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第11回森林再生小委員会議事要旨

「第11回森林再生小委員会」が平成23年11月25日(金曜日)に、鶴居村森林・林業再生プラン実践地と釧路地方合同庁舎5階会議室で開催されました。小委員会には14名(個人2名、4団体4名、オブザーバー1団体2名、関係行政機関5機関6名)が出席しました。実践地では、『将来木施業』の取り組みと、『屋根型路網』の整備について視察が行われました。また、雷別地区・達古武地域の自然再生事業の実施状況と、森林の再生に関する5年目の施策点検の補足について意見交換が行われました。

第11回森林再生小委員会の現地視察 第11回森林再生小委員会の現地の林道 第11回森林再生小委員会の会議の様子

  事例地視察:鶴居村森林・林業再生プラン実践地

  鶴居村森林組合 門間孝厳氏の案内により、釧路湿原の流域内で環境に配慮したカラマツの施業を実施している鶴居村森林・林業再生プラン実践地の視察を行い、意見交換が行われた。

 

概要説明

  (鶴居村森林組合)

将来木施業は樹形などをもとに将来木を選定した上で間伐を行い、ここでは目標直径を70cm(100-150本/ha)と定めて施業を行っている。欧州のように天然更新が活発になれば植える必要もなくなるため、そういった方法を目指していきたい。

集材時にクローラー等の機械を林内に入れずに120mのウィンチで引っ張る方法を採用しており、方法を比較して土壌の撹乱は微々たるものとなっている。

欧州型の屋根型路網(横断勾配を縦断勾配よりも高く持たせる)の整備を行っており、雨水が横方向に排除されるため、大雨が降っても土砂が流出せず手入れがかからない。補助金の対象となる林道整備も、全国一律ではなくそれぞれの土地に合った基準が作られるとよいと考える。

組合で導入した欧州型路網の整備やウィンチ集材の技術について地域への研修会を行っているが、林内での機械作業からウィンチ集材のように昔の方法に戻ることに躊躇する方はいる。ここでドイツの技術を導入できたのは長い林業経験がなく、素直に取り組めたことで良い成果が得られたと考える。

 

視察後の意見交換

(委員)

湿原や自然に配慮した取り組みを真剣に実施しているということに感心した。この様な活動をもっと多くの人に知ってもらえる機会を作っていきたい。

(委員)

国有林での施業とは違い民有林では採算性を重視しつつ湿原を保護していくという、林業の生業としてのやり方を考えなくてはいけないと思った。

(委員)

湿原への配慮や自然保護と生産性が相反する形ではなく、今後も上手く共存していける可能性を感じた。ただ、林道の路網の整備などどうしても投資が必要な部分については何かやり方がないかなと感じた。

(委員)

林内にできるだけ入らない形で土壌保全をし、生産性も確保するという配慮をした施業方法ということに考えさせられた。

湿原上流部の国有林における森林再生としても民有林と連動した形でやっていかなくてはいけないと改めて思った。

(委員長)

2030年までに全国の木材自給率を50%にするという目標が立てられ、森林・林業再生プランのモデル地域として全国5箇所程のうちの一つが鶴居村である。

生業としての林業と釧路湿原を保全するというものが、上手くタイアップしながら出来ないかということが今回視察させていただいた理由である。コウノトリやトキの保全活動と稲作が結びついて付加価値を持つという構図の様に、釧路湿原を保全しそこで生産されたものに付加価値を持てれば良いと考える。

(事務局)

自然再生の普及啓発活動の中で、自然だけではなく地域の産業や歴史、文化なども紹介して魅力をもっと知ってもらうというガイドマップの作成をまず鶴居村をモデルに考えている。今日の取り組みも紹介したい。

(事務局)

自然再生事業という名前が付かなくても湿原保全の取り組みにつながる活動が地域で行われていくことが一番良い形なのではと考える。

(鶴居村森林組合)

昨年欧州のフォレスターから多くを学ぶ機会があったが、これからは日本で人材を育成する教育が必要と考える。

 

雷別地区自然再生事業の実施状況について 

事務局より、雷別地区自然再生事業の概要について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)

資料13ページの植生調査という部分は、事業評価で一番重要なデータであると考えるが、どのように評価できるのかがわからない。今の事業計画は順調ではないと理解してよいか。

(事務局)

原因のひとつとしてプロットの設定方法が考えられる。

(委員長)

現時点で当初計画したよりも更新が上手くいっていないという理由をどのように考えているのか。

資料13ページの表がわかりにくい。

(事務局)

資料13ページの表については、整理をして考察を加えて出来るだけ速やかに整理したい。

(委員)

資料7ページ表5苗木の育成成績の平成20年度までに育成したコンテナ数とは何を表しているか。

(事務局)

