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第7回森林再生小委員会 議事要旨

「第7回森林再生小委員会」が平成19年 3月 1日(火曜日)に釧路市交流プラザさいわいにおいて開催されました。
委員会は、構成委員39名(個人10名、団体18団体、オブザーバー 4団体、関係行政機関 7機関)のうち、16名(個人 5名、団体 6団体、オブザーバー 1団体、関係行政機関 4機関)の出席により開催されました。
会議は、先ず始めに雷別地区の森林再生について協議が行われました。事務局から、平成18年度雷別地区の調査・検討結果と説明がなされ、討議が行われました。
次に雷別地区自然再生事業実施計画(案)ついて協議が行われました。各種施工方法について活発な議論が行われました。
その結果、雷別地区自然再生事業実施計画(案)は微修正の後に小委員長に了承され、次の協議会に報告することを確認しました。
引き続き、達古武地域森林再生事業について、事務局からこれまでの経緯と平成18年度の調査・検討結果と説明がなされ、討議が行われました。
その他、民間団体が再生事業を実施する場合の費用に関する議論の必要性や、土砂流出防止の技術交換について意見が出されました。

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雷別地区における森林再生について

再生方法に関する平成18年度調査結果及び検討結果について説明・報告が事務局より行われた。

(委員)

地がきについては現在生きている木の根の際まで行ったのか。

(事務局)

現在生きている木と伐根の周りはある程度避けた。

(委員)

ササの地下茎の除去については刃物できっちり切断したのか、引き抜いたのか。

今後ササは地下茎を伸ばして人工植栽した所に侵入してくるはず。地下茎の処理によってササの回復が変わるので、処理方法ごとに検証してデータを取るのが良い。

(事務局)

重機(バックホー)により天然更新区の境目まで地がきした。刃物等では切断していないため地下茎が残ったところもある。

(委員長)

地下茎を多少残して地がきをしているような場所もあるので、その処理の仕方によってササの回復がどう違うのか見ていく必要がある。

(委員)

天然木プロット3 (資料P4)は元々ケヤマハンノキの稚樹が自然に生えていたのか。

試行実験区は元々ヤチダモ、ハルニレなどの湿生植生だったのか、ミズナラなどの比較的乾燥した植生だったのか、どちらの植生も混在していたのか。

(事務局)

天然木プロット3 ではケヤマハンノキの稚樹がかなり生えていた。

試行実験区はミズナラが多いところもハルニレが多いところもある。

市民参加の作業上、植栽箇所に対する樹種選定を細かく設定することは実際難しい。

(委員)

樹種によっては植栽する場所に対して生長していく上で向き不向きがある為、単純に樹種同士の生長を比較出来ないのではないか。

(委員長)

今後は立地に応じた植栽木の選定についても考慮してもらいたい。

(委員)

地がきをした場所に生えていたササの種名と高さは。

防鹿柵の素材は。高さと強度は十分か。

(事務局)

オオクマザサで 1メートル未満。

防鹿柵の素材は高密度の特殊なポリエチレン製で、シカに対して十分な強度を持つがキツネやウサギには噛み切られる。今のところシカが防鹿柵を越えての中へ入った形跡は無い。

雷別地区自然再生事業実施計画(案)について

雷別地区自然再生事業実施計画(案)についての説明・報告が事務局により行われた。

(委員)

防鹿柵は低くないのか。シカが侵入する事により収集したデータが使えなくなる恐れがある。せっかくの実験が無駄にならないように北海道の野生生物室に相談した方が良いのでは。

(事務局)

北海道で行われている防鹿柵の施工は農地に侵入するシカを完全に排除する必要があるため高さが必要である。雷別地区では山全体がシカの生息域であり、ごく一部のみを防鹿柵で囲っているためシカが避けて通るのではないかと考えている。今の高さでもシカが侵入する可能性は低いと考える。

(委員長)

今回の実験を行うにあたって野生生物室からもコメントを受けており、とりあえず今の高さで良いと思う。しかし、実験的にやった結果から必要であれば防鹿柵の高さについても検討して欲しい。

