知床半島発!ウトロ・羅臼GSS通信(2021)
令和3年9月27日(月曜日) 羅臼湖巡視
羅臼湖の巡視を行いました。
羅臼湖は紅葉の時期を迎えており、知床横断道路周辺では綺麗に染まった紅葉を楽しむ事ができます。
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羅臼湖入口から二の沼へと向かう途中に目梨望遥台へと続く分岐があります。
この分岐をしばらく進むとハイマツ帯となり眺望の良い目梨望遥台があります。
ここからは羅臼方面も見渡すことができ、横断道路が大きく湾曲しながら羅臼の町へ繋がっているのが良く分かります。
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歩道上では真っ赤に染まったナナカマドや黄葉したダケカンバが秋空の青と相まって美しいコントラストを作り出していました。
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三の沼は水面に羅臼岳が映る「逆さ羅臼」で有名な場所ですが、この日は秋晴れの空が澄み切っていて風も無いという好条件だったので、山の輪郭がくっきりと水面に映り込んで、静謐ながらも目の前に迫ってくるようでした。
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紅葉シーズンということもあり、平日の月曜日ではありましたが入林者は6組11名でした。
令和3年9月24日(金曜日) 第3回ドングリ結実調査回収日
早くも3回目の回収日を迎えました。
1週間分の堅果を計測するために調査地のイダシュベツ地区と岩尾別地区に行ってきました。
残念ながら今回もトラップに被害が出てしまいました。
今回の被害の特徴は、写真の様に網を通している横棒が加重によるものなのか、ぐにゃりと曲がっているものが多くありました。
そのような被害のあったシードトラップですが、たくさんのドングリが入っていました。
今回1番被害の大きかったシードトラップはこんな有様でした。
網の部分は大きく引き裂かれ、横棒部分もかなりの角度で折れ曲がっています。
気になるのは、ここまで変形する事ができるのは何者なのかといったところですが、おそらく大型動物(エゾシカやヒグマ)によるものかと思われます。
シードトラップは様々な被害を防ぐため、ネット部分が地面に付かないように設置しています。
この引き裂かれてしまったシードトラップは地面に落ちてしまっていたため、ネズミなどにドングリを持っていかれたかもしれませんが、ネットの中にはわずかながらドングリが残っていました。
今回、回収したドングリの総数は693個でした!
内訳はイダシュベツ地区で83個と先週の122個から個数が減ってしまった結果となりましたが、岩尾別地区では610個となり先週の563個から増加しました。
また、重さで見るとイダシュベツ地区は147.6グラムと先週より個数は少ないもの重量は先週の94.8グラムを上回っており、堅果が大粒になっていました。
岩尾別地区の重量は1675.3グラムで先週の998.9グラムよりも500グラム以上増えています。
この調査はドングリが採れなくなるまで行いますので、まだまだこれからの回収が楽しみです。
令和3年9月17日(金曜日) 第2回ドングリ結実調査回収日
今日は先週に引き続き、9月10日より始まったミズナラ結実調査の2回目のドングリ回収です。
どのくらいのドングリがトラップの中に落ちているのか期待を膨らませつつ、調査地の森へ向かいます。
岩尾別の調査地では5つのトラップが変形していました。
このトラップの曲がり具合は、おそらくヒグマによるものかと思われます。
トラップの上に寄りかかるようにして乗っかったのではないのでしょうか?
