北海道国有林の大自然、森林づくりの現場などから届いた”HOTな写真”を掲載していくギャラリーです
森林(もり)の撮っておき!(2021年1月)
誰の足跡? 2021年1月20日(水曜日)撮影
私のいる十勝地方は、年末はびっくりするぐらい雪が積もらず、ニュースでも「十勝は観測史上初の雪のない年末」などと言われていました。
ところが、年が明けたとたんに雪が降り続き、今ではすっかり一面雪景色に変わりました。
街も山も、どこもかしこも雪だらけです。
そんな雪の世界では、普段あまり見えないものがよく見えるようになります。
何が見える?
積もった雪の上に、雪のくぼんだ「あと」が沢山見えますね?
そう、雪の上に何かが通ったり、落ちたりすれば、それが「あと」になってよく見えるようになるのです。
さて、皆さんはどんな「あと」を見つけられたでしょうか。
人の通った足跡もありますし、雪の塊が木から落ちた跡もありますね。
そしてこの中には、ある動物の通った跡も写っています。
雪の中に足跡
拡大して見てみましょう。
足跡アップ
私たちが真っ先に思い浮かべるような、四足歩行の動物の足跡とはかなり違うのが分かるでしょうか。
さらに分かりやすく、足跡にしるしをつけるとこうなります。
足跡図示
前足が縦に並んで、後ろ足が横に並び、Yの字のような形になっているのが分かるでしょうか。
職場の先輩からはよく、「三角形になっている」と説明されたりもします。
この特徴的な足跡は、皆さんも知っている動物。
エゾユキウサギの足跡です。
ウサギの足跡がこのような形になる理由は、ウサギの移動の仕方を思い浮かべれば簡単に分かります。
ウサギはジャンプするように移動するので、着地の時に前足をつき、その後ろに後ろ足を持ってきます。
その結果、足が同時に地面について、「三角形のような」足跡が残るんです。
こうやって、動物の動きを知ることが出来るんです。
最初に言ったように、雪の上は「普段あまり見えないものがよく見える」んですよ。
他の場所では、エゾシカやクマ、キツネ、エゾリス、ときには人間が通った跡も分かったりします。
真っ白で何もないように見える雪の上には、たくさんの情報が潜んでいます。
(十勝西部署 芽室森林事務所 森林官 久保)
身近な野鳥 2021年1月9日(土曜日)撮影
新年早々、官舎の前のサクラの木にアカゲラ(キツツキの仲間)が来てくれました。
筆者が撮影したアカゲラ
筆者の腕ではうまく写真を撮ることができなかったため、過去に他署で撮影された写真も掲載します。
写真ではわかりづらいですが、アカゲラは頭とお尻の赤い色がきれいな鳥です。
年の初めに紅白模様の鳥が家の前に来てくれたのは縁起が良いですね!
以前に上川中部署が撮影したアカゲラ
家の中から観察していると木をつついているように見えたのですが、サクラの木を確認してみると、つついた跡は見つかりませんでした。
本来は下の写真のような丸い穴があくのですが・・・
キツツキの仲間はこんな感じの穴をあけます
キツツキは枯れかかった木をつつく事が多いので、このサクラの木も枯れてしまうのかと思いましたが、心配なさそうです。
春にはきれいな花が咲く予定(昨年5月14日撮影)
アカゲラは毎日サクラの木に通っていたのですが、数日後には来なくなってしまいました。
サクラが無事で嬉しいような寂しいような、複雑な心境です。
(根釧西部森林管理署 弟子屈森林事務所 西浦)
円山山頂の「山碑」、藻岩山と三角山 2020年12月31日(木曜日)撮影
標高225mと、本格派にはちょっと物足りないかもしれませんが、家族連れ、ご年配の方でも気楽に登れ、道中では大正10年に天然記念物に指定された素晴らしい景観や、エゾリスが見られるとともに、山頂からは札幌の町を一望できる素晴らしい山、それが円山です。
というわけで、年末の12月31日、円山頂上を目指して出発しました。
頂上まで約1kmの八十八カ所入り口から入山します。
積雪がありますが、足下は締まっておりさくさく歩けます。
何人もの人が下山して来ます。こんな日でも登る人もいるのだなと感心していると、ここで問題発生、大量の鼻水です。
立ち止まって鼻水をかむ間に後方から来た登山者に追い越されます。
ちぎれそうな鼻をすすりつつ、馬の背状の尾根まで来ると日差しが当たって若干楽になりますが、尾根を過ぎるとまた日陰の斜面を斜めに上がります。
しばらく歩き、頂上に到着です。
草が枯れ、葉も落ちているので札幌市街が一望できます。素晴らしい景色ですね。