平成23年度現在残っているコンテナの数で、まだ成長段階にあるという数字である。今年度植栽したものについてはコンテナの中の苗木の枯死は無かった。

(委員)

植裁する基準が苗高30cmであるならば、苗高別にデータがあった方がわかりやすい。来年の達成予定がないと目標との対応が難しい。大体何年くらい育成する予定か。

(事務局)

4年を目安としていたが、中々思ったように成長が進んでいない。

(委員)

資料7ページ表6で、24年に植栽コンテナを15個出す事になっているが予定は達成されそうか。

(事務局)

その見込みで考えている。

(委員)

表6で、育成苗木コンテナ数が最後の平成27年から31年にいきなり150の予定になっているが、足りなかった時は地域産のものを購入するのか。

(事務局)

雷別地区の近くで採取した種を用いて育成した苗を業者から購入している。

(委員)

資料11ページで、地表性甲虫の調査方法の記載がないが、毎年同じ調査方法か。天然林3と天然林4は、平成20年度までデータがないが実施してないのか。

(事務局)

平成19年、20年は実施していない。調査方法は毎年同じ方法で行っている。

(委員)

昆虫はどうしても年変動があるので、単純な比較は難しい。比較するには、ササ地の面積や、一番近い森林までの距離などの属性も入れる必要がある。

(委員)

植林する数は1haあたり何本植えているのか。また、その根拠を教えてもらいたい。私が知っている限り10,000本というのが最低ラインくらいで、もっと樹高が小さい稚樹で植えた場合は、より高い密度で植える人もいる。よく解らないので教えて欲しい。

(事務局)

去年の場合は1haあたり10,000本程度植えていたが、コスト的に10,000本は多かった。今年は5,000本を目安に植えた。順応的に様子を見ながらやって行きたい。

(委員長)

人工林については植裁本数について多くのデータが既にあり、かつては1ha当たり3,000本くらい、現在1,000本くらいである。広葉樹の人工林を作るという事は、今まで我々はやっていない。結論から言うと樹種によっても違うし、我々は今までそういう経験がない。植裁後のメンテナンスで全然変わってくるためである。今後きちんと基準を持つ必要がある。

(委員)

鶴居村でも、キラコタン岬に行く途中のところで、市民に苗木を作ってもらう事業を5年前から始めている。当初3年間、植えたものがなくなったがエゾシカが原因であった。その原因を排除する為に鹿柵を張り、その中に人工的にヤチダモを列状で植えて、その間にミズナラを植えていった。設置して2年になるが、苗木の生長が大変良好である。先ずその成長しない原因を排除しない事には成長が見込まれないと考える。

(委員長)

事業が上手くいっていない原因として、エゾシカによる害が多いのか、もしくは植裁後のメンテナンスの問題なのか、母樹が少なすぎるのか原因を絞り込んで、税金がきちんと使われて事業として上手く進んでいく事を目指してもらいたい。

 

達古武地域自然再生事業の実施状況について

事務局から達古武地域の自然再生事業の実施状況について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)

ここでは自然に更新する基準として1ha当たり40,000本くらいの稚樹が必要だとしているが、これまでの地表処理施工区の結果として実生の発生はそれを下回っている。尾根に残っている広葉樹の母樹の種子散布量では、このまま自然林には戻っていかないため、地表処理計画の見直しをすることは分かったが、植栽するための苗木の生産は大丈夫か。

(事務局)

地域産の苗木を使用する必要があるため、種を採る量を増やして苗木の生産を計画に乗せたいが、苗木の育成に4~5年かかるため計画どおりの実施は難しい。

(委員)

防鹿ネットで囲っているとのことだが、防鹿ネットによってエサを取れなくなったシカは隣の森林で更に大きな被害を与えるという問題がある。防鹿ネットを使わなくても自然林の再生ができるような方法がないか、ぜひ本小委員会でも議論していただきたい。

(委員長)

これだけ北海道でシカ対策にお金を費やしていることからも、シカの個体数を減らす以外にないということで議論も堂々巡りとなってしまう。

(委員)

現在のハンターに頼るだけのシカ対策で、生物多様性を維持できるのか疑問だ。私たちの植林地では被害にあった苗木が何年か経つと萌芽更新により成長しており、成長する可能性もあることから、そういった試験もやってもらえればと思う。

(委員)

資料33ページで、高間伐と地表処理を併用すると荒地性の草本などが増加していたとあるが、具体的にはどんな植生になったのか。表面土砂流出防止機能という観点からいくと下層植生を発達させることも必要と考える。

(委員)

試験地で多かったのがクマイチゴやハンゴンソウだが、草丈が大きくなったり面的に繁茂するものだと、下刈り等の継続的な管理が必要と思われる。

(委員長)

考え方は分かるが、ここでは将来的な成林を目指すということで、稚樹が成長時に草本などに被圧されないことが必要と思われる。苗木づくりが課題と思われるが間伐についても順次進めていくということか。

