知床森林生態系保全センターブログ(2023年1月)
令和5年1月28日 スノーシューで知床の冬の森を歩こう
自然公園財団知床支部が主催するイベント「スノーシューで知床の冬の森を歩こう」に外部講師として参加し、知床の森林について解説を行いました。このイベントはスノーシューで雪の上を歩き、知床の自然について解説を聞きながら五感で感じ関心を持ってもらうことを目的として、主に地域住民向けに無料で開催されたものです。また、1月30日が知床の日(※)であり、知床の自然について改めて考えてもらうきっかけとしたいとの想いで開催されました。
※知床の日:北海道では、知床の豊かな生態系を支える出発点として重要な意味を持つ「流氷」にちなんで、世界自然遺産登録年(平成17年)の知床における流氷接岸初日の1月30日が知床の日とされています。知床の日は、「知床の価値について改めて、考える日」とされています。
参加者は地域の方や羅臼から来た方など合計7人でした。地元の小学生の参加者はスノーシューを履くのが初めてだったとのことで、楽しんでいただけたようでした。
まっさらな雪の上をスノーシューで散策
当センターの職員からは、知床半島に生育する樹木の特徴や、エゾシカの影響について解説を行いました。知床半島では、1980年代から90年代にかけて増加したエゾシカの採食圧の影響で、エゾシカの好む樹木の数が減ってしまいました。特にイチイ、ニレ、キハダという木をエゾシカは好み、樹皮を剥がされ枯れてしまった木を知床では多く見ることができます。シカの影響の少ない電気柵の中とシカの影響の大きい電気柵の外では、柵の中の方がササが成長し背が高いことを解説すると、参加者からは「こんなにわかりやすくシカの影響が出ていると思わなかった」といった感想も聞かれました。
知床の森林や木の樹皮の特徴について解説を行う職員
電気柵の内側(写真左下)は地面のササが高く、シカの採食圧がかかる電気柵の外側(写真右上)にはササが見えない
また環境省職員より、流氷が見られる場所は世界でも大変珍しいこと、オホーツク海という場所が流氷の形成に深く関わっていること、流氷が知床の生態系にとって大変重要な役割を担っていることなどの解説がありました。
環境省職員による解説の様子
この日は久々に天候にも恵まれ、綺麗な青空が広がり散策に心地よい気候となりました。
快晴のウトロ漁港
知床半島の自然環境について知識を深めるとともに、その特徴的な自然環境を感じ、関心を持ってもらえれば大変嬉しく思います。
海の水平線の先にはうっすらと白く流氷が見えていました!接岸が待ち遠しいです!
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