平成27年度調査
弟子屈森林施業試験地調査(平成27年10月14日から15日)
平成27年10月14日から15日の2日間、根釧西部森林管理署川湯森林事務所管内の国有林(弟子屈町)にて調査を実施しました。本試験地は昭和25年、天然林択伐林分における施業効果の分析を行うために択伐施業区と無択伐区を設定、老齢過熟木や不良木の多い天然林を生産性の高い活力ある択伐林に誘導するため、伐採木の質と量を適正に選定することに重点を置いた施業を行い、その後の林分推移、特に更新・成長・枯損の状況等について調査することを目的として設定されたものです。今回の調査には森林総合研究所北海道支所の指導のもと、北海道森林管理局2名、留萌南部森林管理署特命森林調査隊員4名、川湯森林官の総勢8名で行いました。 試験地では択伐施業区0.50ヘクタールと無択伐区0.54ヘクタールの2班に分かれて作業を行い、択伐施業区の胸高部(立木の根際から地上1.3メートル)には青スプレー、無択伐区は赤スプレーを使用し、次回5年後の調査時に今回と同じ胸高部が測れるように表示しています。
択伐施業区の様子

無択伐区の様子
調査方法は、胸高直径5センチメートル以上の生きている木全部を調査します。
まず、直径巻尺(普通目盛を円周率で除した目盛(直径割尺度という。)をほどこしたテープで、周囲を測ることによって直ちに直径が求められる巻尺)を用いて胸高直径を測り、ナンバーテープを打ち、最後に胸高部をスプレーで表示します。また、不整形木については電子輪尺(尺度板の一端に固定脚があり、遊動脚が尺度板上を自由に滑って木をはさんで直径を測定し、それを電子で読取り、記録する器具)を用います。隊員一同電子輪尺の使用が初めてなので、森林総合研究所職員のアドバイスのもとで測定しました。

胸高直径計測及びナンバリング作業の様子

電子輪尺使用方法の指導の様子
択伐施業区での調査を行う途中でトドマツの伐根から稚樹を発見しました。本試験地ではこのように伐根や倒木から天然更新されているところが随所に見られました。ササの繁茂も少ないうえ、天候にも恵まれ、調査を実施するには絶好のコンディションでした。

トドマツの伐根からトドマツ稚樹が発生している様子
調査を通して参加者からは、次のような感想が出されました。
- 直径巻尺や電子輪尺など通常業務では使用しない道具を使用できたことが新鮮だった。
- 胸高部にスプレー表示するのは次回調査時にも同じ胸高部を正確に調査できるようにするためのものだと聞いたこと、また、ナンバーテープについても木の成長によってテープが切れないよう縦に打つという話を聞いてより正確に調査を行うための配慮等が感じられた。
- 初めての調査だったため、調査の進行に足を引っ張ってしまった感もあったが、調査器具の使用方法や樹種の見分け方など多くの有用な情報に触れ、また川湯森林官や森林管理局職員、森林総合研究所職員の方々と共に調査させていただいたことは貴重な体験となった。
- 65年前(昭和25年)に設定された歴史的にも貴重な試験地での調査を行い良い体験となった。直径1メートルの伐根や倒木の上に更新する稚樹など、普段の調査地では見ることのできない林内環境に触れることはとても興味深いものだった。
全体を通して
2日間という短い期間でしたが、本調査のご指導を頂いた森林総合研究所及び北海道森林管理局の皆様、本当にありがとうございました。森林調査隊の一員として天然林施業のあり方について、一部分でありますが現地において直に肌で感じた2日間であり、大変有意義でありました。今回、試験地での行った「択伐施業区」と「無択伐区」では択伐施業区の方が生きている木の割合が大きくなっているというデータが出ており、これは無択伐区に比べあばれ木や形質不良木の除去を進めきたこと、また、択伐による林内疎開によって高い純成長量が得られ更新木が順調に成長していることが挙げられます。それに伴い択伐施業区の方が高い割合で林分の健全化が図れていることがわかりました。また、天然更新による稚樹もあちこちで見かけたので、今後どのような成長をするのか非常に興味深いところであり、また、どのような森林に推移していくのが益々楽しみなところです。次回5年後の調査も機会があれば、ぜひ参加したいと思います。シードトラップの設置(平成27年8月25日)
平成27年8月25日、上川南部森林管理署幾寅国有林(南富良野町)の生産と造林の一貫作業地の伐採跡地にて、シードトラップの設置を実施しました。調査地は、誘導伐(帯状の皆伐)跡地で、その後に天然更新を期待して大型機械による地がきを行った箇所があり、現時点で植生はほぼありません。周囲にはトドマツやカラマツといった針葉樹、カンバ類などの広葉樹が生育しているので、それらの樹木(母樹)から飛来する種子を捕捉し、その種子の量を調べることが今回の調査の目的です。母樹となりうる樹木の位置は、樹種、樹高や胸高といった情報ともに、森林総合研究所北海道支所によって事前にGPSで地図上に標示されていました。調査で使用するシードトラップは、種子が地面に落ちてくるところを捕らえる網のようなものです。これを3本の支柱でなるべく水平になるよう設置します。作業場所は歩きやすいところで、3から4人で進めることが出来たので作業は思っていたよりも楽でしたが、見ただけでは何もないところでも地面の下にはまだ木や笹の根が残っているところもあり、そこに支柱を立てようとするとなかなか刺さらず苦労しました。
支柱を立てます。

