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中部森林管理局

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    高山帯における植生復元

    雲ノ平植生復元

    北アルプス最奥地にある雲ノ平( 標高2,400~2,700m)は、溶岩台地上に形成された雪田草原が広がり、そのため当該地には池塘が点在し、高山植物の宝庫となっていますが、過去の登山行為( 踏圧)や融雪期のグライドや雨水等による洗屈が重なり、植生が荒廃した箇所が登山道沿線で見受けられます。

    植生荒廃が進行する現状に危機感を抱いた山小屋が発端となり、産学官( 山小屋、大学、森林管理署等) による雲ノ平での植生復元を平成20年度より取り組み、山小屋は現地に適した施工方法の開発や実行、大学は他地域での植生復元の提示や実行検証、森林管理署は関係機関との調整を図るとともに、国有林野事業の業務に置付け、三者が連携しながら協働で植生復元活動を実施しています。

     

    仙丈ケ岳(馬の背)の植生復元(保護)

    南アルプス周辺地域において、希少な高山植物をニホンジカの食害から守るために、南信森林管理署、長野県、伊那市、飯田市、富士見町、大鹿村及び信州大学農学部が構成機関となり、平成19年に南アルプス食害対策協議会を発足させました。

    同協議会では、ニホンジカによる食害が深刻な仙丈ケ岳馬ノ背周辺のお花畑の跡地に平成20年から防護柵を設置し、植生の食害防止と保護を行っています。

     

    木曽駒ヶ岳植生復元

    中央アルプス木曽駒ケ岳周辺においては、登山者の入り込み増加が誘因と考えられる踏み荒らし等によって、高山植物の荒廃が進行しています。加えて大量の降雨や、融雪水、凍結融解による砂礫の移動、強風が植生の荒廃に拍車をかけており、このまま放置すればこれらの貴重な高山植物の更なる衰退が懸念されています。

    このため、中央アルプス木曽駒ケ岳森林生態系保護地域及びその周辺地域の中で、特に登山道周辺等を中心とした植生荒廃の著しい区域における森林生態系の植生復元を図るため、長野県、駒ケ根市、宮田村および関係森林管理署の協力を得て取り組んでいます。

    長野県西部地震跡地の植生復元

    長野県西部地震(昭和59 年9 月)に伴う御嶽山南斜面の大崩壊(通称 「御岳崩れ」)から発生した土石流などにより、国有林野は下流域600ha の森林地帯を消失しました。

    被災跡地では、治山事業、ボランティア団体による再生活動等が実施され、現在では植栽した樹木や自然発生の植生によって、森林が再生しつつあります。




    高山・亜高山での長期にわたる植生復元 ~立山ルートにおける緑化木ミヤマハンノキの管理について~

    高山、亜高山帯での緑化は平地での緑化と様々な点で状況が違い、全国的にもその技術は確立されていません。

    また、国立公園内での緑化については、自然環境や生物多様性の保全の観点から質の高い事業が求められています。その中で、立山黒部アルペンルート(以下、立山ルートと称します)の緑化復元事業は、1960 年代後半から自然環境保護の観点にいち早く着目し、全国的にも先進的な取り組みを行っています。自然環境を重視した緑化復元の試みについて、半世紀の取り組みをまとめましたので紹介します。【令和元年度中部森林技術交流会発表課題】