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合法伐採木材等に関する情報:アメリカ合衆国

アメリカ合衆国

(2023年4月1日:追加情報更新)

注 国別情報については、次の調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

注 リスク低減に関する事例等についてはこちら(PDF : 23,379KB)

1. 木材等の生産及び流通の状況

アメリカ合衆国(以下、「米国」という。)の国土面積は984万800km2で、その約三分の一(3億3,345万ha)が森林に覆われています。所有形態別森林面積は、私有林58%、連邦有林31%、連邦有林以外の公有林11%であり、私有林の48%は南部に、連邦有林の74%は西部にあります。地域別林面積は、西部が44%、次いで南部が23%、北部は18%と西部に広い面積の森林が展開しています。しかし、産業用材を生産できる立木地面積(2億2,408万ha)の地域別割合は、南部が40%、北部32%、西部26%であり、森林面積の11%を占める保護林の8割が西部に集中しているため、西部の立木地面積は他の地域に比べて小さくなっています。1997年の全米の森林蓄積量は279億200万m3で、1953年から60%増加しています。

2017年の主な林産物生産量は、丸太4億5,071万1,000m3、製材品9,959万2,000m3、針葉樹合板798万8,000m3、OSB1,292万9,000m3、パルプ5,270万1,000t、紙(出荷量)2,745万6,000t、板紙7,844万5,000tでした。
2017年現在、米国では、産業用丸太、広葉樹製材品、板紙及びパルプについては自給率が100%を超えています。木材の輸入量は限られており、産業用丸太は90万1,000m3、広葉樹製材品は83万6,000m3にすぎません。しかし、針葉樹製材品は例外です。同製品の自給率は約50%で、隣国カナダから多くの製材品を輸入し、カナダからの針葉樹製材品輸入量は米国の同製品の名目消費量の30%を占めています。カナダからの針葉樹製材品輸入量は、製材品輸入量(3,789万8,000m3)の89%、針葉樹製材品輸入量(3,706万1,000m3)の91%を占めています。

1997年の主な輸出用木材・木材製品は、産業用丸太(1,113万7,000m3:主要相手国は中国、日本、カナダ)、製材品(845万9,000m3:同、中国、カナダ、メキシコ)であり、木質パネルについては針葉樹合板(58万1,000m3)、OSB(16万7,000m3)ともに限られています。
木材・木材製品の対日輸出額が多い州は、ワシントン州(2019年の対日輸出額6億6,146万5,000ドルの内、51%)とオレゴン州(同26%)でした。

2. 合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

米国では、連邦政府が米国全土または複数の州を対象にした事項及び条約、貿易その他の外国との関係が生じる行為に係る事項を連邦法によって規定し、州は森林その他の資源や林産業を含む事業所の管理を州の個別事案として州法により規定しています。

1)国産材の合法性確保

森林の管理及び木材の生産には、連邦有林については連邦法、その他の森林については各州の州法が適用されています。

(1) 連邦有林
連邦有地で丸太の生産を通常の業務として継続的に行っている連邦機関は、農務省山林局と内務省土地管理局です。両局が管理する連邦有林は、連邦有林面積の77%を占めています。これらの機関には、複合的な森林利用のバランスを考慮した長期的な木材生産を確保しながら管理を行う義務が課せられ、法令に基づき作成した土地利用資源管理計画による森林管理が行われます。連邦有林の木材販売は、連邦議会の承認を得た木材販売事業計画により行われています。木材販売事業計画は、土地利用資源管理計画に基づき作成されています。
一般的に木材販売は立木競争入札によって行われ、購買者は伐採の方法、林道及び作業道の設置、タイムスケジュールその他の木材販売契約書に記載されている契約条件に基づいた施業を行います。連邦職員は、木材販売契約の遵守を現地で確認しています。

(2) 公有地で生産した未加工材の輸出規制
森林資源保護不足緩和法の規定により、西経100度以西の隣接している州(アラスカ州、ハワイ州を除く)の全ての連邦有地及び連邦有地以外の公有地で生産した未加工材の輸出は禁止されています。さらに、同法により連邦有地で生産された未加工材の購買者による私有林丸太を輸出しながらその丸太の産地と同じ地域の連邦有地で生産された未加工材を購入する行為及び連邦有地で生産された未加工材の転売または譲渡は、法令により禁止じられています(「代替」の禁止)。
アラスカ州については、有機管理法の規定により連邦有地からの州外への丸太販売が禁止されています。
連邦有地からの未加工材の輸出を防止するために、24か月以内に私有林からの丸太輸出実績がある企業には、連邦有林材を購入するための入札資格を与えない措置がとられている他、山林局は定期的に港湾で輸出用木材の検査を行っています。
州有林地で生産された未加工材の輸出規制は、各州が州法で規定しています。
なお、内務省インディアン局が管理する信託地及びインディアン居留地の中の完全な部族所有地は私有地であり、輸出禁止の規制は適用されません。

