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北海道森林管理局

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    レブンアツモリソウ保護増殖事業計画

    平成8年6月18日
    環境庁 
    農林水産省

    第1 事業の目標

    レブンアツモリソウは、北海道の礼文島にのみ生育する多年生の草本植物である。生育状況や生態について詳細には把握されていないが、園芸的価値が高いことから過度に採集され、現在では分布、個体数とも限られている。
    本事業は、礼文島における本種の生育状況等の把握とモニタリングを行い、その結果等を踏まえ、生育地における生育環境の改善や盗掘防止対策の強化等を図るとともに、必要に応じ適切な方法による繁殖個体の再導入を行い、かつての分布域内での分布の拡大及び個体数の増加を図ること等により、本種が自然状態で安定的に存続できる状態になることを目標とする。 

    第2 事業の区域

    主として北海道礼文島 

    第3 事業の内容

       1 生育状況等の把握・モニタリング

      本種の保護増殖事業を適切かつ効果的に実施するため、以下の調査を行うとともに、本種の生育状況等に関する情報の収
      集、整理を進める。なお、調査等の実施に当たっては、踏みつけ等の生息地に悪影響を及ぼす行為を排除するよう留意す
      る。 

    (1)生育状況の把握・モニタリング

        生育地点、生育株数の現状及び増減等の本種の野外個体群の生育状況に関する情報の収集及び定期的なモニタリング
        を行う。併せて、かつての分布域を把握するため過去の分布状況の変遷等について情報収集を行う。


    (2)生物学的特性の把握

        野生下での繁殖様式、共生菌の特定など実生の定着環境、生育に適する環境、集団内の遺伝的多様性等、本種の保存に
        資する生物学的特性の把握を目的とした調査を行う。


    (3)生育の圧迫要因及びその影響の把握・モニタリング

        植生の遷移、訪花昆虫及び食害昆虫の動態等個体群の維持に影響を及ぼすおそれのある要因及びその影響の把握及び
        定期的なモニタリングを行う。
     

       2 生育地における生育環境の維持・改善

      本種の自然状態での安定した存続のためには、共存する生物や地形地質等本種を取り巻く生態系全体を良好な状態に保つこと
      が必要である。
      このため、上記1 の現状把握やモニタリングの結果、本種の生育環境が悪化し、個体数の減少等が見られる場合には、その原
      因を把握するとともに、本種の生態学的特性を十分に踏まえた効果的な対応策を検討し、必要に応じて、本種の生育・繁殖に
      適した環境改善のための措置を講ずる。

     

       3 人工繁殖及び個体の再導入

      本種の繁殖は、野外個体群の維持拡大によることを基本とするが、必要に応じ、補完的に人工繁殖及び個体の再導入によるか
      つての分布域内での分布の拡大及び個体数の増加を図る。
      なお、個体の再導入に当たっては、遺伝的かく乱等により野外個体群の存続を脅かすおそれがあることに十分留意することと
      する。

     

       4 生育地における盗掘の防止

      盗掘及び生育地への不用意な立入りを防止するために、生育地における監視及び保護柵、制札等の整備を行う。

     

       5 普及啓発の推進

      本種の保護増殖事業を実効あるものとするためには、関係行政機関や礼文島の住民を始めとする国民の理解と協力が不可欠で
      ある。このため、本種の生育状況及び保護の必要性、保護増殖事業の実施状況等に関する普及啓発を推進し、本種の保護に関
      する配慮と協力を呼び掛けることとする。また、礼文島内において、本種についての理解を深めるための活動を行うこと等に
      より、地域の自主的な保護活動の展開が図られるよう努める。

     

      6 効果的な事業の推進のための連携の確保

      本事業の実施に当たっては、事業に係る国、北海道及び礼文町の各行政機関、本種の生態等に関する研究者、地元住民等の関
      係者間の連携を図り、効果的に事業が推進されるよう努める。

    お問合せ先

    計画保全部計画課
    ダイヤルイン:050-3160-6283