利尻島発!GSS活動日誌(2020)
令和2年8月23日(日曜日)
皆さんは「自然休養林」をご存知でしょうか?
林野庁では国有林内において自然景観に優れ、森林浴や自然観察、野外スポーツに適した森林を「レクリエーションの森」に選定しています。
6種あるその森のうちのひとつが自然休養林です。
自然探勝、登山、キャンプ、スキー、ハイキングなどを楽しむことができるエリアで、北海道内に20カ所あります。
利尻島内にはグリーンシーズンに利用可能なものとして以下3エリアあります。
「姫沼ハイキングコース」「ポン山・鴛泊旧道ハイキングコース」「沓形旧道-見返台ハイキングコース」
「姫沼ハイキングコース」
姫沼⇔北麓野営場 約4,400メートル、姫沼木道1周約1,000メートル
姫沼入り口の看板
姫沼は標高約130メートルの天然林に囲まれた人造湖。風のない晴れた日には逆さ利尻富士が湖面に映ります。
雨量の多かった今年は笹や草の伸びがとっても早く、看板はまったく見えない状態でした。
「ポン山ハイキングコース」
北麓野営場(利尻山登山口)⇔ポン山山頂約1,500メートル、旧登山道入口⇔ポン山山頂約2,600メートル、日本名水百選「甘露泉水」⇔北麓野営場約450メートル
利尻島らしい風情ある自然林の中を可憐な草花やコマドリの鳴き声を聞きながら歩きます。運が良ければクマゲラも。
ポン山山頂は360度のパノラマ展望台。天気に恵まれれば、利尻山山頂、礼文島、遠くサハリンまで見えます。
旧登山道。
旧道のハイキングコース入り口を車(道)から見つけやすくするため、利尻富士町役場と協議のうえ、新しく看板を設置しました。(写真左端)
「沓形旧道-見返台ハイキングコース」
森林公園⇔見返台園地約4,500メートル
通行する方は多くないですが、噴火活動、溶岩流により造られた大地に成立した原生的な森林や生物の息づかいが感じられるコースです。
森林の中で溶岩がゴロゴロ転がっている様子や、その上に生育している樹木、古くからの森の番人と新たな世代の息吹など、魅力にあふれています。
終着点の見返台展望台からは利尻山、礼文島、沓形市街地が見渡せます。
旧登山道入口。
令和2年8月16日(日曜日)
GSSの仕事は、国有林の自然を守ること。
動植物ができるだけ自然の状態を保つためにいろいろな業務を行います。
利尻の財産でもある大切な保護林を島民の方に知っていただくことも重要な仕事です。
そのため、登山道において、わかりやすい案内標識、安全で快適に利尻の自然に親しめる歩道の整備など、自然に触れあいやすい環境整備にも力を注いでいます。
8月7日の低気圧通過で利尻史上最大の降雨量を記録しましたが、それ以外にも雨は多い気がします。
そのせいか登山道の草木の生育も例年よりもとても早い。
シーズン前に刈ってから、二度は手をかけています。
それでも間に合わず、登山道を覆い隠すような場所もありました。
鴛泊コース。笹がトンネル状になった箇所がありました。
登山される皆様が快適に通行できるように刈払いを行いました。
沓形コース。もともと野趣あふれる登山道で人気ですが、足下が見えないと危ないですね。
そのような箇所は私GSSや地域の登山道整備会社等により刈払いを行っています。
姫沼。今年度から木道がリニューアルされました。
子どもたちが草で遊びながら歩く姿は楽しげですが気になるところは刈るようにしています。
最後に、秋の便りです。
利尻山の亜高山部から上では秋の実なりが早くも始まっています。
オオバスノキ
クロツリバナ
コケモモ
ゴゼンタチバナ
令和2年8月10日(月曜日)祝日
8月7日に台風4号から変わった温帯低気圧の通過等により利尻島では8月の観測史上最大の降雨がありました。
鴛泊登山道、沓形登山道、それぞれの旧道、ポン山周辺の巡視を行いましたが、想定より被害は少なかったです。
甘露泉手前の石段が沢の流量増加によって崩れてしまいましたが、注意すれば通過は可能です。
そのほか倒木など登山を妨げる被害からは免れました。
頑丈そうな石段が崩壊寸前(場所=甘露泉水歩道)。尋常ではない水量があったことが想像されます。
一方、湾内の土砂崩れによる道道通行止めの解除が待たれるところです(8月10日現在)。雨量計は250ミリメートルを記録。
ヤムナイ沢においては平成19年以来の大規模な土石流によって、最上流にある万年雪の一部が下流まで押し流されるほど。雨量230ミリメートルを記録。
ヤムナイ沢。巨大な石が沢の全体を覆っています。尋常ではない水量とその持つ力に言葉を失いました。
大空沢をはじめとする他の沢においては、濁水が続いたものの大きな被害は見当たりませんでした。
登山やトレッキングを楽しまれるみなさまにおいては、歩行の支障になるような状況ではありませんが、山はたっぷり水を含んでいると思われるので今後の気象には十分に注意してください。
大空沢横断箇所。普段より水量はあるものの巨大な石が流された形跡は見当たりません。
※登山前には天候を確認し、登山するかどうか慎重な判断をお願いします。(降雨時の登山はできるだけお控え下さい。)
※登山中に土砂の崩れる音や土の匂いがした場合は、その場で登山を中止し、下山を含めた慎重な判断をお願いします。
令和2年8月2日(日曜日)
「鴛泊コースは整備されていてとっても歩きやすい」とパトロール登山中に出会う皆様からお褒めの言葉をよくいただけます。
一方、沓形コースは野趣あふれる植生とトリッキーな登山道であることから山好きの根強いファンがいらっしゃいます。
「上級者コース」と思われているため、登山者が鴛泊コースに比べてかなり少なく、そのせいか高山植物が登山道の脇に自生するばかりか道の中にも見受けられます。
9合目を過ぎるとお花畑の中を歩いていると錯覚するほどです。
エゾヤマゼンコの蜜とりに夢中のマルハナバチ。
15センチメートルらいまでカメラが近づいたって逃げません。
リシリブシ(利尻附子)
ブシとはトリカブトのこと。そう聞くとこの深い色合いがさらに深みを帯びてきませんか。
最後に、鴛泊コースの「今」をお伝えします。
リシリヒナゲシは見納めです。
来期も透き通った姿を見せてほしいです。
9合目~頂上付近の東斜面はイブキトラノオのお花畑が広がっています。
リシリリンドウが見ごろを迎えています。
チシマリンドウの浅い紫色より深い色が個性を放ちます。
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