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北海道森林管理局

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    地域林業の活性化に向けた取組

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                                              網走西部森林管理署       
                                              森林技術指導官   原 敏之
     


    網走西部森林管理署管内の概要

      網走西部森林管理署は、網走・湧別川広域流域のうちオホーツク総合振興局管内の主に湧別川流域の遠軽町と湧別町に所在する約106,000haの国有林を管轄しています。
      管内の国有林には、山頂から大雪山系を一望できる展望に優れた「ひらやま」や、黒曜石の産地として知られる赤石山など、豊かな自然資源が点在しています。
      黒曜石は、令和5年に日本最古の国宝に指定された「北海道白滝遺跡群出土品」の石器の材料としても知られており、「赤石山」を巡るジオツアーが数多く開催されています。

    コマクサと大雪山 ひらやまより
       (コマクサと大雪山:ひらやまより)

    黒曜石の露頭 八号の沢      黒曜石の露頭 あじさいの滝
                (黒曜石の露頭:八号の沢)                                               (黒曜石の露頭:あじさいの滝)

    管内の森林・林業の現状と課題

      地域の人工林が本格的な利用期を迎える一方で、管内の林業事業体は新規就労者や他地域からの就労者が少なく、今後増加が見込まれる造林事業量への対応が課題となっています。

      特に、造林事業における担い手不足や作業負担の大きさが懸念されていることから、造林作業の省力化に係る情報提供や施業方法の普及拡大に向け、地域と連携した取組が必要となっています。 

    課題解決に向けた取組内容

    1. 「新しい林業」に関する勉強会の実施

      網走西部森林管理署では、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」の実現に向けた取組を進めています。

      その一環として、下刈り作業の省力化及び機械下刈の導入を目指し、大型機械を用いた全刈地拵えを実施した箇所において、令和6年度から遠軽町及び遠軽地区森林組合職員とともに現地勉強会を開催し、意見交換等を実施しています。

      現地はトドマツ2条植え箇所において、下刈は列間のみを行い、列外の下刈を省略する手法(図1のとおり)を採用するとともに、刈高についても、植栽木の半分程度の高さを目安とし、従来の「潔癖な下刈」にとらわれない施業を実践しています。

      現場からは、地際の刈払いが不要となったことで、石が多い作業箇所における作業者の精神的な負担が軽減されたとの声がある一方、列外の刈払を省略することによる植栽木への影響を懸念する意見もありました。しかしながら、省略を開始して2年が経過した現在、現場を担当する森林官からは「従来の下刈方法と比べ、大きな生育差は感じられない」との報告があり、意見交換を通じて理解を深めることができました。

    列間のみの下刈状況 トドマツ2条植え箇所
       (列間のみの下刈状況:トドマツ2条植え箇所)


    図1:トドマツ2条植えでの刈払指示図
                               (図1:トドマツ2条植えでの刈払指示図)

    2.機械下刈の導入を見据えた施業仕様の見直し

      機械による下刈を可能とするためには、地拵及び植栽段階から仕様を変更し、伐根処理も同時に行うことが必要であり、網走西部森林管理署において、令和6年度からの地拵えについては大型機械を使用した全刈、植栽については列間を4mとし、植栽本数に応じて苗間幅を決め、コンテナ苗を基本に植栽を実施しています。

      また、大型機械地拵によりササ等の根茎を処理することで、ササ等が回復するまでの下刈の省略や、下刈の総回数の削減が期待されます。

      なお、管内の森林組合では年間約300haの植栽を実施しており国有林の約5倍を実行しています。民有林における地拵方法は等高線方向で山を段切りするのが基本で、植栽本数はha当たり1,900本と、地拵方法や植栽本数等に国有林と民有林で違いがあり、厳しい造林作業における軽労化の必要性は理解しつつも、個人所有の山林が多い民有林では、国有林で実施している大型機械による全刈地拵や下刈省略の導入については慎重な意見も聞かれます。

      そのため、今後においては個人所有者や請負事業体の方々にも現地を見ていただき、造林作業の軽労化や省力化の必要性と有効性について理解を深めていただく取組が必要と考えています。

             

    大型機械地拵箇所(全刈)状況      大型機械地拵 植付後(全刈)状況
    左)大型機械地拵箇所(全刈)状況
    右)大型機械地拵・植付後(全刈)状況
                                    

    3.コンテナ苗の生長調査

      国有林では、積極的にコンテナ苗の導入を進めているところですが、トドマツについては育苗期間を4年程度要するため、苗木の需要変化への対応が難しい樹種です。このため、網走西部森林管理署では緩効性肥料を用いて育苗期間を2年に短縮したコンテナ苗(以下、短縮苗)と従来の4年コンテナ苗(以下、従来苗)を令和5年6月に植栽し、成長状況を比較調査しています。

    育苗期間短縮コンテナ苗と通常コンテナ苗の比較

     
      上記の調査結果より、これまで短縮苗の成長状況は従来苗に比べて、残存率・根元径・苗高に有意な差は確認されなかったものの、今年度は立地条件の影響と思われる短縮苗の残存率低下やウサギによる食害が確認され、短縮苗の平均成長量は8cmとなり、従来苗の平均生長量15cmと比べ約半分という結果になりました。

    調査を開始して間もないということもあり、一定の方向性を見出すまでには至っておりませんが、民有林へ普及していくためには更なる実証データの積み上げが必要と考えていることから、次年度以降も引き続き調査・分析を実施してまいります。

     4.地域の林業関係者との交流

       網走西部流域では、道有林関係者との森林施業、林業技術等について幅広く意見交換を行い、相互の技術交流を深めることを目的に、平成21年度から「民有林・国有林森林施業技術交流会」を開催しています。

      今年度は当署の主催で、「今後下刈を機械で行うため大型機械で全刈地拵を実施した箇所」で技術交流会を開催しました。

      当日は予想外の降雪日となり、参加者一同で苗木の周囲の雪を掘り起こしてから、大型機械地拵えの仕様、伐根処理について概要説明を行いました。

      参加者からは、「森林室で今後推進していく施業方針等と合致した内容で非常に参考になった」「共通する課題を再認識できた」などの意見が寄せられ、学びある有意義な技術交流となりました。

    概要説明を聞く参加者 技術交流会        大型機械地拵 植付箇所を眺める参加者
          (概要説明を聞く参加者:技術交流会)                                (大型機械地拵・植付箇所を眺める参加者)

     
    5.国有林フォレスターの思い

      人工林が利用期を迎え主伐・再造林の増加が見込まれる中、造林従事者の高齢化や担い手不足は全国共通の課題となっています。

      これらの課題に対し、オホーツク総合振興局や森林室、市町村や森林組合、地域の林業関係者と情報を共有し、連携しながら取り組むことが重要と考えています。

      これまでの業務を通じて築いてきた各組織との関係性を次世代へと引継ぎ、微力ながら地域林業の発展に貢献していきたいと考えています。

      林業が地域にとって魅力ある産業として根付くことを願って・・・。


     



    お問合せ先

     網走西部森林管理署
     ダイヤルイン:050-3160-5760