頂上には「山神」と彫り込んだ石碑があります。
明治5年、建設する開拓使庁舎を石造りとしたため、請負人が円山頂上で良質の石材を発見、採掘許可を受け本州からの石工20数人で石材採掘を始めました。
石材採掘が本格化する中、作業現場に「山神」を祀り、安全を祈願しようと石工の組頭がこの石碑を製作したのですが、翌明治6年に円山や藻岩山は豊富な樹木に恵まれた美しい山として禁伐林となり採掘も中止、石碑の存在も忘れ去られた昭和21年、麓の大師堂の関係者に発見され、昭和32年、この地に安置されたとのことです。
側面に「明治5年12月」と彫られています。
ところで、この円山、かつては「モイワ(アイヌ語で小さな山)」と呼ばれていたのをご存知でしょうか。
では、現在の「藻岩山」はというと当時は「インカルシペ(アイヌ語でいつも遠くを見渡す所)」と呼ばれていました。
じゃあ「円山」はどこへ行ったのかというと現在の「三角山」が「マルヤマ(アイヌ語のエプィ、ぽこんと盛り上がった小山の意から)」と呼ばれていました。
この話は、長くなるので、またそのうちに。
下図をご覧ください。
赤線が道路、水色線が川です。
「本廳」とあるのが開拓使、「札幌神社」とあるのが北海道神宮です。
上部左よりに「エンカルシペ」、右斜め下に「モイワ」、さらに右斜め下に「マルヤマ(図では「マルヤ山」)」と記載されています。
出典:北海道立図書館蔵「札幌郡西部図(明治6年11月製)」
さて、下山ですが、踏み固められた雪のため大変滑りやすく、走り出したら止まれないと思われ、一歩一歩慎重に歩きます。
冒頭お話ししたエゾリスには会えませんでしたが、ポケットいっぱいの使用済みティッシュをおみやげに、転倒することもなく、無事八十八カ所入り口に到着です。
残念ながら今回は時計を忘れて所要時間は未計測でした。それではまた。
(調査官 目黒)
木の断面 2020年12月24日(木曜日)撮影
木の立っている姿はいつも目にしますが、木の内側を見ることは意外と少ないのではないでしょうか。
木の横断面を木口(こぐち)といい、木口にも木の個性があらわれます。
今回は間伐(森林の密度調整)現場の丸太から7種を選んでご紹介します。
まずはトドマツをご紹介します。
トドマツは北海道の代表的な針葉樹で、梱包材や建築材など幅広い用途に使われています。
次から紹介する広葉樹と比べると針葉樹は曲がりや変形が少なく、木口もきれいな円になります。
トドマツの木口
次はハルニレの木口です。
ハルニレはエルムとも呼ばれ、街路樹として植栽されることも多く、目にする機会の多い木の一つです。
水気のあるところを好み、沢沿いで多く見かけます。
また、夏には樹液にクワガタムシの集まる木としてもよく知られています。
ハルニレの木口
こちらはシナノキの木口で、均一な明るい色をしています。
シナノキは比較的柔らかく、オオバボダイジュとともに合板用に広く使われています。
この丸太では年輪が右側に偏っていますが、この木が生えていた環境をつい想像してしまいます。
シナノキの木口
続いてはドロノキの木口です。
ドロノキはポプラと近縁な種で、種子とともに綿毛を遠くに飛ばします。
成長が非常に早く、他の木と比べて年輪幅がとても広いのも特徴の一つです。
ドロノキの木口
この濃い色をしているのはキハダの木口です。
キハダは樹皮の内皮が黄色い特徴があり、この部分が漢方薬に使われています。
また、キハダはアゲハチョウの仲間のカラスアゲハやミヤマカラスアゲハなどの食樹としても知られています。
キハダの木口
こちらはカツラの木口です。
カツラは日本固有種で、沢沿いで大木を見かけることもあります。
春先は新芽が赤く染まり美しいのですが、秋も黄色い葉が甘い香りを漂わせ、季節を楽しませてくれます。
また、褐色腐朽菌に侵されやすく、ツヤハダクワガタなど褐色腐朽を好む昆虫の住処(すみか)となります。
カツラの木口
最後はオニグルミの木口です。
オニグルミはやや水気のある環境を好み、材は家具などに利用されています。
果実は食べることができ、エゾリスなどの動物たちのご飯にもなっています。
オニグルミの木口
木口は種内でも個体差が大きく、1本1本の個性が見て取れます。
この個性も木の魅力の1つなのだと感じています。
(西紋別支署 北雄森林事務所 寺田)
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