特に火山に多く、大雪山系、雌阿寒岳、羅臼岳などで見られます。
    メアカンキンバイとコヒオドシチョウ
    メアカンキンバイとコヒオドシチョウ

    ジムカデ
    地を這う様子がムカデに似ていることから、ジムカデと名前が付いています。
    高山帯の岩場に生える常緑性の矮性低木です。
    ジムカデ

    チョウノスケソウ
    一見チングルマに似ていますが、葉っぱの形が異なり特徴的な円い鋸歯縁となっています。
    日本列島の高山帯に広い範囲で分布していますが、生育地は限られています。
    チョウノスケソウ

    クモマユキノシタ
    北海道固有のユキノシタで、湿った礫地や草地に生息します。
    クモマユキノシタ

    ここからは、日本では大雪山系でしか見られない植物たちを紹介します。

    キバナシオガマ
    日本に分布するシオガマギクの仲間は、紫色にピンクが混ざった色の種が多いですが、大雪山系では黄色のシオガマギクを見ることができます。
    キバナシオガマ

    ヨコヤマリンドウ
    大雪山の限られた場所でしか見ることのできず、乾いた草地に生息しています。
    小さいため注視して探さないと見つけにくいです。
    今回の登山で一番見たかった花でした。
    ヨコヤマリンドウ

    ジンヨウキスミレ
    葉っぱが腎臓の形に似ていることからその名前が付いたようです。
    日本固有のスミレで、大雪山の湿った草地で見ることができます。
    ジンヨウキスミレ

    ホソバウルップソウ
    日本固有のウルップソウで、大雪山の湿った礫地に生息します。
    ウルップソウとの違いは、花弁と雄しべの長さを比べた時の関係です。
    ウルップソウの雄しべは花弁の半分の長さになります。
    一方でホソバウルップソウの雄しべは、花弁の長さと同じ長さになる違いがあります。
    ホソバウルップソウ

    ダイセツヒナオトギリ
    大雪山の地熱のある湿った裸地に生息し、分布が限られています。
    火山ならではの植物だと思いました。
    ダイセツヒナオトギリ

    エゾオヤマノエンドウ
    大雪山の砂礫地や風衝草原に生息する固有変種。
    強風に耐えるために、地を這うように生えています。
    エゾオヤマノエンドウ

    大雪山で見られた動物たちも合わせて紹介します。

    ダイセツタカネヒカゲ
    国内では、大雪山系の他に日高山脈でも見ることができる。
    食草は、カヤツリグサの仲間。翅の裏が黒茶色の斑模様のため、岩に擬態できるようになっています。
    尾根沿いの礫地で見ることができるが、礫地に止まると非常に見つけにくいです。
    ダイセツタカネヒカゲ

    ウスバキチョウ
    日本では、大雪山系でしか見られないチョウで、国の天然記念物に指定されています。
    食草はコマクサで、コマクサの生育する尾根沿いの礫地などで飛んでいる姿を見かることができました。
    ウスバキチョウ

    他にも、エゾシマリスやホシガラスなどの姿や、ナキウサギの鳴き声を確認する事ができました。

    白雲岳のキャンプ地でテントを張り1泊し、大雪高原温泉へ下山しました。
    下山日の早朝には、朝焼けで赤く染まるトムラウシ山を臨む事ができました。
    また、雲海に浮かぶ東大雪のニペソツ山が、なんとも幻想的な風景でした。

    白雲岳のキャンプ地から臨む朝焼けのトムラウシ山
    白雲岳のキャンプ地から臨む朝焼けのトムラウシ山
    (写真をクリックすると拡大します)

    ニペソツ山と緑岳(写真中央ニペソツ山、写真右緑岳)
    ニペソツ山と緑岳(写真中央ニペソツ山、写真右緑岳)
    (写真をクリックすると拡大します)

    大雪山は広大なため、時間をかけなければ一度の登山で網羅的に満喫することは難しいです。
    今回の登山で、大雪山のスケールの大きさを、身をもって体感しました。
    今度は、ルートを変えて別の大雪山系の山を登ってみたいです。

    (日高北部森林管理署 日高森林事務所 森林官補 大室)

    利尻富士にアタック 2022年7月9日(土曜日)撮影

    利尻島では7月になり、例年より冷え込んだ日の続いた6月とは打って変わって、やっと夏の季節が到来しました。
    残雪も少しずつとけていき、お花畑の季節を迎えると夏本番です。

    緑生い茂る利尻山。これからお花畑が広がる(8合目長官山より)
    緑生い茂る利尻山。これからお花畑が広がる(8合目長官山より)
    (写真をクリックすると拡大します)

    今回は4名で皆久しぶりの登山とあって、比較的利用者が多く中級者向けの、利尻富士町にある鴛泊(おしどまり)コースから山頂を目指しました。
    この日の風は非常に穏やかで、日差しが強く登山日和でしたが、道中は非常に暑く、熱中症に注意し水分をこまめに補給しながらの登山でした。