実験区以外の地がきのみを実施する天然更新箇所と人工植栽箇所については防鹿柵を設置するのか。

(事務局)

実験区以外の天然更新箇所は範囲が広いため、防鹿柵の設置は考えていない。ただし、基本的に筋状の地がきを行うので、シカが侵入しにくいようにトドマツの立ち枯れたものなどを使って障害物を置くことなども考えたい。人工植栽箇所についても、全部を囲うというのは難しい。

(委員)

我々市民団体が裸地の回復を目的に行っている達古武地域の植栽地では、植栽後に苗木をネットで囲わずにいるとボロボロに被食されるため、簡易的なシカ対策として支柱に竹を使った高さ 2メートルのネットを張っている。これならコストも低く、シカにより破壊されてもすぐに直すことができる。今のところシカの侵入した形跡はない。

(委員)

天然更新箇所に関しては範囲が広く費用が掛かるため、全てにシカ対策をするのは無理だが、対策実施箇所と対策無実施箇所のデータを比較できるメリットがある。

人工植栽区に関しては費用が掛かってもシカ対策をして正確な苗木生長のデータを取るのが良い。

(委員)

達古武地域で行われたシカの食害と防鹿柵の実験結果を参考にして欲しい。

(委員長)

植栽された苗木は被食を受ける可能性が高いので、被食を受けた場合のアクションプランを考えておいた方が良い。

(委員)

70年生のトドマツが枯れた一番の原因は周辺の急激な環境変化によるものではないか。それに次いで冬季の仮導管凍結が起こったのではないか。

(事務局)

森林総合研究所の調査結果では、雷別地区の立ち枯れと同時期に別のトドマツ高齢期の山でも同じ症状による被害が何カ所かで発生していたため、気象害(仮導管凍結)に結論づいた。

(委員長)

生長したトドマツが立ち枯れを起こすのには恐らく複合的要因があり、何が原因ということははっきり言えない。雷別の場合、伐採などによる周辺の急激な環境変化も確かにあった。ただ、積雪深が非常に浅いところでは土壌が深く凍結し仮導管凍結が起こるということは森林総合研究所の研究者の調査ではっきりしている。立ち枯れ被害が出たこととこの地域になぜ北海道の主要な針葉樹であるトドマツが少ないのかということを考えると、雷別においてトドマツは不向きというのがこれまでの議論だった。それを踏まえて、自然林化を目指すということだと思う。

(委員)

雷別の国有林内にはミズナラの巨木など天然の樹木があるが、再生対象地は人工林なのか。

(事務局)

人工林ではあるが、場所によってはトドマツを植栽する時に残っていた広葉樹が一緒に成長したため、混交林となったところもあり、ミズナラの巨木など天然の広葉樹が残っているところもある。

(委員)

天然更新区で地がきする範囲を母樹から20メートルと定義しているが、母樹の分布はどうなっているのか。

(事務局)

再生対象区には母樹が点在している。

母樹の樹冠を地表に投影した面積が概ね地表を覆う範囲を天然更新区とし、隙間が大きくなる範囲を人工植栽区とした。

(委員)

再生対象エリアにある広葉樹の母樹の樹種は。

(事務局)

再生対象エリア全体の集計結果から、ミズナラが非常に多く、次いでハルニレ、キハダなど。

(委員長)

人工林とされている再生対象区には、天然更新が期待できる広葉樹の母樹が多く存在しているというデータを実施計画に記載し、協議会でも説明するべき。

(委員)

植栽されたトドマツは樹下植栽だったのか。

植栽する苗木の樹種選定や植栽方法はどう計画しているのか。

天然更新区も更新指数以下だと全面的に補植するのか。

(事務局)

林内に広葉樹が残っており、その下に植栽したのではないかと推測できるところもあれば、トドマツだけのところもある。

植栽する樹種は地元にあるミズナラ、ハルニレ、ヤチダモ、カンバ類を候補としている。

天然更新区に発生した稚樹が少なければ補植を行うつもりであるが、その方法については今後検討する。

(委員)

