北海道国有林の大自然、森林づくりの現場などから届いた”HOTな写真”を掲載していくギャラリーです
森の植物
秋が近付いています 平成29年8月30日(水曜日)撮影
調査で紋別市内の国有林を歩いていたら、こんな植物たちが見られました。
コマユミの実がなっていました。秋に向けてもっと赤く色づいていくでしょう。
真っ白なギンリョウソウです。こう見えても植物です。
菌類から栄養を摂っている腐生植物のため、葉緑素を持ちません。
チョウセンゴミシの実がなっていました。
つる植物なので木に巻きついてたくさんの赤い房が付き、とてもきれいです。
キアゲハの幼虫がいました。
終齢幼虫のようで、これからさなぎになるようです。
黄色い斑点がきれいです。
(西紋別支署業務グループ主任森林整備官)
大雪山系黒岳~旭岳 平成29年8月12日(土曜日)撮影
黒岳から北海岳経由で旭岳まで縦走してきました。
当日は雲行きが怪しく、ロープウェイに乗る段階からカッパを羽織っていきました。
黒岳頂上まで登っている間も何度か雨に降られました。
ですが、視界は良好!
このあとも「雨ニモマケズ風ニモマケズ」登り続けました。
雨に打たれた植物は心なしか生き生きとしていてきれいです。
ハイオトギリ
エゾコザクラ
イワギキョウ
チングルマ(綿毛)
山に登るならやはり晴れが嬉しいですが、
たまにはこのような天気で登るのも悪くないと思いました。
(撮影者:企画課 辻)
50年~120年に一度?!笹の開花 平成29年7月3日(月曜日)撮影
中標津町内の国有林でクマイザサ(九枚笹)に花が咲いているのを見つけました。
笹の開花周期はとても長く、種類によって50年~120年程にもなるとのことです。
花は一定の地域でまとまって咲き、一度開花すると枯れてしまうそうです。
なかなか見られない貴重な花、皆さんも見つけてみてはいかがでしょうか。
(撮影者:根釧東部森林管理署 養老牛森林官)
平成29年6月20日(火曜日)、21日(水曜日)撮影
海岸近くの海岸防風林の林縁でマイヅルソウの群落を見つけました。
枝が絡み合うように伸びていて昼間も真っ暗な林内。
下層植生もほとんど見られませんでした。
日が射さないせいなのか、単に時期が早かったのか、葉はたくさんあるのに、花を付けているものはわずかで、唯一見つけたのがこの一輪。
写真だとわかりにくいのですが、線香花火のように小さくて白い花がまとまって咲きます。
マイヅルソウ(舞鶴草)は、2枚の葉の様子が鶴の舞う姿のようであることから名付けられたそうです。
諸説あるようですが、一番しっくりきたものを紹介します。
マイヅルソウの花は線香花火にたとえましたが、こちらの写真のバイケイソウは手持ちの噴出花火のような少し派手な印象を受けました。
背も高く(60cm~1.5m)、茎も葉もパリっとしていて大きいので見つけたときは、何となく圧倒されるような気持ちになります。
ここまで大きくなると違いは明白ですが、芽吹きの頃にはギョウジャニンニクに似るそうです。誤食すると嘔吐、血圧低下などを引き起こし、重症化して死亡した例もあるそうです…。
山菜との大きな違いとして、「全く美味しくない」ことが紹介されていたのですが、だれがそれを言っていたのかが個人的にはとても気になるところです。
(西紋別支署大山)
フラワーソン参加平成29年6月17日(土曜日)、18日(日曜日)撮影
6月17,18日の2日間、フラワーソンに参加しました。
フラワーソンとは北海道新聞社の主催で5年に1度全道各地で同日に行われる花の開花状況調査です。
各地で花が好きな人たちがグループを作り、2日間でそれぞれ咲いている花・つぼみ・咲き終わった花を調べていきます。
今回は網走西部森林管理署西紋別支署で有志を募って調査を行いましたので、その時の様子をお伝えします。
林道沿いであっても意外と様々な花が咲いていました。
エゾオオヤマハコベです。
ハコベの仲間は見分けるのが難しいですが、これは花弁が細かくチリチリになっているので、見分けやすいです。
