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北海道森林管理局

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    知床半島発!ウトロ・羅臼GSS通信(2021)


    知床!ウトロ・羅臼GSS通信

    令和3年7月29日(木曜日) 知床岬・防鹿柵の補修

    今日は1年に2回行われる知床岬先端部に設置中の防鹿柵の巡視です。
    今年1回目となる今回の巡視では、防鹿柵が知床の厳しい冬を乗り越え無事であることを祈りながら船で現地に向かいます。

    現地に向かいます

    現地に到着後、まずは防鹿柵に破損箇所がないか巡視を行います。

    今回は2カ所の破損がありました。
    まずは柵の下を動物によって掘られた跡が1カ所確認できました。

    しかも、この穴掘り跡は以前に補修した所を更に破壊し柵内に侵入した模様です。
    幸い、新たに取り付けた網が剥がされただけで、頑丈に取り付け直して作業は完了しました。

    破壊し柵内

    このような痕跡が見られた金網には侵入した動物の証拠が残っている事もあります。
    穴の大きさからしてヒグマの可能性が高いと思われますが、柵内に侵入した際に金網に付着した毛をよく見てみると・・・

    やはり、ヒグマのようです。
    このヒグマの毛は知床半島で行われているDNAを使ったヒグマの頭数調査のため採取し、知床財団に提供しました。
    ヒグマの毛

    そして2カ所目の破損箇所は太さ25センチ程の枯木が柵の内側から外側に倒れ込み、柵の金網部分が押しつぶされた状態になっていました。
    柵の金網部分が押しつぶされた状態
    作業前

    今日の巡視は現地滞在時間が限られているため、その中で終わらせる事を目標に修理を進めていきます。
    手鋸で倒木を除去し、押し潰れてしまった金網は手作業で地道に引き延ばして原状回復していきます。

    文章で表現すると簡単そうに見えてしまいますが、北海道らしくない高温多湿の中、たくさんのアブに囲まれながらの作業は大変です。
    作業
    作業中

    なんとか時間内に終わらせ、動物の侵入ができない様に復旧しました。
    作業後
    作業後

    作業後は防鹿柵のある樹林帯を抜け、背の高いハンゴンソウをかき分けて船の待つ港に戻ります。
    このハンゴンソウの隙間にはクサフジやエゾオグルマといった、エゾシカが食べない草本類ばかりがびっしりと生えており、知床岬先端部でも増えすぎたエゾシカの影響をこのような形で見ることとなりました。

    ハンゴンソウ

    令和3年7月24日(土曜日)カムイワッカ湯の滝巡視・クマアンケート回収

    7月の四連休中、知床半島は多くの来訪者で賑わいました。
    その中でも知床五湖と並んで人気のあるカムイワッカ湯の滝は、知床五湖ゲートから未舗装の道を11キロメートルほど行った場所にあり、道幅も狭く駐車スペースも限られています。

    夏の連休期間は来訪者が多く混雑が予想されますので、関係機関で駐車場警備や車の誘導業務を行っています。
    連休の3日目にあたる土曜日も多くの方々がカムイワッカを訪れ、午前9時30分には駐車場が満車となり、その後も多い時には10台以上が道路上で駐車場が空くまで順番待ちという状態となりました。
    カムイワッカ湯の滝

    カムイワッカ川の水温は、その日の気象状況によっても多少上下しますが、この時期は一の滝周辺で33度前後となっています。
    カムイワッカは硫黄山から湧き出る源泉が注いでいる川なので水温が高く、特に今年は気温も高い状態が続いていますので、カムイワッカを訪れる方は川沿いだからと油断せずに熱中症対策を万全にしてください。

    また7月に入ってからは知床連山への入山者も増えていますが、今年は山の事故が相次いで発生しています。
    7月5日から24日の間に知床連山だけでも救助を必要とする事故が5件も発生しており、特に知床連山縦走路での負傷が目立っています。

    山の事故増加に伴い、登山口に注意喚起のための山岳遭難防止ポスターを掲示しました。
    この時期は熱中症のリスクも高まりますので、登山される方は余裕のある計画を立て、装備を万全にして入山し、体調不良の場合は無理せず登山を中止してください。
    山岳遭難防止ポスターを掲示