    山頂(北峰)周辺から西側の景色(ロウソク岩(写真左)と断崖絶壁斜面(写真右))
    山頂(北峰)周辺から西側の景色(ロウソク岩(写真左)と断崖絶壁斜面(写真右))
    (写真をクリックすると拡大します)

    早朝6時から山頂を目指して登山を開始し、山頂に到着したときには昼の12時を回っていました。
    約6時間かけて登頂しましたが、一息ついて周りを見渡すと息が止まるくらいの絶景が広がっていました。

    山頂には咲き始めのお花畑、ロウソク岩、利尻島の海岸線、隣の礼文島、遠くは本道の天塩町周辺の風車群も、うっすら眺めることができました。

    山頂から北側の景色(礼文島が海に浮かんでいるように見えました)
    山頂から北側の景色(礼文島が海に浮かんでいるように見えました)

    岩場にひっそりと咲く花(赤い花はエゾツツジ)
    岩場にひっそりと咲く花(赤い花はエゾツツジ)

    角度を変えて撮ると綺麗に写ります(白い花はイワヒゲ)
    角度を変えて撮ると綺麗に写ります(白い花はイワヒゲ)
    (写真をクリックすると拡大します)

    他にはエゾカンゾウや、ボタンキンバイソウの花も見られました。
    これらの花は、いずれも高山植物と呼ばれる冷涼な山地でしか見られない貴重な植物です。
    今回は残念ながら、撮影出来なかったですが、利尻島には固有種の植物もあります。

    利尻山山頂(漁の安全や豊漁を祈願してつくられた利尻山神社。左側には賽銭箱もあります)
    利尻山山頂(漁の安全や豊漁を祈願してつくられた利尻山神社。左側には賽銭箱もあります)

    山頂での絶景を惜しみつつ、午後1時には下山しましたが、登山口に到着したのは夕方の5時を回っており、長い道のりのようであっという間に時間が過ぎていました。
    また、利尻山は国立公園であると同時に、国有林でもあります。

    利尻島では、GSS(グリーン・サポート・スタッフ)と呼ばれる職員が、登山道の巡視や整備などを行っています。
    活動内容については北海道森林管理局のHPにも掲載されていますので、是非、そちらの記事もご覧ください。
    新しい発見があるかもしれませんよ。

    (GSS活動日誌:リンク先→利尻島発!GSS活動日誌:北海道森林管理局 (maff.go.jp)

    最後に、利尻山では、GSS以外にも地元自治体や環境省等の関係団体が協力して登山道整備を行っています。
    特に8合目~山頂までの登山道は侵食が激しく植生復元や保護、補修作業など様々な整備を行っているので、登山で訪れる際は、そういった方々に感謝の気持ちも忘れずに登山を楽しんでもらえたらと思います。

    (宗谷森林管理署  齋藤、高橋、村上、細野)

    ニセコ・神仙沼自然休養林に行ってきました。2022年7月9日(土曜日)撮影

    先日、浮島湿原に行ってきましたが、同じ高層湿原の神仙沼はどうかという声を聞きましたので、共和町にあるニセコ・神仙沼自然休養林にも行ってみました。
    こちらも「お薦め国有林」に指定されているものの一つになっています。

    神仙沼への入り口は、大型バスも入る大きな駐車場とレストハウスにトイレもあります(営業は9時から17時)。
    今日は、昼からくもりの予想でしたので、朝早く到着しそのまま木道へ進みます。
    神仙沼への入り口

    入り口から整備された木道を歩いて行きます。
    足下に注意は必要ですが、楽に進めます。

    15分ほどで湿原に入ります。黄色のエゾゼンテイカがお出迎え。
    エゾゼンテイカ

    神仙沼

    湿原の全体はこのような景色で、浮島湿原と比べると池は大きいけれど数は少ない印象です。
    湿原の面積もこちらの方が小さいですが、こちらは神仙沼があります。
    湿原の全体はこのような景色で、浮島湿原と比べると池は大きいけれど数は少ない印象です。

    神々や仙人が住んでいそうという名前の通りの景色。
    湿原の面積もこちらの方が小さいですが、こちらは神仙沼があります。

    トキソウ
    トキソウ


    エゾチングルマ
    エゾチングルマ


    エゾゼンテイカ
    エゾゼンテイカ

    植物の写真を撮りながら、駐車場に戻ります。
    ここまで一時間かからず回れるのでお手軽です。

    駐車場からは、共和町が一望できる展望台にも行けます。
    メロンの一大産地ですね。
    駐車場からは、共和町が一望できる展望台にも行けます。メロンの一大産地ですね。