網を取り付けます。

設置完了!
シードトラップは、試験地に格子状にプロットされた2メートル四方の更新調査地の下方に、全部で18個を設置しました。

赤い線が横列、○がトラップです。
今回は、調査の準備ということで、シードトラップの設置まででした。種子がどれだけ飛んで来るかが分かれば、天然更新施業の目安のための基礎資料になることが期待されます。
大型機械による地がき作業地での土壌断面調査(平成27年8月25日から27日)
上川南部森林管理署の幾寅担当区内(南富良野町)において、大型機械による地がき施業後の土壌断面形態の変化を明らかにするため、森林総合研究所北海道支所による土壌断面調査が実施されました。現地は伐開幅40メートルの誘導伐(帯状の皆伐)を実施した後、刈幅5メートル・残幅5メートルの筋状の地がきを実施したところで、刈幅と残幅の境界部分に、幅2メートル、その直角方向に約50センチメートル、深さ約60センチメートルの穴を掘って土壌断面を作成し、断面の観察と試料採取が行われました。1日目はまず現地をくまなく歩き、土壌断面を作成する箇所を選定。その後は鍬とスコップを使って、ただ黙々と粗堀りをしました。

スコップで粗掘りしている様子
森林総合研究所北海道支所の方3名と、森林調査隊4名により、合計5箇所の土壌断面を作成しましたが、日差しの強い日中の作業で大変でした。「腰が痛い・・・」「そろそろ交代しましょうか」と、お互い気遣いながら作業を進めました。それでも想定していたよりも時間を要しなかったようです。土壌断面の作成方法は、森林総合研究所のホームページにも掲載されています
森林総合研究所へのホームページへはこちらから(別ウィンドウで開きます)
粗堀りが終わった土壌断面です。ポールの中心から右側が地がきをした刈幅、左側が地がきをしていない残幅になります。

粗掘りした土壌断面
2日目は、粗堀りした土壌断面をスコップで丁寧に整形しました。根などは場合によっては剪定ばさみで切り取ります。

整形した土壌断面
完成した観察面の写真を撮影し、その後、土壌の各層を詳しく観察します。山中式土壌硬度計により、各層の堅密度を測定しています。

堅密度の測定

山中式土壌硬度計
各層位の中で最も代表的な色調の部分を、土色帖の色片と対比させて調べます。

土色の調査

土色帖
この他、石礫の状態や量、水質状態や根の分布状況などを細かく調査します。土壌の一部も試料として採取し、研究室においてさらに細かい分析を行うとのことです。どのような結果が出るのか、興味深いところです。
森林調査隊としては最終日の調査まで同行することができず残念でしたが、通常の業務ではこのように穴を掘って、土壌の断面を詳しく観察することはありませんので、大変貴重な経験をさせて頂きました。
調査中、私たち森林調査隊に観察方法やその時点での考察をわかりやすくご説明頂き、森林総合研究所北海道支所の皆様には大変お世話になりました。
ありがとうございました。
大型機械による地がき施業地での流量観測及び濁水調査(南富良野町)(平成27年7月23日、30日、8月3日、6日)
上川南部森林管理署の幾寅担当区内(南富良野町)において、地がき(じがき:ササなどをはぎ取り地表を露出させる作業)施業による地表面のかく乱と渓流への土砂流出量の関係を明らかにすることを目的に、流量観測及び濁水調査機器を設置しました。当該地では今年度、幅約40メートルの伐採を行い、その伐採跡地に大型機械による地がきをして植付等を行っています。このうち、大型機械による地がき施業によって露出した土壌が、その周辺の渓流環境に与える影響を調べます。
地がき後の施業地全体の状況です。
【7月23日】
初日はコンテナボックス(貯水槽)設置と、土嚢(どのう)作りに終始しました。土嚢作りは初めてだという職員もおり、苦戦しながらも30~40個ほどの土嚢を作りました。
コンテナボックスの周囲を固定するための土嚢(どのう)作り作業の様子です。

