緑を育て森林をつくる
管理経営の基本は公益的機能の増進です
日高南部森林管理署では、日高流域(南部)にひろがる約13万ヘクタールの国有林を守り育てて(管理経営して)います。
新ひだか町をはじめ管内4町の水源林や、日高山脈中央部森林生態系保護地域などの貴重な自然環境、静内湖畔の森や新冠湖風景林等のレクリエーションエリア、えりも岬の緑化等による沿岸漁業への寄与等があり、森林の持つ公益的機能の発揮が期待される地域です。
機能類型にふさわしい森林の取り扱いを進めています
森林には国土の保全、水源のかん養、生物多様性の保全、自然とのふれあいの場、快適な生活環境の形成、木材の生産といったさまざまな機能があります。
そこで重視する機能に応じて国有林を5つのタイプに区分しています。(機能類型区分)。
日高南部森林管理署の国有林では、地域の自然的特性などを考えながら5つのタイプに区分し、それぞれの区分に応じた森林の整備・保全を行っています。
機能類型区分
機能類型タイプ | 第一に発揮すべき機能 | 対象箇所 | 比率 | イメージ写真 |
山地災害防止タイプ 面積:22,227ヘクタール |
山崩れなどの災害を防止する機能を重視 | 土砂流出防備保安林 土砂崩壊防備保安林等 |
17% | ![]() |
自然維持タイプ 面積:59,597ヘクタール |
自然環境を維持する機能を重視 | 保護林等 | 45% | ![]() |
森林空間利用タイプ 面積:1,134ヘクタール |
森林とのふれあいの場としての機能を重視 | レクリエーションの森等 | 1% | ![]() |
水源涵養タイプ 面積:48,535ヘクタール |
水資源を蓄え、良質な水を供給する機能を重視 | 水源涵養保安林等 | 37% | ![]() |
※快適環境形成タイプ(騒音や粉塵等から地域の快適の環境を保全する機能)は該当なし
森林機能の維持増進のために様々な取り組みを進めています
保安林の整備
水源のかん養や災害の防備などの働きが求められる森林を「保安林」に指定して、その森林の機能確保に努めており、日高南部森林管理署の管理する森林のうち、全体の99%が保安林に指定されています。
また、かつて「えりも砂漠」と呼ばれていた襟裳岬国有林は、強風下という困難な状況の中で緑化が進められ、緑化面積の増加とともに、地域の漁獲高が飛躍的に増大してきており、保安林としての働きが十分に発揮されているところです。
昭和28年当時の砂漠化したえりも岬国有林
現在の緑化されたえりも岬国有林
レクリエーションの森の整備
人と森林とのふれあいの場を提供するため、四季折々の自然の美しさを楽しむことができる自然休養林や野外スポーツ林などのレクリエーションの森を設定し、森林とのふれあい環境を整備しています。
日高南部森林管理署には4カ所、661ヘクタールのレクリエーションの森があり、皆さんに親しまれています。
保護林の指定
日高南部森林管理署の管理する国有林には、原生的な天然林を保存することにより自然環境・動植物の保護・遺伝資源の保存を図る目的で設置された日高山脈中央部森林生態系保護地域をはじめ、6カ所、30,188ヘクタールの保護林があり、保護・保全が図られています。
また、日高山脈と大雪山系との間を緑の回廊として結ぶことにより、野生動物等の生態系を守っています。
日高山脈中央部森林生態系保護地域
森林整備と木材の安定供給
再生可能な資源である木材を循環的に利用するため、自然条件等を勘案しながら、収穫と植林を繰り返して、木材を安定的に供給するよう努めています。
また、地球温暖化防止にかかる京都議定書(1997.2)で約束したCO2吸収源活動である森林整備にも取り組んでいます。
アオダモ造林地
流域を単位に、民有林行政と連携した取り組みを進めています
流域管理の推進
地域における適切な森林整備や林業・林産業の活性化を図るためには、流域を単位として、民有林と国有林で協調しながら、計画をたて、事業を進めることが重要です。
このため、民有林行政を担当する日高支庁や各町と連携して、流域の課題やニーズの的確な把握、森林計画等の策定のための意見調整などを進めています。
森林の現況 (単位:ヘクタール、%)
市町村 | 総面積 | 国有林 | 民有林 | 計 | 森林率 |
---|---|---|---|---|---|
新冠町 新ひだか町 浦河町 様似町 えりも町 |
58,581 114,755 69,486 36,430 28,400 |
37,376 65,171 27,197 0 420 |
9,362 31,084 30,948 33,359 23,462 |
46,738 96,255 58,145 33,359 23,882 |
79.8 83.9 83.7 91.6 84.1 |
計 | 307,613 | 130,269 | 128,299 | 258,568 | 84.1 |
注)1.区域面積には「平成31年北海道統計書」、森林面積(国有林)は「平成29年度北海道林業統計」による。
2.森林面積(国有林)には国有林法による国有林及びその他国有林を含む。
流域森林・林業活性化協議会の取り組み
民有林行政、国有林行政が連携して流域の森林の整備等を進めるために、関係者で「日高流域森林・林業活性化協議会」を設けています。
この協議会には、森林管理署のほか、日高支庁、流域内の7町をはじめ、多くの関係者が参画して取組を進めています。
林業活性化協議会
カラマツログハウス(えりも岬)
カラマツ住宅
木質ペレットストーブ
「国民の森林」にふさわしい開かれた管理経営を目指します
森林・林業に関する情報・サービスの提供
国有林の管理経営に当たっては、「国民の森林」にふさわしい、国民の皆さんに開かれた管理経営を 目指します。 このため、森林計画の案の公表、意見の聴取や管理経営状況の公表をはじめ、森林・林業に関する情 報・サービスの提供に努めます。
ふれあいの森
国有林では、「緑づくりに参加したい」「地球環境の保全に貢献したい」という声にお応えして、えりも岬の緑を守る会や年輪クラブなど地域ボランティ アに活動のフィールドを提供しています。 静内湖近くの国有林には、活動の場として「ふれあいの森」を設定し、森林整備や森林浴・自然観察など に利用されています。
「希望(のぞみ)の森」(年輪クラブ)
つる切り作業
法人の森
国有林では、社会奉仕又は社会貢献等を目的とする、法人と協定書を結んでいます。
法人の森にあるログハウス「一安荘」
ログハウス「一安荘」の営林友の会山を見る会(2018年10月14日)
オクルンベツ水源の森
森林・林業の普及啓発活動
地域の皆様に森林のすばらしさ・森林から贈られる自然素材の良さを感じ取ってもらうことを目的として、イベントや学習会、PR活動等を実施しています。
また、新ひだか町では、町民の幅広い皆様の参加のもと当署を事務局として「新ひだか町営林友の会」を結成し、国有林の緑資源の充実と地域との連携に寄与することを目的として、植樹や育樹などの活動を行っています。→新ひだか町営林友の会
森林教室
小・中学校などからの要請に応じて、森林教室・体験学習の森林インストラクターを派遣できますので、ご相談ください。
浦河堺町小学校(2019年6月28日)
浦河堺町小学校(2018年7月6日)
中高一貫教育(えりも中学校、2019年6月17日)
中高一貫教育(えりも高校、2018年9月19日)
植樹
アオダモ植樹祭(2018年10月13日)
アオダモを植える高校球児達(2017年10月14日)
井寒台植樹祭
えりも岬こども達の森林づくり
育樹
えりもイキイキ森林づくり(えりも岬の緑を守る会、2018年11月1日)
お問合せ先
日高南部森林管理署北海道日高郡新ひだか町静内緑町5丁目6番5号
TEL:0146-42-1615