(事務局)

来年度、地表処理や植栽数量等の整理見直しと併せて、間伐も進めていきたい。

 

森林の再生に関する5年目の施策点検の補足について

事務局から森林の再生に関する5年間の施策点検の補足について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)

民有林の5年間の変化ということですが、人工林や天然林だったところが未立木地や伐採跡地になったに過ぎず、評価結果として森林が失われたと表現するのは言い過ぎではないか。

(委員)

データ元の森林調査簿の面積が減る場合、図面を直したり何か理由があって減る場合もあるため、一概に森林が減ったと言えない部分もある。

(委員長)

今回失ったと表現した森林も今後復活する可能性は確かにあるため、2009年現在の段階で森林ではなくなったという意味として、表現は訂正したほうが良いと思われる。

資料のように、湿原流域の民有林での大規模な伐採により土壌が浸食されるような場所もある中で、森林再生に取り組む私たちも何らかの形でこういった伐採を止めたいと思うが、個人の権利もあり、その方法が分からない。森林組合を通さずに伐採するケースも多いのか。

(委員)

森林組合で伐採する場合、施業計画により森林法に即した2年以内の植栽更新や天然更新として、市町村に伐採届が受理されるが、30万円以下の罰金程度のため、個人が無届けで伐採するケースも多くある。

(委員長)

森林所有者自体も高齢化しており、切ってすぐにお金にしたいという考え方もあるとは思うが、例えば今回視察した鶴居の事業地を見てもらうなど止める良い方法はないか。

(委員)

お金の面もあるため、すぐに持続的な森林経営につながるか難しい部分もあるが、一番大事な事は、森林所有者がそういった伐採をしないように森林組合や自治体がコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことだと思う。

(委員)

こういった問題が起こりそうな伐採計画は既にあり、今の鶴居村での市町村整備計画では認めざるを得ない。経済林としての私権もあり非常に難しいが、行政で危険性を事前に把握し、計画が出てきた段階で所有者と交渉していく以外に方法が無い。今、新しい整備計画の中で制限していく形でのゾーニングの見直しを進めており、一番緩いゾーンでは20haまでの開伐は認める計画となる。

(委員長)

20haは大きい。一律ではなく今回視察した事業地のように土砂が流出しそうな川沿いの近くは、保安林として残すなどの計画となるのか。

(委員)

そういった場所はゾーニングで規制していきたいと考えている。ただ、ゾーニングは一方的に決めるのではなく、説明会などで所有者の意見を踏まえて進めたいと考えており、大部分が森林組合をとおして施業計画を立てることから、森林組合をとおして所有者の意向を把握してきている。

(委員長)

湿原流域の他の市町村でも、鶴居村のように森林所有者の意向というのは大体把握できているのか。

(委員)

法的には伐採する場合は施業計画に基づいて実施する方法と、伐採届を提出する方法があり、市町村で把握しているが、それ以外に違法で伐採している場合は、見つけられなければ分からない。

(委員長)

出来れば、我々も手伝いたい。今まで役所で自然林を再生する議論をしてきたが、その横で大規模な伐採が行われており、限界がある。民有林は私権があるので合意の上だが、釧路湿原の保全を考える上で、色んな情報を提供する事によって考えていただけるきっかけを与えられるかもしれない。この森林は湿原保全のために重要なんだという事を具体的に示すやり方もある。

(委員)

伐採後の放棄地は全国的に大きな課題となっており、今回の森林法の改正で、伐採と造林の届出制を強化して、かなり強制的な措置を講ずることが出来るようになってきている。

(委員)

資料の場所周辺では施業地で斜面崩落が起きているような場所もあり、施業方法を変えるなどの指導も出来るようになれば良いと思う。

(委員長)

法的な限界も分かるが、問題がある事を知ることによってそれが押さえられるというケースが十分にある。まずお知らせするなど、そういうものに本協議会も関わり合う必要があり、私たちが手伝える事があるならば、そういった形で手伝っていきたい。

 

その他

事務局から今年度の再生普及小委員会との連携として、達古武の森林再生の現場見学会などの市民参加イベントについて報告が行われた。

 

第11回森林再生小委員会 資料

ico_pdf12 議事要旨のPDF版(PDF:195KB)

ico_pdf12 事例地視察資料1(PDF:7,667KB)

ico_pdf12 事例地視察資料2(PDF:5,174KB)

ico_pdf12 会議資料(PDF:5,602KB)

なお、会議資料のうち、議事1の「雷別地区の自然再生について」は、後日、資料を再提出しました。

(再提出資料)雷別地区自然再生事業について

 

ニュースレター

ico_pdf12  ニュースレターNo.11(PDF:2,138KB)

 

お問い合わせ先

釧路湿原森林ふれあい推進センター 
ダイヤルイン:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

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