様々な樹種で天然林を構成する場合、どの場所にどの樹種を植えるかにより、結果が大きく変わる可能性がある。

(委員長)

どんな場所にどんな樹種を植えていくかという観点が薄いので、その記述についても検討願いたい。

平成18年度環境省達古武地域森林再生事業について

達古武沼地域における自然再生の取り組みについて、これまでの経緯、平成18年度調査結果と、検討結果について説明・報告が事務局より行われた。

(委員)

シカにより被食を受けたミズナラの苗木の生死を分けた要因は。

ミズナラの苗木は、どの程度の被食に耐えられるのか。

シカにより被食を受けて死んだミズナラの苗木と被食を受けたが生きている苗木とでは被食跡に特徴的な違いがあるのか。

(事務局)

生死を分けた要因、どの程度の被食に耐えられるのかは不明である。

(事務局)

芽が被食を受けても一年では死なないが、数年に渡り被食を受けると当然死ぬ。

ミズナラの苗木の芽は被食を受けると萌芽や側芽が出てくる特徴がある。

冬に芽が被食を受けても秋に萌芽や側芽が残っている場合を生きているものとし、生きた芽が無いものを死んだものとした。死んだ苗木のほとんどが積雪により折れたものである。

(委員)

樹皮は被食を受けたか。

(事務局)

樹皮ではなく芽の部分が被食を受けており、ほとんどが冬季に被害にあった。

(委員)

シカはミズナラとアオダモに対して嗜好性があるのか。

(事務局)

幼木の段階ではミズナラの方が多く食べられており、アオダモも成木になると樹皮を食べられる。

(委員長)

成木の樹皮に関しては完全に嗜好性があり、実験区のデータから苗木の段階でも嗜好性はあるようだ。

(委員)

阿寒で、まず、成木ではイチイ、ハルニレ、アオダモとノリウツギなどの食痕が目立った。ミズナラも食われてはいる。幼木について嗜好性はよくわからないが、シカはほとんどの樹種の木をかじると考えたほうがよいかもしれない。

(委員)

シカの嗜好性を知ることにより、被食による被害を抑制できる可能性があるので、環境省に研究して欲しい。

(委員長)

シカの嗜好性については既に学位論文があるが、苗木に関してではない。道東地域ではシカの嗜好性について成木のデータも相当ある。

天然播種更新を行う場所について今後の具体的内容は。

(事務局)

これまでの試験結果を踏まえ、機械を搬入出来るところでは地がきやササの二度刈りを行うことになると思う。その他の詳細は来年度のモニタリングから決定する。

(委員長)

かき起こしや防鹿柵の効果がある程度見えてきた段階で、より早く具体的な達古武地域の森林再生に繋がる論議をして欲しい。

(委員)

地がきは雷別地区と同様の方法か。

(事務局)

地がきを手作業で行い、かき起こしはバックホーを使った。

その他

来年度に予定している森林再生箇所で行う現地説明会の案内が事務局より行われた。

(委員)

平成18年度の土砂防止と防鹿柵の取り組みについては効果が見え次第報告する。

森林再生活動に必要な費用の捻出が難しい。

(委員長)

CSR に積極的な企業に働きかけ、協力を得る方法を考えるのが良い。

次年度に参加予定の色々な土砂対策のノウハウを持つ方に現地を見てもらい、お互いに勉強し合うのが良い。

次年度に開催する協議会の回数や時期は。

(事務局)

具体的な回数は決まっていないが、 5月くらいの開催を検討したい。

(委員長)

今年度の内容や問題点について、森林管理局でもう一度微修正したものを私が確認する形で協議会に提出したい。

 

第7回森林再生小委員会 資料

ary02 ico_pdf12 資料(PDF:9,056KB)

 

ニュースレター

ary02 ico_pdf12 ニュースレター No.7(PDF:1,501KB)

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
担当者:(所長)中島章文
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

〒085-0825 釧路市千歳町6番11号
Tel:0154-44-0533 Fax:0154-41-7305

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