紋別バイオマス発電所を見学
【西紋別支署】
令和元年7月30日(火曜日)、当支署職員15名が紋別バイオマス発電所と隣接する燃料チップ工場を見学しました。
 紋別バイオマス発電所
紋別バイオマス発電所は国内最大級のバイオマス発電所で、一般家庭10万世帯分に相当する5万kWの発電規模があります。 主要な燃料は道産材の木質チップで、端材や枝などの林地未利用材も一部利用されており、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)の対象となっています。
当日は燃料チップを生産しているオホーツクバイオエナジー(株)営業部の安井部長に案内していただきました。
 オホーツクバイオエナジー(株)の安井部長
紋別バイオマス発電所では協力工場からのチップを含めて年間約20万トンの間伐材や林地未利用材を使用しており、そのうち約半分を隣接しているオホーツクバイオエナジー(株)のチップ工場で生産しています。
チップ工場では、主にオホーツク圏から集めた産地の証明のとれる間伐材等を使用し、端材や枝などの末木枝条は破砕チップ(潰して作るチップ)に、原木は切削チップ(切って作るチップ)に加工されます。樹種の選り好みはなく、市内の土場に約7~8万立方メートルの原木を常時確保しています。
破砕チップを作る破砕機は切削チップと比べて処理能力が低いため、一次破砕機で先に粗く破砕しておき、効率を上げているそうです。
 端材を一次破砕機で破砕する
発電用の切削チップはパルプ用の切削チップとは異なり樹皮が付いたまま切削され、樹皮も燃料として利用されます。 切削チップと破砕チップは混合して発電に使用します。
 樹皮が付いたまま投入
紋別バイオマス発電所では安定した電力を供給するため、木質燃料(熱量比で6割)と石炭(同2割)、パーム油の絞りかす由来のPKS(同2割)を混合して燃焼させています。 このうち木質燃料とPKSによる発電分がFIT制度の対象となります。
 燃料のPKS
発電所内では各種燃料のバンカ(ボイラーに入れる燃料をストックしておく容器)やボイラー、タービンなどを見学させていただきました。
木質燃料のバンカは2基設置されていますが、ストックできる量は一晩分に満たないため、夜間も燃料の投入を行っています。
 中央銀色の円筒が木質バンカ
ボイラー周辺は燃焼による熱で暑くなっており、燃焼の様子を見ることができました。 発電所ではボイラーで水蒸気を発生させ、その水蒸気の力でタービンを回して発電します。
 水処理棟(左)と冷却棟(右)
発電機とタービンはトラックほどの大きさであまり大きくありませんが、これで約10万世帯分の電気を作り出しています。 紋別バイオマス発電所では法定点検の他に半年に1度自主的な点検を行っていて、これまでに事故などは発生していないそうです。
 電気を作り出すタービン棟
見学を通じて当支署職員からはどのような林地未利用材が好ましいのか、また末木枝条等の運送方法についての質問があり、末木枝条には泥が付着していないことが重要であること、枝条はかさばるため現地で破砕しないと運送にコストがかかることが課題であることなどを教えていただきました。
今回の見学を通じ未利用材の有効活用について、どのように取り組んでいくべきなのか一層イメージを広げることができ、大変勉強になりました。お忙しい中ありがとうございました。
(北雄森林事務所 寺田)
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