コンテナボックスと止水板を設置しました。

調査地にはニホンザリガニがいました。沢が綺麗な状態だということがわかります。
【7月30日】
2日目は、前回のコンテナボックスに濁度計と流量計を取り付ける作業を行いました。どんなデータがとれるか楽しみです。
画像の円筒状のものが流量計です。

濁度を記録する機器です。

機械とその電源となるバッテリーは水に濡れないようにケースと袋で何重にもして保護します。

設置完了です。
【8月3日】
3日目は、前回設置した濁度計と流量計のデータ回収と自動採水機の仮設置を行いました。今回は雨量計が設置出来なかったため、自動採水機が本格的に稼働できるのは次回以降となりました。自動採水機の設置場所を決定し、試運転を行ったところ、勢いよく採水されていく様子が見られました。
自動採水機です。雨量計で毎時5ミリメートル以上の雨が観測されたら、1時間ごとに700ミリリットルを採水し、それを24回、1日分の水を自動で採水します。

雨量計です。雨が降ると、「ししおどし」のような部品が雨水に反応し、雨量を測ることが出来ます。

採水機が水を吸い上げ、水面を揺らしています。
次に濁度計と流量計のデータを採取しました。今後もデータ回収を行い、調査を続けます。

パソコンでデータを取り込みます。
【8月6日】
これが最後の作業になります。この日は雨量計の設置を行いました。雨量計と採水機をコードで繋ぎます。コードをネズミ等の動物がかじってしまうことがあるため、地面を這わせない工夫が必要です。雨量計を設置したので、採水機の稼働ができるようになりました。
木の枝を使って、簡易的な土台を作り、地面にコードがつかないようにします。手前にある、黒い筒状の物と白い筒状の物が雨量計です。
次に土砂受け箱の設置を行いました。地がき箇所の斜面下部に土砂受け箱を並べ、流れてくる土砂を受け止めることにより、移動する土砂量を測定します。

土砂受け箱です。箱を杭で固定し、寒冷紗(かんれいしゃとは、織り目の粗い薄地の布)を使って土砂を受け止めます。
合わせて4日間、延べ12名の特命森林調査隊が参加し、作業しました。初めて見る機械や道具に、「おおっ」と声があがることも多々ありました。職員から「こういった地道な調査が環境への負荷を軽減した施業へとつながる」、「貴重な体験になった。今後もぜひ調査に参加したい」といった感想がありました。この経験を日頃の業務にも生かしていけるよう、努力していきます。

ご指導していただいた森林総合研究所北海道支所の方々、ありがとうございました。
国有採種園における着果調査(由仁町・栗山町)(平成27年7月1日)
空知森林管理署管内の由仁採種園(由仁町)及び築別採種園(栗山町)において、北海道森林管理局技術普及課2名、留萌南部森林管理署4名及び森林総合研究所林木育種センター北海道育種場4名で、採種園着果調査を実施しました。この調査は、遺伝的に優れた種子を安定的に供給するため、種苗生産者等への豊凶情報の提供を行うことを目的として実施しています。調査方法は、アカエゾマツ・トドマツの着果観察木各40本の状況を5段階評価(注)により判定します。観察対象は、後に球果となる「雌花」であり、花粉の元となる「雄花」は対象外となります。判定は双眼鏡・単眼鏡を用いて樹冠全体の、頭頂部(梢端)から2分の1の範囲を観察します。(注)評価5:豊作、評価4:並上、評価3:並作、評価2:並下、評価1:凶作
昨年度の平均評価値は、由仁採種園が1.55とギリギリ「並下」、築別採種園は3.25と「並」の判定で全道的にみても着花が良好な年であり、豊作の次年度は凶作の可能性が高いと事前に話がありましたが、現地の状況はどうでしょうか。今回参加した留萌南部森林管理署の4名は全員着果調査未経験のため、目合わせが必要です。「評価1」については「ひとつも着花がみられない状態」なので判断しやすいですが、「評価2」及び「評価3」については個人差が出やすいので、判定がばらつかないために事前の目合わせを行ってから着果調査を開始しました。

