2020年10月
知床半島発!ウトロ・羅臼GSS通信

令和2年10月30日(金曜日)カムイワッカ方面冬季通行止めの日
10月29日から平地では雨模様の天気だった知床ウトロ周辺ですが、前日の夜から気温が下がり山は雪模様でした。
知床峠(738メートル)は、20センチメートルの積雪で国道は通行止めのまま、知床五湖から先のカムイワッカ方面の道路も冬季通行止めとなりました。
道路が閉まる前にカムイワッカ湯の滝の巡視を行った際の様子です。
知床林道の途中から。標高400メートル位から雪が積もっている感じです。
カムイワッカ湯の滝は、昨日からの雨と山の雪で水量が通常の倍以上ありました。
午前中の気温は5℃ほど、気温の低さと増えた水量のため、夏場の温かい時には、上流部で硫黄質の天然の湯が流れ込み30℃位になる場所ですが、水温は16℃ほどでした。
流れる川の水温が高いためか、紅葉や木の葉が落ちるのが遅いようです。
紅葉している木はナナカマド、その奥のまだ緑色の葉の木はハンノキです。
本日で冬季通行止めになるので、危険防止のためのテープ等回収です。
湯の滝入口から。
30日の11時過ぎから冬季通行止めになるということで、もうお客さんの車はありませんが、帰りの車の中から、ヒグマを一頭確認しました。(この写真の奥の斜面付近)
帰り道に出会ったオスのエゾシカ。
何故か私たちの車の少し前を、一緒に100メートルほど小走りに走ってから、道をそれて行きました。
この行動の意味は良くわかりませんが、ゆっくりと落ち着いて走るオスのエゾシカをちゃんと観ることができた一時でした。
令和2年10月26日(月曜日)入林箱回収
本日は羅臼町側に設置してある羅臼岳の入林箱を積雪から守るため回収をしました。
入林箱の回収後は柱だけが残ります。
今年度、羅臼町側から羅臼岳を目指し、入林簿に記入してくださった人の数は146組187名でした。
そのうち、知床連山縦走路(硫黄山方面)を目指す方は20組33名でした。
とても少ない印象ですが、羅臼町側から登る羅臼岳は行程が長く、上級者コースと言われる程なので、ほとんどの方は斜里町側の岩尾別口より登っているようです。
次は知床峠横断道路沿いに設置している羅臼湖の入林箱です。
回収された入林箱は車に乗せられて、羅臼森林事務所で来春まで保管されます。
今年度、羅臼湖の入林簿に記載された数は371組997名でした。
入林簿をよく見ると、10名以下のガイドツアーの方の利用が多かったです。
令和2年10月25日(日曜日)羅臼岳斜里町側巡視
本日は斜里町側の羅臼岳(登山)歩道を巡視しました。
紅葉シーズンが終わった歩道沿いの木々は落葉し、ひと気もなくひっそりとしていました。
弥三吉水の状況です。
先日の大雨の影響なのか、勢いよく水が出ていました。
極楽平では2018年に大規模な補修工事が行われた石組みが流出しており、多くの浮き石がありました。
知床半島では10月に入って二度の大雨が降っており、このような崩壊箇所が多発しています。
通行時は足下に注意しながら歩くようにしましょう。
以前、雨水によって深く削られてしまった箇所が心配でしたが、今回の雨による影響はなかったようです。
変わった見た目のオオカメノキの花芽が巡視中の我々を和ませてくれました。
木下小屋周辺にて乾電池が放置されていました。おそらく捨てていったものと思われます。
環境保護のためにもゴミは必ず持ち帰り、適切な処分をお願いします。乾電池は回収しました。
令和2年10月22日(木曜日)羅臼岳岩尾別登山口の掲示板撤去
積雪による倒壊を防ぐため、羅臼岳岩尾別登山口に設置してある掲示板の撤去作業を関係機関と合同で行いました。
掲示板は分解が可能となっており、毎年冬期間は撤去しています。
屋根は重量があるので、みんなで息をあわせて慎重に持ち上げます。
掲示板は建物の中で保管されます。
掲示板があったところは現在、柱だけが残っている状況です。
なお、入林簿は木下小屋の入口横に移動しましたので、羅臼岳に登られる際は引き続き入林簿のご記入をお願いします。
令和2年10月17日(土曜日)カムイワッカ湯の滝巡視ほか
知床の山々の紅葉は低標高の箇所が見頃となってきました。
写真はカムイワッカ林道の硫黄山がよくみえる場所から撮ったものです。
硫黄山の山頂にはうっすらと雪が積もっていました。
カムイワッカ湯の滝も秋らしく落ち着いた雰囲気になってきました。
水温は25度と少しぬるめです(この日の気温は14度ほど)。
季節が進むとカムイワッカ湯の滝の水温は気温と共に下がっていきます。
そんな中、裸足で元気よく楽しんでいる方で賑わっていました。
午後からは羅臼町側の羅臼岳(登山)歩道を木(こ)がくれの滝まで巡視しました。
小さな沢では先日の大雨の影響で木道が流されていました。
歩道部分にはたくさんの石が流れ込んでいたので、木道は一旦脇に寄せ石の上を歩けるように処理を施して当日の巡視は終了しました。
令和2年10月16日(金曜日)知床連山の雪化粧
昨日までの数日間は知床連山が望めない天気でしたが、久しぶりにきれいに見えた山々は薄っすらと雪化粧。
今季初めて見る風景です。
午前中の知床連山。
右端が羅臼岳、左端が知床硫黄山。
