知床は海岸から稜線に至るまでほとんど人手が加わっておらず、変化に富んだ自然が残されています。標高600メートル付近までは、トドマツ、エゾマツ等の針葉樹及び、ミズナラ、イタヤカエデ、ハルニレ等の広葉樹林が分布し、その上部はダケカンバ林へ移行しています。シレトコスミレに代表される高山植物群落が、羅臼岳から硫黄山に至る山稜に多く分布しています。動物の種類も多く、他の地域ではなかなか見ることのできないシマフクロウを始め、オオワシ、オジロワシなどの鳥類、エゾシカ、エゾヒグマなどの大型ほ乳類なども見ることができます。
北海道森林管理局では、世界自然遺産の陸域の9割以上を占める約4万6千ヘクタールにおよぶ国有林を知床森林生態系保護地域や保安林に指定し、原生的な森林環境の維持・保全に努めています。
知床の豊かな森林は、陸域だけでなく大小の河川を通じて海をも育むことにより、知床半島全体の食物連鎖を支え、この地域の生態系を育んでいます。
知床の海域と陸域の生態系が相互に関係することによって創り出された自然が高く評価され、平成17年7月に屋久島、白神山地に続き、世界自然遺産に登録されました。
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