エゾレイジンソウです。
緑色っぽい花で、森林の中にひっそりと咲いていますが、トリカブトの仲間なので、猛毒を持っています。
ヤマブキショウマです。
花の付き方は円錐形で総状花序と呼ばれ、棒状の花穂に白い小さな花がびっしりと付いて咲いています。
サイハイランです。
森林の中の暗い所に咲くピンク色のランです。
フラワーソンでは特定種調査の対象となっていて、あったかどうかと開花状況を記録することになっています。
調査を終えて林道を歩いていると、大きなガがいました。
オオミズアオというヤママユガの仲間です。
しかも2頭、ササの葉を挟んで向かい合っていて、動かないのでじっくり観察できました。
何をしていたのかは聞けなかったので定かではありませんが、交尾の前後とかかもしれませんね。
今回は、1日目に73種、2日目に45種の花を確認しました。
ただ、林道は人の出入りがあるため、セイヨウタンポポやルピナスなどの外来種が多いのも事実で、森林生態系に影響を及ぼさないことを願うばかりです。
この機会に初めて見る花や見分けるのが難しい花をたくさん調べることができ、また一つレベルアップできたように思います。
(西紋別支署業務グループ主任森林整備官)
野幌にて(平成29年6月16日撮影)
5月下旬にトケンランの葉を見つけてから、いつ花が咲くのかなと待っていたら、ようやく咲いてくれました。
トケン(杜鵑)とはホトトギスのことで、花被や葉についている斑点がこの鳥の胸の斑点に似ていることから、この名がつけられたそうです。
本州では多くの地域で絶滅危惧種に指定されています。
また、北海道においては南西部では普通に見られるものの、野幌においては非常に珍しいヤグルマソウの花も満開でした。
ヤグルマとは鯉のぼりに添える矢車のことで、アキタブキと同じくらいの大きさの葉です。
葉の付き方が矢車に似ていることから、この名がつけられたそうです。
葉は若干紫色をおびていました。
(撮影者:石狩地域森林ふれあい推進センター所長)
白い花シリーズ(平成29年5月23日撮影)
春の訪れを喜んでいたはずなのに、なかなか暖かくならずに寒い日が続いてしょんぼりしているオホーツク管内滝上町です。
今回は「白い花シリーズ~葉っぱの質感は全然違うけど~」です。
噂のクルマバソウが咲いていました~!
葉っぱについた水滴も綺麗です。(上の写真をクリックすると、写真が大きくなります)
クルマバソウの特徴的な葉っぱについて、実は本葉は2枚だけで、残りは全て托葉だそうです。
どれがどれなのか、違いがわかりません…
林内でひときわ目を惹くのが、オオバナノエンレイソウです。
花も葉も大きく目立つので、見つけやすい、というのが目を惹く理由の一つかもしれません。
この花は変異が大きく、花びらが少し細かったり、花びらの縁が波打ったりするものもあるそうなので、花の様子が少し違うものを探してみるのも面白いと思います。
全然一人で咲いていないですが、ヒトリシズカです。
集まって咲いているところをみると、少し賑やかなようにも感じられるのは、私だけじゃないと思いたいところです。
開花後に葉と茎が伸びて20~30cm程になるそうです。
白い花びらの様に見える部分はおしべで、花びらはありません。
てかてかした緑の葉も特徴的ですが、白いぱやぱやしたおしべの様子も面白いなと思いました。
暑くなったり、寒い日が続いたり、はっきりしない天気が多いですが風邪などひかないように気をつけてください。
(撮影者:西紋別支署一般職員)
緑の葉っぱの話(2017年5月16日撮影)
林道沿いで、かわいらしい葉っぱを見つけました。
この植物は、「クルマバソウ」といいます。
葉っぱが輪状に広がる様子から、牛車の車輪に見立てて「車葉草」と名付けられたそうです。
花が咲くと、花に目が行きがちですが、この葉っぱの形やたたずまいが、なんとも愛らしく感じられました。
ところで、「ひっつき虫」をご存じですか?
