知床森林生態系保全センターブログ(2022年7月)
令和4年7月22日 知床岬巡視
知床半島先端部にある知床岬にて、植生をシカから守るために設置している防鹿柵の点検補修作業などを行いました。
知床世界自然遺産地域では、「知床世界自然遺産地域管理計画」に定められた管理方策において、遺産地域を科学的に評価しながら管理していくため、長期的なモニタリング調査を実施することとしています。
このモニタリングに高密度となっているエゾシカの食害の影響を調査するという項目があり、知床半島全域に植生の変化を追うためのプロットを設置しています。
知床岬の防鹿柵の中にもこの植生プロットがあるのですが、この防鹿柵は倒木やクマなどの影響で破損することがあるため、定期的に点検・修理が必要となります。
大きく破損してしまった防鹿柵
今回は網が大きく剥がれてしまっている箇所がありました。
このような場合は、柵に掛かっていた枝を切断し、曲がってしまった網の部分を真っ直ぐになるように手で一つ一つ直していきます。
大きな破損部分の補修中。別の網をかぶせ、結束バンドで固定していきます。
補修後の防鹿柵。綺麗に補修できました!
また網の下に穴が開いている箇所も多数ありました。
網にクマの毛が付着していたので、恐らくクマによるものと考えられます。
100m四方の防鹿柵の周囲に、なんと9箇所も穴が…
網の下にできた穴の大きさを測定中。
網に付着していたヒグマの毛。ヒグマの毛は遺伝子調査のためのDNAサンプルとして採集しています。
今回は全ての穴を修繕しきれなかったため、装備を整えた上で次回の巡視の際に修復することになりました。
こうした設置物は設置して終わりではなく、設置作業以上に点検・維持も重要となっています。
最後に、知床岬灯台からの半島先端部の風景でお別れです!
曇り空の知床岬(国後島方向)。風の強い一日でした…
お問合せ先
知床森林生態系保全センター
〒099-4355 北海道斜里郡斜里町ウトロ東番外地
ダイヤルイン:0152-24-3466