    ここで天候をにらみつつ、長沼と大沼のどちらに行くか悩んだ結果、大沼方面へ移動。
    大沼へは大谷地と呼ばれる湿原から入りました。(大谷地脇の駐車場より)
    大沼へは大谷地と呼ばれる湿原から入りました。

    こちらも湿原内は木道がありますが、整備度は低いので、足下には要注意です。
    こちらも湿原内は木道がありますが、整備度は低いので、足下には要注意です。

    木道脇にはいろいろな花が見られました。

    ヒオウギアヤメ
    ヒオウギアヤメ

    エゾゼンテイカ群落
    エゾゼンテイカ群落

    ハクサンチドリ
    ハクサンチドリ
    大谷地を抜けると林内に入り、道も木道から登山道に変わります。

    アカモノ
    アカモノ

    突然目の前に飛んできたアオジ
    突然目の前に飛んできたアオジ

    雲が出てきたので急ぎ、一時間足らずで大沼に到着。
    雲が出てきたので急ぎ、一時間足らずで大沼に到着。

    ギリギリ青空が入りました。大沼は1箇所だけ、水辺に寄ることができますが、それ以外は、道は少し沼を離れています。
    ここで折り返し、急いで最初のレストハウスに戻りましたが、山は雲に覆われてしまい、長沼方面は断念。

    ようやく開店したレストハウスで、寄付金付きの素敵なポストカードを買って、また今度です。

    企画課 佐藤(秀)

    利尻山への登山 2022年7月上旬撮影

    普段は日高の山を歩いていますが、7月上旬に休日を利用して宗谷署管内の山へ登山に。
    今回は、利尻山を登りました。

    海上から臨む利尻山
    海上から臨む利尻山

    利尻はアイヌ語の「リィシリ」から転じたもので、「高い山」という意味のようです。
    利尻山は、島中央に聳えその山体から利尻富士という愛称で親しまれており、火山活動で形成された山です。

    海上の独立峰であるため、雲がかかりやすく晴れる日が少ない山としても知られております。
    現在の山頂地点は、祠のある北峰の1719メートルで、実際の山頂はそこから少し移動した南峰1723メートルですが、植生保護のために現在は立入りが制限されております。

    今回は、長官山を経て山頂まで登る(おし)(どまり)コースから登りました。
    このコースは、登り5時間、下り4時間の行程となっており、長官山までの道のりが長く、そこから利尻山山頂までまた登り返すコースとなっております。

    この時期は夏の高山植物が咲き始める時期で、山頂直下では、利尻固有のボタンキンバイの群落を見ることができます。

    登山口の甘露泉を午前3時30分頃に出発し、3時間30分ほどかけて長官山までの長い道のりを登りきりました。
    長官山まで上がりきるまで利尻山の山体は見えず、まだかまだかという思いで登ると、ようやく利尻山の頂が見えます。

    この日は、運が良く山体と鴛泊港の周辺は青空が広がっており見渡すことができました。

    長官山山頂から臨む利尻山
    長官山山頂から臨む利尻山(クリックすると拡大します)

    長官山から2時間ほど歩くと、山頂へ到着。
    山頂までの道のりで、様々な高山植物を見ることができました。

    島固有の植物としては、ボタンキンバイがあげられます。
    ボタンキンバイは、キンポウゲ科の植物で、シナノキンバイなどの仲間です。
    山頂直下にはボタンキンバイの群落が広がっておりますが、急斜面で立ち入ることはできない所にあり遠目から観察しました。

    ボタンキンバイ
    ボタンキンバイ

    山頂直下のボタンキンバイの群落
    山頂直下のボタンキンバイの群落

    キクバクワガタは利尻固有ではありませんが、国内では北海道にのみ分布している植物です。
    クワガタとは、漢字では鍬形と書き、兜の前びさしの上に付いている角のように出ている金具のことです。

    果実ができると二本の萼(がく)が果実に付き、その姿が兜の鍬形に似ているからそのような名前が付いたようです。
    残念ながら、今回は果実を確認することはできませんでした。

    キクバクワガタ
    キクバクワガタ

    山頂からは、鴛泊港とペシ岬を見渡すことができました。
    ロウソク岩や南峰まで続く登山道も見ることができ、お花畑が尾根筋に広がっていました。

    利尻山山頂の祠
    利尻山山頂の祠

    利尻山山頂から臨む鴛泊港とペシ岬
    利尻山山頂から臨む鴛泊港とペシ岬

    南峰とロウソク岩
    南峰とロウソク岩

    周りを海に囲まれ、標高が高い山があることで島独自の自然環境が生み出されています。
    その環境が、利尻島ならではの固有な植物を育んでいるのだと実感できました。

    季節を変えて、また訪れてみたいものです。

    (日高北部森林管理署 日高森林事務所 森林官補 大室)

    お問合せ先

    総務企画部 企画課
    ダイヤルイン:050-3160-6271