クルマバソウの果実は、鉤状のとげをもち、衣服などに“ひっつく”そうです。
季節によっていろいろな顔を魅せる姿も、なんとも可愛らしいです。
山で見つけたら、その花だけでなく、葉っぱの形も気にかけて観察すると面白いかもしれません。
さて、筆者「花より団子」でございます。
林内でどうしても探してしまうのが、“山菜”です。
見てください、この立派な“こごみ”。
正式名クサソテツ。葉が開いた姿がソテツに似ていることから、この名前になったそうです。
“こごみ”は若葉の様子がこごんだ様に見えるからだそうです。
この写真だと、どちらかと言えば“クサソテツ”でしょうか。
「もう立派になりすぎて硬いよ。」と先輩職員に言われたのですが、いじらしく写真を撮ってきてしまいました。
まだ食べたことはないのですが、アクがなく、おひたしや油炒め、煮物などなんでもおいしいそうです。
もちろん天ぷらにしても美味だとか…
山菜の時期であると同時に、雪解けによる増水や冬眠明けのヒグマなど、危険なものも多い時期です。
山菜採りに出かける際は、充分注意して、夢中になりすぎないように、楽しんでください。
(撮影者:西紋別支署一般職員)
ニリンソウが満開です(2017年5月9日撮影)
野幌森林公園では、ニリンソウが満開です。
よく見ると、花びら(実際には萼片)の先が薄いピンク色のものがあります。
(ニリンソウのピンクの蕾をみつけました)
花びらが開くにつれ、ピンク色が薄まり、最後には白色になってしまうそうです。
花びらのフチにうっすらピンク色が残るニリンソウを見つけました。
(花びらのふちにピンク色が残るニリンソウ)
また、ミドリニリンソウのトリオを撮影することができました。
(ミドリニリンソウのトリオ)
(撮影者:石狩地域森林ふれあい推進センター所長)
春を告げる花たち(2017年4月24日撮影)
1日1日と雪解けの進む北海道の山々。網走西部森林管理署西紋別支署管内の滝上町の国有林でも、春を告げる花々が咲き始めました。
(林床に咲くキタミフクジュソウ)
早春の名花と言えばまずはフクジュソウ。キンポウゲ科の多年草で、タンポポくらいの大きさの黄色い花を咲かせます。普通のフクジュソウは北海道から本州、四国まで分布していますが、今回見つけたものは、キタミフクジュソウというものです。フクジュソウの近似種で日本では北海道のみ(主に道東、道北)に自生する希少種です。雪の解けた林道の縁で、太陽を反射し、黄金色に輝いていました。
(キタミフクジュソウ)
1.キタミフクジュソウは必ず一つの茎に一つの花が咲く
2.葉の裏に毛が多く白っぽく見える
3.萼片(がくへん)が長く、花弁と同じくらいか、花弁より長い
などが挙げられるそうです。早春の森林で黄色い花を見つけたら、フクジュソウか、キタミフクジュソウか、ぜひ観察してみてください。
さて、もう一つご紹介しますのは、ナニワズという花です。「なにわず」と言えば、競技かるたの序歌として知られる名歌にこんなものがあります。
難波津に咲くやこの花冬籠もり今を春辺と咲くやこの花
この歌の中の「花」とは梅の花のことだそうですが、ご紹介するナニワズの名前の由来も冬籠もりから覚めて春一番に咲く花というところから、この歌から名付けられたという説があります。
(ナニワズの花)
このナニワズ、庭木などによく植えられるジンチョウゲの仲間で、膝丈くらいの低い木に黄色い小さな星のような花が沢山ついています。香りを嗅ぐとジンチョウゲに似た良い香りがします。
(膝丈ほどのナニワズ)
ところで、この写真を撮影したのは4月の末なのですが、雪の解けたばかりの北海道の山の中に青々とした広葉樹の葉っぱがあるのは、ちょっと不思議ですね。常緑広葉樹なのかなと、一瞬考えますが、北海道には常緑広葉樹はほとんどありません。では、なぜなのでしょう。調べてみると、なんとナニワズは夏に落葉し、秋にもう一度葉をつけるそうです。そうして、葉と蕾をつけたまま雪の下で長い冬を越えるので、こうして春一番に花を咲かせることができるのです。
長い冬を雪の下で耐えるナニワズの木を想像してみると、今咲いている花々がいっそう春を喜んでいるように見えてくる気がします。
(撮影者:西紋別支署北雄森林事務所森林官補)
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