左端が知床硫黄山(1562メートル)、右側真っ白い稜線の右が知円別岳(1544メートル)。
右側が羅臼岳(1661メートル)、左端がサシルイ岳(1564メートル)。
知床横断道路から見える羅臼岳。
同じく羅臼岳頂上付近。
知床峠から、午後の羅臼岳。
この日一日、きれいな山々と気持ちのよい天気でした。
令和2年10月11日(日曜日)羅臼の海岸線
本日は観音岩までの巡視を行いました。
羅臼町の道路の行き止まりである相泊地区から海岸線を歩き、観音岩を目指します。
歩き始めて最初にある川、カモイウンベ川では簡易的な橋が流されていました。
川に落ちないよう、慎重に大きな岩を伝って川を渡ります。
今日はシーカヤックの方とお話しする機会がありました。
こちらの方はペキンの鼻まで行って1泊して帰ってくるとのことです。
花の時期はほとんど終わってしまった中、エゾオグルマだけが海岸線を彩っていました。
チョウゲンボウという小型の猛禽類がこちらをチラチラ気にしながらお食事中でした。
大きい瞳がギョロリとしていたのが印象的でした。
相泊から2時間程歩いて観音岩の手前まで来ましたが、岩の向こう側からこちら方面にゆっくりと歩いてくるヒグマ2頭が見えたので巡視はここで中止とし、ヒグマと鉢合わせないよう戻ることにしました。
画像中央にあるのが観音岩と呼ばれる岩です。(ヒグマは写っていません。)
この日は知床岳や知床岬などを目指す入林者の方はいませんでした。
秋の知床は波が高くなる日も多くなってきます。
過去には高波にのまれて死亡する遭難事故が2014年と2018年に起きています。
たかが海岸線と思わずヒグマも含め、全方位に注意しながらの巡視でした。
令和2年10月9日(金曜日)羅臼岳への歩道巡視
羅臼岳歩道(羅臼町側)を入口から泊場まで巡視しました。
今回は第二の壁を越えて登山川と出合う付近(標高約720メートル)から泊場まで(標高約800メートル)の様子です。
気温は10~15度と沢筋の風が冷たく感じ、晴れたり曇ったりといった天気の中での巡視となりました。
標高720メートルほどの登山川の出合いから泊場方向の写真。
距離にして約400メートル先が泊場です。
途中まで沢の右側を登ります。
200メートル程歩いた所で川を横断します。
川を渡ると沢の左側を登ります。
標高800メートル程の泊場に到着です。
この周辺は川に硫黄の成分が流れ出しており、普通の川とはちょっと違います。
温度は高くないので温泉という感じはありませんが、独特な景観を持っている、泊場です。
泊場周辺の紅葉、黄色が主体。
泊場から登り方向の写真。
歩道は写真中央辺りから左に折れて小さな沢を登り始めます。
泊場から観た羅臼岳。
雲に覆われて上半分が見えませんでした。
令和2年10月4日(日曜日)紅葉の羅臼湖遊歩道の巡視
今シーズン6回目の羅臼湖遊歩道巡視は紅葉の時季となりました。
遊歩道はハイマツ帯にあるので、きれいに色づく樹木の種類も限られます。
今季は少雨のせいか、7月から9月中旬頃まで長靴が必要ないくらい歩道は乾いていました。
9月中旬過ぎから雨の降る日が増え、この日10月4日の遊歩道は写真のとおり。水溜りの復活です。
今季初めてのことだったので、ぐちゃぐちゃな水溜りの数を数えてみました。
結果、入口から二の沼まで36か所、二の沼から三の沼まで11か所、その先11か所、計58か所となりました。
長靴は必需品です。
9月下旬から続いた雨のおかげで8月には完全に枯れていた二の沼も復活です。
三の沼は枯れることはないのですが、水量が少し増えた感じです。
9月最初には完全に枯れていた、三の沼と四の沼の間にある湿原の水。
ここも復活しました(9月6日の巡視ブログを参照してみてください)。
紅葉、ウラジロナナカマドの赤
紅葉、チシマザクラの橙
紅葉、ミネカエデの黄
ミネカエデとナナカマド。
ここはハイマツ帯なので山全体が色づくのではなく、常緑のハイマツの緑の中に、黄、橙、赤が混ざり合う、そんな紅葉の時季を迎えていた羅臼湖遊歩道でした。
令和2年10月3日(土曜日)カムイワッカ湯の滝巡視
カムイワッカ湯の滝は硫黄山の中腹より湧き出している温泉が川に流れ込んでおり、その温い滝壺を目指して多くの人が川の中をザブザブと散策する人気エリアです。
夏の暑い時期は水着で楽しむ方も見かけますが、この時期になるとザブザブと歩く人も少なくなります。
本日の川の水温は24度でした。
川の浅瀬ではどんぐりが沈んでいました。
カムイワッカ湯の滝へ向かう途中の林道でヒグマの糞を見つけました。
少し車に踏まれています。
現在、知床ではヒグマのDNA情報を活用した個体数の推定調査が行われており、知床半島を広くパトロールするGSSはこの調査のお手伝いをしています。
調査は、糞に付着した腸壁が採取できるようにDNA採取用の専用綿棒を使って糞の表面を拭います。
その後、糞そのものを採取します。
ビニール越しではありますが、糞の塊を掴むこの瞬間は毎回なんとも言えない気持ちになります。
採取した物は知床財団に提出し、北海道大学にてDNA分析が行われるとのことです。
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