事前の打合せの様子です。

目合わせが一番大切です。
由仁採種園は広葉樹の侵入が多く、枝葉に視界が遮られ、樹冠の頭頂部(梢端)がみえるポイントを探すのに苦戦しました。

広葉樹の枝葉が調査の支障になっています。「雌花はどこだ~。」
築別採種園は道路沿いのため、気持ちよく作業できました。しかし見上げる姿勢が長かったため終わった頃には、首が、、、

さえぎる枝葉もなく、視界良好です。
参加者からは、「由仁採種園では観察木の周囲に広葉樹が多く、非常に判定しづらい状況だったので、一方向からだけではなく、いろんな角度から見て判定するように心がけました。今後もホームページ等で調査結果を確認していきたいと思います。」、「今までは、樹木の樹皮や胸高直径、樹下の天然更新等、足元ばかりみていましたが、今後は樹木全体をみて森林踏査していきたいと思います。」、「しっかりと着果状況を判定できるよう、現場に出た際に目慣らしをしたいと思いました。」等の感想が述べられました。
調査結果をみてみると、由仁採種園は1.88と昨年度とほとんど変化がありませんでしたが、築別採種園は1.78と昨年度よりも大幅に減少し予想通りの結果となりました。「評価5」がみたかったぁ、、、。
トドマツ・カラマツの豊凶周期については、まだ解明されておりません。豊凶周期が明らかになれば、種子を安定的に供給することができるほか、間伐後等の天然更新の技術向上に繋がっていくと思われます。森林育成の幅が膨らんでいくよう調査を継続していきたいと思います。
清川採種園(上川町)、雨紛採種園(旭川市)での着果調査(平成27年6月16日)
北海道の主要な造林樹種(トドマツ、アカエゾマツ、カラマツ、グイマツ)の苗木を生産するためには、採種園からの安定した種子の供給が望まれています。これらの樹種についての種子の豊凶現象は不明な点が多く、年によって豊凶差が激しいことから、採種園ごとに着果状況を知る必要があります。このため、道内の国有林採種園については、林木育種センター北海道育種場(以下育種場)と北海道森林管理局が着果調査を行い、苗木生産に必要な豊凶度の情報提供を行っています。平成27年6月16日に上川中部署管内の清川および雨紛採種園にてトドマツ・アカエゾマツ・カラマツ・グイマツの着果調査を行いましたので、その様子をご紹介します。
調査方法はそれぞれの樹種の調査木30~40本を対象に、後に球果(いわゆるマツボックリ)となる雌花の豊凶度を5段階評価で判定していきます。
(たとえばカラマツ・グイマツの場合は全体的に着果が多く認められた場合は評価5、全く着果が認められない場合は評価1となります。)
昨年の同採種園での調査ではいずれの樹種も「並」(評価平均2.5~3.5)または「並下」(評価平均1.5~2.5)で、中には「5」と評価できた個体も多く、全体として着果状況は良好でした。
さて、今年の着果状況はどうでしょうか??
育種場職員のご指導を受けながら単眼鏡を覗きこみ、着果状況を判定していきます。
調査の様子

今年はいずれの樹種も凶作傾向であり、特にアカエゾマツ・トドマツはほとんど着果が確認できませんでした。 しかし、「全く着果が認められない状態(評価1)」と「わずかに着果が認められる状態(評価2)」では評価が変わってしまいます。 1個しか着果していなかったとしても見逃すわけにはいきません。 1本の調査木に1個あるかないかの雌花を探し求めて、慎重に調査を進めていきます。

調査前の目合わせ。個人差による判定誤差を無くすことが狙いです。

今年度の新採職員も森林官に教えてもらいながら頑張っています。
調査における留意事項
着果調査で大切なことは、去年の球果を見分けることです。
たとえばアカエゾマツの場合。一見たくさん着果しているように見えますが、これらは全て去年のものです。

