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林野庁

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平成24年3月28日更新

きのこ原木及び菌床用培地等の当面の指標値設定に関するQ&Aについて

農林水産省は、きのこ原木及び菌床用培地等の当面の指標値設定について、お問い合わせの多い内容について、Q&Aを作成しました。

  • 本Q&Aは、現場からのご質問や今後の検討に合わせて、随時更新します。

きのこ原木及び菌床用培地等の当面の指標値設定に関するQ&A

 Q1:なぜ、きのこ原木、菌床用培地等に当面の指標値を設けたのですか。

 A1  現在、野菜類等の生鮮食品は、「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」(平成23年8月4日原子力災害対策本部)に基づき、17都県(注)を中心に、食品の暫定規制値を基準とした食品モニタリングを実施し、安全が確認されているところです。

一方、きのこ原木や菌床用培地に放射性物質が含まれていた場合、ほだ木(きのこ原木にきのこの菌を植えたもの)や菌床(おが粉や栄養材等を混合した培地にきのこの菌を植えたもの)から発生したきのこに放射性物質の移行がみられますが、きのこ原木及びほだ木並びに菌床用培地及び菌床(以下「きのこ原木、菌床用培地等」といいます。)については、食品モニタリングを重点的に実施することとしている17都県以外の全国に流通する可能性があるところです。

このため、今回、農林水産省は、消費者の安全確保とともに、生産者が安心して栽培できるようきのこ原木、菌床用培地等についての当面の指標値を作成しました。

 (注)17都県:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県

 

Q2:なぜ、平成23年10月6日に公表されたきのこ原木、菌床用培地等の指標値(150ベクレル/kg)を見直ししたのですか。

A2  平成23年10月6日にきのこ原木、菌床用培地等の指標値をお示しした以降も、国は引き続ききのこ原木から発生するきのこへの放射性セシウムの移行に関する科学的データを収集・分析してきたところ、移行係数に関する新たな知見が得られました。

また、これまで食品に適用されてきた暫定規制値が見直され、今年4月から食品中の放射性セシウムの新たな基準値(100ベクレル/kg)が設定されることとなっています。

このため、今後生産されるきのこが食品の新たな基準値を超えないようにするため、今回得られた移行係数に関する知見により、きのこ原木、菌床用培地等の指標値を見直すこととしました。 

 

Q3:なぜ、きのこ原木及び菌床用培地として利用できる放射性セシウム濃度を、きのこ原木及びほだ木50ベクレル/kg、菌床用培地及び菌床200ベクレル/kg以下としたのですか。

A3  きのこ原木及び菌床用培地の基準を作成するため、ほだ木(きのこ原木にきのこの菌を植えたもの)、菌床用培地(おが粉や栄養材等で製造したもの)と発生したきのこ(しいたけ)について、放射性セシウム濃度の測定・分析を行いました。

放射性物質の影響を受けたほだ木(乾重量当たり)や菌床用培地(乾重量当たり)と、発生したしいたけ(生重量当たり)のそれぞれの放射性物質の濃度の測定結果を基に、移行係数の上限値に近いとみなせる値を統計的に推計しました。その結果、移行係数は、きのこ原木(ほだ木)の場合2、菌床用培地(菌床)の場合0.5という値が得られ、下記の(参考)にお示しする式によりきのこ原木及びほだ木の当面の指標値50ベクレル/kg、菌床用培地及び菌床200ベクレル/kgを設定しました。

なお、調査データとして用いたしいたけは、栽培きのこの中では最も移行係数が高いとされているため、他のきのこについては、より安全の度合いが高いものと見込まれます。

(参考)


 当面の指標値    =   100ベクレル/kg(一般食品の新しい基準値)

                                     移行係数(きのこ原木2、菌床用培地0.5)

 

Q4:対象とするきのこの範囲を教えてください。

A4  しいたけ、えのきたけ、ぶなしめじ、マッシュルーム等の原木や菌床用培地で栽培するきのこを対象としています。

 

Q5:菌床培地には、おが粉のほかに米ぬか等の栄養材が用いられていますが、今回の指標値は、個々の栄養材毎についても適用されるのですか。

A5  きのこ栽培用の菌床用培地には、基材としてのスギおが粉、広葉樹おが粉等のほか、栄養材としての米ぬか、ふすま、コーンブランなど様々な原料が用いられています。

  

 ○参考:基材と栄養材の比率(重量比)(森林総合研究所調べ)

 基材重量比率1

 

 注:一般にスギおが粉は樹皮なし

 

このため、確実かつ効率的に菌床用培地が本指標値を超えないようにするためには、個々の材料毎に管理するのではなく、菌床用培地全体で管理することが妥当です。
なお、樹木の材部については、樹皮と比べて放射性物質の濃度は大幅に低いことから、樹皮が含まれないおが粉を利用することにより、安全性が向上すると考えられます。
また、栄養材となる米ぬか・ふすま等の販売事業者は、米ぬか・ふすま等を販売する際に、それらの生産状況等の情報を適正に提供して下さい。

 