    登山道におけるヒグマの目撃情報も多いので、登山口にてヒグマ目撃アンケートを収集し随時更新しています。
    ヒグマ出没状況を確認できるカレンダーや目撃箇所が地図上で確認できるヒグマ目撃情報を各登山口に掲示していますので、登山される方はよく確認して十分に注意してください。
    カレンダー  目撃箇所

    令和3年7月18日(日曜日) 羅臼湖巡視

    本日は羅臼湖の巡視を行いました。
    羅臼湖は知床半島内にある最大の湖で、大きさは約43ヘクタールあります。
    また、水深は一番深いところで2.1メートルほどと、広さの割に深くはないようです。
    羅臼湖

    羅臼湖に向かうまでの間には四つの沼を通過します。
    こちらはその途中の三の沼です。

    三の沼からは沼越しに羅臼岳の眺望がすばらしく、風のない日には水面に映り込む羅臼岳が望めます。
    今日は生憎、さざ波が立つ水面のため水鏡となりませんでした。
    羅臼岳

    涸れ沢の雪渓は全てとけており、連日の猛暑の影響で流れる水量もない状態でまさに涸れ沢でした。
    羅臼湖へ行かれる際は沼周辺の湿地を歩くため植生保護の観点から長靴の着用をお願いしていますが、今日のぬかるみは乾ききっていていました。
    沼周辺の湿地

    雪解けの遅れたエリアに生えているハイマツの花が続々と満開となっていました。
    この画像の花は雄花で球果にはならないのですが、たくさん花粉を飛ばしており、動物たちの食料として大人気の松ぼっくりが豊作になることを願います。
    ハイマツの花

    令和3年7月15日(木曜日) 羅臼岳(羅臼町側)草刈

    今日は羅臼森林官と共に羅臼岳の草刈りをビジターセンターから木隠れの滝まで行いました。
    羅臼岳には斜里町側の岩尾別登山口、羅臼町側には羅臼温泉登山口と登山口が2箇所あり、毎年この時期はそれぞれの草刈を重点的に行っています。

    特に羅臼町側の歩道沿いに濃密に生える笹は距離も長く、1日の作業では終わりません。

    森林官の操る電動草刈り機は静かな音でも威力は申し分なく発揮していました。
    電動草刈り機

    我々GSSは電動バリカンで植生に注意しながらバリバリ刈っていきます。
    電動バリカン

    作業後は登山口に設置してあるヒグマ目撃情報アンケートの回収を行いました。
    7月から設置しているヒグマ目撃情報は知床山系(羅臼岳・硫黄山・知床連山縦走路)で登山中に目撃された情報を元に成り立っています。

    現在の知床のヒグマは標高に関係なく、幅広く出没している模様です。
    入山の際はヒグマ対策をして万全に備えましょう!
    ヒグマ目撃情報
    クリックすると大きくなります

    ヒグマ目撃情報はカレンダー形式でも掲示しています。
    入山する前にチェックしてみてはいかがでしょうか?
    ヒグマ目撃情報はカレンダー形式

    令和3年7月10日(土曜日)・11日(日曜日) 羅臼岳登山道整備イベント

    環境省主催の羅臼岳登山道整備イベントに参加しました。
    初日の午前は、知床世界遺産センターで講師から現在の羅臼岳の登山道環境や保全修復方針について説明がありました。

    羅臼岳は他の知床連山同様、長い歴史の中で幾度となく噴火を繰り返して、現在の山の形となっています。
    そのため標高や場所によって形成された時期や地質(海底堆積層、火砕流、溶岩など)に違いがあり、その上の植生も標高によって大きく異なり、登山口から山頂に至るまで実に様々な表情を見せてくれます。 

    今回の登山道整備は近自然工法と呼ばれる方法で、使う資材はなるべく現地調達し、現地に利用可能な材料がない場合はなるべく自然素材を基本として、現地の自然になじむ修復を行うという方法です。

    午後は、実際に羅臼岳を登りながら、過去に修復作業が行われた箇所を確認して、それぞれ歩道が浸食、崩落した要因や、それに対してどのような修復を行ったかなどの説明を受けました
    近自然工法