そのような被害にあったトラップでも網の中にはドングリが落ちていました。
壊れてしまったシードトラップはその場で直せる物は手直ししますが、修復不可能な物は今日中に新しい物と交換しドングリの回収を続けます。
このような被害が1度あると、連続して壊されることがあるので今後注意が必要です。
今回はイダシュベツ地区112個(先週は22個)岩尾別地区は565個(先週は227個)、合計675個の回収となりました。
また、総重量は1093.7グラムでした。(先週は186.6グラム)
先週の総個数は249個だったので、比べてみるとよりたくさんのドングリが回収されました。
令和3年9月12日(日曜日) 硫黄山巡視
今日は硫黄山の巡視を新噴火口最上部まで行いました。
硫黄山は写真右上に見える三角の形をした部分が山頂で、標高は1562メートルあります。
新噴火口を横切るときはモクモクと静かに立ち上る蒸気を確認し、風向きによっては硫黄の匂いを感じながら登っていきます。
そして、振り返るとオホーツク海が眼下に広がります。
硫黄山は場所によっては粘土質で滑りやすい所やガレ場で石がゴロゴロしている所があり、標高で環境が変化していきますので十分お気をつけください。
足下ではシラタマノキが結実し、あちこちでかわいらしい姿を見ることができました。
今日は歩道上でヒグマの糞をたくさん見つけました。
こちらは登山道の真ん中で用を足した様子です。
糞の内容物は主にナナカマドの実でした。
ヤマブドウを食べた糞もありました。
このようなヒグマの糞は知床半島で行われているDNAによる個体識別調査のためにサンプルを採取し、知床財団に提出しています。
糞が発見された時の劣化具合によってはDNAが検出できない事もありますが、調査結果が楽しみです。
令和3年9月10日(金曜日) ミズナラ堅果結実調査第1回目の回収
ミズナラ堅果結実調査用のシードトラップを設置して1週間が経過し、シードトラップの中に落ちたドングリの回収を行いました。
平成元年より始まったミズナラ結実調査は33年目を迎え、今年も結実状況を記録するために岩尾別とイダシュベツの調査地に向かいました。
今回は1回目の回収のためドングリが落ちていない空のシードトラップも多数ありましたが、中には少量ではあるもののドングリが落ちているものもありました。
ドングリの勢いは感じられませんが、林床は様々な種類のキノコでとてもにぎやかとなっていました。
ホウキタケの仲間
スギタケの仲間
今回の第1回目の回収ではイダシュベツ地区22個、岩尾別地区227個、合計249個のドングリを回収し、総重量は186.6グラムでした!ちなみに不作年となった昨年度の第1回目の回収は85個でした。
今年の知床は長かった猛暑と小雨がドングリの結実収穫に影響を及ぼすのか気になるところです。
令和3年9月6日(月曜日)羅臼湖 歩道補修
羅臼湖の歩道の補修作業を行いました。
今回作業を行ったのは2箇所で、どちらも三の沼付近の歩道です。
1箇所目は、木道の終点付近で、着地点が大きく削られてしまっているために雨が降ると水溜りができてしまう場所です。
降雨時や水溜りがある際は歩き辛く、またそこを回避するために木道から滑りやすい法面に着地する人も多く見られ、転倒しやすい場所でもあります。
当該箇所を回避できるように板材を利用して新たに木道を継ぎ足していきます。
天板を支えるための横板の高さを調節し、それを地面に打ち込んだ木杭にボルトで固定していきます。
既存の木道の終点から、段差を解消するように緩やかな勾配をつけて新たな木道を配置し、水溜りができる場所を回避できるようにしました。
二箇所目は、洗掘によって段差が大きくなってしまい、また路面も柔らかいのでぬかるみ易い場所です。
こちらは現地で調達した倒木や大小の石、砂利を利用して段差を解消するように組み立てていきます。
大きめの石や木を配置することにより段差を解消しつつ歩行路を安定させて、また小石や砂利を敷き詰めることにより流水による浸食を軽減させるように補修しました。
羅臼湖の歩道は全体的に泥濘が多いので、利用の際は長靴を着用し、植生保護のためにも歩道外へは踏み込まないようにして下さい。
令和3年9月3日(金曜日)ミズナラ堅果結実調査トラップ設置
毎年秋になると知床森林生態系保全センターでは平成元年より実施しているドングリの結実調査が始まります。
今年も調査地にシードトラップの設置を行いました。
背負子にシードトラップをくくりつけて、調査地へと向かいます。
調査地の森に先客がいました。
このエゾシカは私たちの姿をみると素早く逃げて行ってしまいました。
ドングリを回収するためのシードトラップは調査対象となる1本のミズナラに対し3つのトラップを設置し、ドングリが採れなくなるまで毎週回収を続けます。
今日の作業は先日のうちに準備を行っていたため、とてもスムーズに進みました。
シードトラップの下には小さい物ではありましたが、既に落下した未熟なドングリが幾つか確認できました。
今年はどのような調査結果になるのか今から楽しみです。
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