知床森林生態系保全センターブログ(2020年9月)
9月11日 知床の山を登るシリーズ~知床連山~ / 9月3日 どんな仕事をしているの?
令和2年9月11日 知床の山を登るシリーズ~知床連山~
9月5~6日にかけてプライベートで、羅臼岳岩尾別コースから硫黄山までの縦走をしてきましたので、
縦走路の状態や水場など、どんな様子が紹介します。
まず、水場の情報ですが、9月6日の時点で、弥三吉水、第一火口を除いてはすべて枯れています。
取水はせず、全部持ち上がりました。
おかげで重いザックになりました。
1日目は、夏日であるものの、知床連山が全体的に雲に覆われていて、道すがら雨も降りました。
1時間ほどで雨雲は去り、強い日差しになったと思いきや、霧に覆われるなど変わりやすい天気でした。
羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳、オッカバケ岳と4つの山を越えました。
羅臼岳は雲の中でした。
サシルイ岳の登りの途中で振り返ると、三ツ峰と羅臼岳(写真奥)が見えました。
道中ではハイマツやササなどが深いところもあり、かき分けながら進みます。
この日は、二つ池でテントを張りました。
二つ池はその名のとおり、二つの池がありますが、どちらもすっかり乾びていました。
気温は夜になってもそれほど下がらず、寝袋いらずでした。
オッカバケ岳。赤で囲んでいるところが、実は池です。
2日目の空模様は雲が多めの晴れ、午後からは雲もなくなり晴天でした。
この日は、二つ池から南岳、知円別(ちえんべつ)岳、硫黄山と3つの山を越えました。
知円別岳から硫黄山までの砂れき地の道のりは「中の廊下」と言われています。
硫黄山。硫黄山周辺は迷いやすいので気をつけてください。
硫黄山頂上から、縦走してきた山々を望む。
なお、急な山頂を登るときは、ザックを一時的に置いて身軽になって登ることがありますが、
知床の山はクマが多く生息しているため、荷物をあさられないよう終始背負って登りました。
行動時間は休憩込みで1日目が10時間、2日目が8時間半と長丁場になりました。
別日に船の上から撮影した知床連山(クリックで拡大)。
令和2年9月3日 どんな仕事をしているの?
知床森林生態系保全センターの最近の業務内容を簡単に紹介します。
当センターは北海道森林管理局のなかでも1つしかない組織のため、森林管理署等とは少し違う仕事を行っています。
◎知床岬巡視・防鹿柵(ぼうろくさく)修理
知床半島先端部にある知床岬に行きました。
移動手段は船で、ウトロ港から文吉湾まで1時間半~2時間かかります。
植生を守るためにシカが入らないように設置した柵(防鹿柵)を点検し、
倒木や動物によって破損した箇所の修理を行います。
半島先端部からみたオホーツク海。透き通っていてきれいです。
◎植生調査(広域採食圧調査)
エゾシカによる植生の被害を調べるための植生調査を委託事業で行っています。(詳しくはこちら)
事業の監督のため調査現場を見に行きました。
主に森林の中で植生調査が行われています。
草本類や、ササの様子、稚樹などを記録して、過去のデータと比較します。
以前よりエゾシカの捕獲を行ってきた甲斐もあり、植生状態は少しずつよくなっています。
しかし、森林の回復はとてもゆるやかで、本来の森林の状態に戻るまでにはまだまだ時間がかかります。
◎野生動物の自動撮影調査
調査地周辺にどんな生物が生息しているかを把握するために、自動撮影カメラを使った調査を行っています。
アメリカミンクやアライグマなどの外来種が撮影されることもあり、外来種の侵入状況を把握するうえでも重要となっています。
カメラの設置をしている様子。
迫力のあるヒグマが撮れていました。会いたくないですね。
ヒグマにカメラを壊されることもありますが、最近はそのようなこともなく落ち着いています。
この調子で無事終わることを祈っています。
お問合せ先
知床森林生態系保全センター
〒099-4355 北海道斜里郡斜里町ウトロ東番外地
ダイヤルイン:0152-24-3466
FAX番号:0152-24-3477