これはグイマツの去年の球果と今年の雌花です。 左側の茶色いものが去年の球果。右側の赤いものが今年の雌花です。
調査を終えての感想
参加した隊員からは- 初めての着果調査だったので、着果の有無の判断を知ることができて有意義だった。
- たくさん残っている去年の球果から今年の雌花を探すのが大変だった。
- 着果の判断に個人差が出てしまうので難しかった。
- 樹種によって着果の判定基準が異なり、勉強になった。
- 豊凶には周期性があるとのことだったので、今後も継続して見ていきたい。
地域差検定林調査(平成27年6月2日)
平成27年6月2日に後志森林管理署管内の伊達市大滝地区にある「地域差検定林」において、森林調査を実施しました。 「地域差検定林」とは、各精英樹の家系が同じような生産能力を示す範囲を知り、種苗の合理的な配布区域を定めることを目的としています。この「地域差検定林」は、昭和63年にトドマツを植栽し設定しています。今回の調査には、後志署4名(モリサー3名+森林官1名)、林木育種場から3名の計7名が参加しました。モリサーの3名は、調査初参加。モリサー活動に期待を膨らましての参戦でした。 調査地は5つのブロックに分かれ、さらに1つのブロックの中が約80プロットに分けられています。3班に分かれ、各班1ブロック内の5プロットの樹高と胸高直径を測定しました。
使用した調査道具の輪尺(左)

測高器(右)

調査の様子
調査前、育種場の方が「5年前の調査結果では、この検定林の成績が良くない」と話をしていました。 昭和63年の設定時、1プロットへ同系統のトドマツ苗木30本を2条植えで植栽したそうですが、現存本数は10本前後で、3分の1から2分の1に減っていました。私が樹高、胸高直径を測定した感じでは、成長が特別悪いという印象はありませんでした。 育種場の方も、「前回の調査では植栽木の成績が芳しくないため、今回は検定林として継続するかどうかの検討も含めて現地調査にきたが、予想より植栽木が残って成長している」と話していました。調査データを集計し、連絡してくださるとのことでしたので結果が楽しみです。
調査を終えての感想
- 同行した育種場の方が、「様々な検討が出来るよう悪い所が見たい」ということで、まずは踏査から始まりました。残存が5本というプロットでは、他の植栽木は早い段階で淘汰された様子で完全に土に還っていました。ただ競争に勝ったトドマツの成長は旺盛で力強いため、地域差検定林としてどう結論づけるのか結果が待ち遠しいです。
- 普段、検定林等の現地調査をする機会がない分、今回は貴重な経験となりました。私が担当した南側ブロックでは淘汰された立木が多かったものの、残存木が太く成長していることが確認できました。調査時間の関係上、各種被害、根元曲がりや幹曲がり等の程度評価は簡略化しましたが、このような各種因子を詳細に調査することで検定林の実情がより明らかになるのではないかと感じました。
- 植栽木の初期成長が悪くても、時間の経過とともに成長が回復する植物の生命力のたくましさを感じることが出来ました。現時点では系統による差は目視では分からなかったですが、最終的にどのような結果になるのか気になります。
夕張択伐施業指標林における林況調査(平成27年5月18、22、25日)
平成27年5月18、22、25日の3日間、空知森林管理署管内(夕張市)にある択伐施業指標林において、平成27年度最初の森林調査を実施しました。この指標林は、天然林を択伐した後の成長状態を調査し、択伐作業技術を解明することを目的として、昭和27年に設定され、以降5年に1度、5センチメートル以上の全ての樹木について、直径巻き尺を使用して幹の太さを計測しています。調査には今年度採用されたばかりの職員も参加し、初めて行う現場業務と現地の笹の多さに悪戦苦闘しながら林内の全ての樹木を計測し、さらに胸高直径位置にペンキを塗り、ナンバーテープを付けました。

直径巻き尺で胸高直径を計測します。(おっ!このナンバーテープの番号は、、、。)

ガンタッカーと呼ばれるホッチキスのような器具を使い、ナンバーテープを付ける作業です。
調査に参加した職員からは、「改めて一本一本の木と対峙することで、それぞれの木の特徴や様子を感じ取ることができた。現場勤務への糧としたい。」との感想があり、今後の活躍を願って調査を終えました。
お問合せ先
森林整備部 技術普及課
担当者:企画官(技術開発)、技術開発主任官、技術係長
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