    歩行が困難な大きな段差や急斜面などには、木のステップを設けて修復を行うことにより、風雨による歩道の浸食、歩き辛さからくる入山者の歩道外への侵入、その繰り返しによってできる歩道の複線化を防ぐことに繋がります。
    また現地で調達した倒木を利用しているため、周りの風景に違和感なく溶け込んでいるのが近自然工法の特徴です。
    近自然工法

    2日目は、登山道整備に使用する機材や資材に関する説明を受けて、実際に修復作業を体験しました。
    修復作業を体験

    石積みの際は、組んだ石を安定させるために重量のある石が必要となり、必ずしも現場にそのような石があるとは限らないため、現地調達できそうにない資材や作業に必要な機材については皆で分担して現場まで運びました。
    流路と歩行路を安定

    歩道上を流れる水により浸食が生じている箇所では、浸食要因に応じて石組や木柵を据えて、流速を低減させたり流路を分散させたりして水の流れをコントロールすることにより流路と歩行路を安定させています。
    流路と歩行路

    上記の作業例では歩道上に露出している部分しか見えませんが、それらの石や木を支えるために表面から見えない場所に多くの石(根石)が埋められています。
    また根石は木のステップ下に流れる水を受け止め、ステップ下の土が流水によって削られるのを防ぐためにも使われています。

    このようにステップ一段でも多くの資材が使われていますが、その殆どが現地で調達したものなので環境負荷も少なく、自然と馴染んでいるように見えます。

    令和3年7月9日(金曜日) 羅臼岳(ウトロ側)草刈

    今日は環境省・ウトロ自然保護官事務所のアクティブレンジャーの皆さんと羅臼岳の草刈りを行いました。
    目標地点の極楽平を目指して、バリカンで歩道内にかかる笹などを手分けして刈っていきます。
    バリカンで歩道内にかかる笹などを手分けして刈っていきます。

    作業前
    作業前

    作業後
    作業後

    弥三吉水では生ゴミ(バナナの皮)が隠すように捨ててありました。
    特に生ゴミの場合は野生動物に対し、確実に影響を及ぼします。

    山に持ち込んだものは全て家まで持ち帰るようお願いします。
    弥三吉水では生ゴミ(バナナの皮)が隠すように捨ててありました。

    ギンリョウソウが少しだけ顔をのぞかせていました。
    今年の知床は小雨の影響かギンリョウソウは数が少なく感じます。
    ギンリョウソウが少しだけ顔をのぞかせていました。 

    令和3年78(木曜日) カムイワッカ湯の滝と防鹿柵巡視

    カムイワッカ湯の滝では2006年より一の滝上部までの立入となっていますが、今年度は71日から720日にかけての期間で二の滝から四の滝の手前までの区間が、斜里町と知床斜里町観光協会において試行事業として実施することになりました。

    引率者、参加者共にヘルメットを着用し安全対策は万全の様子でした。
    引率者、参加者共にヘルメットを着用し安全対策は万全の様子でした。

    ガイドツアーを利用して行けるのは四の滝手前までとなります。
    これは四の滝の滝壺上部(右岸側)より新規の落石が確認でき、さらに崩れる可能性があるためです。

    なお、7月21日以降はこれまで通り、一の滝上部までの立入となります。
    四の滝の滝壺はたくさんの落石で埋まってしまっており以前のように入浴はできません。

    その後は斜里町内にある防鹿柵の巡視を行いました。
    岩尾別地区では防鹿柵の外側で一つも咲いていないエゾカンゾウの花が柵の内側では多数開花しているのを確認しました。

    知床半島では増えすぎてしまったエゾシカの食害により元々あった植生が失われ、鹿が食べないワラビ等が増え続けている状況です。
    このように柵の中で細々と生き残る植物が柵の外側でも増えていく日はくるのでしょうか?
    岩尾別地区では防鹿柵の外側で一つも咲いていないエゾカンゾウの花が柵の内側では多数開花しているのを確認しました。

    岩尾別の次はイチイの森にある防鹿柵の巡視です。
    ここでは昨年修繕したばかりの所に新しい倒木が重なり合うように倒れ込んでいました。

    手鋸で処理できるようなサイズの倒木ではないため、柵の中に動物の侵入ができない状況であることを確認し、後日作業を行うこととしました。
    昨年修繕したばかりの所に新しい倒木が重なり合うように倒れ込んでいました。

    お問合せ先

    計画保全部計画課
    ダイヤルイン:050-3160-6283