Q6:菌床用培地(マッシュルームを除く。)について、具体的には、どのような管理を行えばよいのでしょうか。

 A6 具体的には次のような管理を行うことが適当と考えます。
(ア)一般に菌床用培地の基材に、樹皮を含むおが粉も使われているしいたけ、まいたけ等については、極力、樹皮を含まないおが粉を使用する。栄養材については、必要に応じて配合割合を調整する等の対応を行う。
(イ)一般に菌床用培地の基材に、樹皮を含むおが粉が使われていない又はコーンコブミールなど代替材が利用できるえのきたけ、ぶなしめじ及びエリンギなどについては、同基材を利用するとともに、栄養材については、必要に応じて配合割合を調整する等の対応を行う。
(ウ)培地の製造に当たっては、基材や栄養材を混合する際、よく撹拌する。
上記の取扱いを行った上で、菌床用培地の放射性セシウム濃度を測定して、指標値を超えていないことを確認してください。

 

 Q7:現在使用しているほだ木や菌床培地も本指標値を下回っているのか検査する必要がありますか。

A7 既に使用しているほだ木や菌床培地については、原発事故以前に製造されて、放射性物質の影響を受けない状況で保管されていたなどの場合には、検査の必要はありません。

放射性物質の影響が不明である場合には、都道府県に相談の上、必要に応じて、出荷するきのこの食品モニタリング検査やほだ木、菌床培地の検査を実施するようにしてください。

なお、平成23年10月6日に公表されたきのこ原木の指標値(150ベクレル/kg)に基づき使用されているほだ木については、生産者が所在する都道府県が発生したきのこの検査を確実に行い、きのこの安全性が確認できる場合に限り、引き続き使用できるものとします。

 

 Q8:きのこ原木について、一定の経過措置として、旧指標値の150ベクレル/kgのほだ木の使用をしてもよいことになっていますが、発生したきのこは安全ですか。

A8 平成23年10月6日に公表されたきのこ原木の指標値(150ベクレル/kg)に基づき使用されているほだ木については、生産者が所在する都道府県が発生したきのこの検査を確実に行い、きのこの安全性が確認できる場合に限り、引き続き使用できるものとしております。

このように、食品の新しい基準値を上回るきのこの流通がないように措置しているところです。

 

 Q9:自ら培地を作ってマッシュルームを生産していますが、注意すべきことはありますか。

A9 マッシュルームの培地は、堆肥が主な原料となっていますので、培地を作る際には、使用する堆肥の放射性セシウム濃度に留意するようにしてください。

 

Q10:堆肥自体の暫定許容値は400ベクレル/kgですが、暫定許容値以下の堆肥であれば、マッシュルームの培地の原料として使用しても問題ありませんか。

A10 マッシュルームの培地の主な原料は堆肥ですが、堆肥を培地の原料として利用する場合には、マッシュルーム以外のきのこの培地同様、原料ではなく、培地全体として本指標値(200ベクレル/kg)を超えないように管理を行ってください。

 

Q11:今後、「当面の指標値」の見直しは行わないのですか。

A11 きのこ原木の放射性物質の影響等について、今後も農林水産省で引き続き調査をすすめ、平成24年夏頃を目途に見直しを行う予定です。

 

Q12:指標値を超えたほだ木等の廃棄について教えてください。

A12 放射性物質の影響を受けたきのこ原木等であって、8,000ベクレル/kg以下のものについては、肥料など他の用途にも供さない場合、通常の一般廃棄物として廃棄(自治体が定める処分方法等)されるようお願いします。8,000ベクレル/kgを超えるものについては、放射性物質汚染対処措置法に基づき、指定廃棄物として指定を受けるための申請をすることができます。申請に基づき指定された場合は、国が処理を行うことになります。なお、申請者は、指定廃棄物が国に引き渡されるまでの間、当該指定廃棄物を保管基準に従って保管しなければなりません。詳しくは、環境省地方環境事務所に相談してください。

また、これらの廃棄物について処理施設が確保されるまでの間は、自己所有地内で一時保管をしてください。

なお、従前よりきのこ原木としての使用に耐えなくなったことなどに伴い、当該きのこ原木を自らが所有する山林等に保管をしていた場合については、廃棄物処理法に照らし、地元自治体が当該地域の社会通念上許容される行為と判断するときは、従前の取扱いによることを妨げるものではありません。

このため、これまでどおりの方法が可能なのかについては、まずは地元自治体へご相談願います。

 

Q13:検査の結果、指標値を超え、きのこ原木、菌床用培地等の出荷や使用が制限された場合の損害について、東京電力による賠償の対象になりますか。

A13 平成23年8月5日に原子力損害賠償紛争審査会が策定した「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(以下「中間指針」。)において、東京電力が賠償すべき損害と認められる一定の範囲の損害類型が示されています。

中間指針で、政府等による農林水産物等の出荷制限指示等(政府が本件事故に関し行う指示に加え、地方公共団体が本件事故に関し合理的理由に基づき行うもの及び生産者団体が政府又は地方公共団体の関与の下で本件事故に関し合理的理由に基づき行うものも含むとされている。)に係る損害について、東京電力が賠償すべき損害の項目として、

  • 営業損害(減収及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用)
  • 就労不能等に伴う損害(勤労者の給与等の減収分及び必要かつ合理的な範囲の追加的費用)
  • 検査費用(財物の検査に関して負担を余儀なくされたもの)

が明記されており、きのこ原木、菌床用培地等に係る損害についても、これらの損害項目に該当するものが、東京電力が賠償すべき損害となるものと考えられます。 

お問合せ先

林政部経営課特用林産対策室
特用林産企画班 
代表:03-3502-8111(内線6086)
ダイヤルイン:03-3502-8059

(マッシュルームに関する事項)
生産局農産部園芸作物課
代表:03-3502-8111(内線4821)
ダイヤルイン:03-6738-7423