(3) ワシントン州、オレゴン州の生産林
ワシントン州とオレゴン州の森林管理及び木材生産に係る主要な法令は、林業施業法及び「林業施業規則」です。
生産林の森林所有者には、森林管理計画の設定が義務づけられています。森林所有者は生産林を取得し、生産林の登録をするときに、登録申請書に森林管理計画を添付して税務署に提出します。
生産林での施業の実施は、軽微なものを除き、州政府の許可が必要です。州政府の許可が必要な施業は州法によって定められ、さらに特定の施業については土地所有者が施業を申請するときに施業計画書を添付する必要があります。州政府は、環境または公共資産に影響を及ぼす可能性がある施業、林業施業法令に定めていない方法による施業その他の特別な施業の申請については、専門家チームによる現地調査と評価を法令に基づいて行います。各種施業は水、野生生物、史跡その他の公共資源への影響を配慮してなされます。
生産林の土地所有者には、伐採後に十分な再造林を完了する義務が課されています。伐採の規模及び方法並びに再造林達成基準は、州法によって定められています。森林の売買または譲渡するときは、再造林義務を販売者または譲渡人から購買者または譲受人に州政府指定の様式により伝達する定めになっています。
なお、住宅地、農地その他の森林以外の用途への転換が認められている生産林の所有者が用地転換を希望する土地については、再造林義務が免除されます。しかしその一方で、土地所有者には、伐採後、法令が規定する期限までに土地の他の用途への転換を完了する義務が課されます。
州政府は、施業の法令遵守状況を確認する現地調査を法令に基づき行っています。

2)輸入材の合法性確保

2023年2月現在、違法伐採対策に対応する連邦法としては、レイシー法、熱帯林保護法及び絶滅危惧種法があります。

(1)レイシー法
レイシー法は、違法伐採を減らし、輸出市場における米国産木材の価値を高め、林産業を活性化させることを目的として2008年に改正され、木材を含む植物及びその製品が同法の適用対象となりました。このため、植物及びその製品の輸入申告には、従来の輸入申告項目の他に輸入物品の構成要素の説明、輸入物品に含まれる植物の学名(属及び種)、輸送手段、植物の採取国(Country of Harvest)などの項目が加えられました。
2021年10月1日から始まった、レイシー法に基づく植物及び植物製品の輸入申告スケジュールのフェーズⅥの実施が公告されました。フェーズⅥで追加された輸入申告が必要な製品の詳細は、令和3年度報告書下巻2-2-1章に記載されています。

税関国境警備局は、レイシー法改正によるこれら輸入申告項目の追加に対応するための税関のEDI(電子情報取引)システムの段階的改良を輸入品目別にすすめてきました。しかし、2021年2月現在、木毛及び木粉(HS 4405)、切削板(HS 4410)、表面に切削板を使用した合板(HS 44129906及びHS 44129957)、繊維板(HS 4411)、改良木材(HS 4413)、木製の包装容器、パレット、ケーブルドラム等(HS 4415)並びにその他の木材製品(HS 4421)については、同システムの改良が完了していないため、2008年のレイシー法改正により加えられた新たな輸入申告項目の申請が留保され、輸入事業者が任意に書類ベースの申告を行うこととしています。
EDIを行う税関国境警備局のデータベースシステムは、動植物検疫局及び国土安全保障省のシステムとインターフェイスし、外国の出荷者から米国内の最終荷受人までの輸入物品のトラッキングできる機能を備えており、レイシー法の執行やテロ対策にも利用されています。

2008年のレイシー法の改正により、林産物の輸入事業者には外国との取引を行う際のデューケア(注意義務。過失の存在の有無において使われる米国の法的概念)が求められています。デューケアの内容または程度は法令で規定されていませんが、過失によるレイシー法違反については、デューケアの実施の有無により罰則が大きく異なるので、罰則を決定するときまたは過失による重い罪を犯さないようにするためのデューケアの実施が重要視されています。デューケアの実施を証明するためには、輸入事業者には外国法を含む法令遵守及びサプライチェーン管理のための手順を備えた規則の確立とその実施が必要とされています。
2008年に改正されたレイシー法における植物の定義は、次のとおりです:

  1. 連邦の法律、条約、規制またはインディアン部族法に違反した魚類、野生生物または植物の輸入、輸出、輸送、販売、受領、取得または購入。
  2. 少なくとも次の一に該当する行為。
    1. 植物の保護に係る州の法律もしくは規制または外国法に違反して採取、所有、輸送もしくは販売される植物に対する次の行為。
      • 窃盗。
      • 公園、保護林その他の公的保護区域での植物の採取。
      • 正式に規制された地域での植物の採取。
      • 当局が要求する許可を取得せずに行った植物の採取。
    2. 州法または外国の法律もしくは規制が規定する植栽に必要な適切なロイヤリティ-、税金または伐採料を支払わない採取、所有、輸送もしくは販売。
    3. 植物の輸出または転売を管轄する当該州の法律もしくは規制または外国法に違反した採取、所有、輸送もしくは販売。
  3. 連邦の海域及び領土内における次の行為。
    1. 州の法律もしくは規制、外国法またはインディアン部族法に違反した魚類または野生動物の所持。
    2. 植物の保護または規制に係る州の法令または外国法に違反した採取、所有、輸送もしくは販売(禁止行為は2のi項の箇条書きに同じ)。
    3. 2のii項及びiii項の行為
  4. 魚や野生動植物の違法な採取、取得、受領、輸送または所持のためのガイドその他のサービス提供、ライセンス発行その他の便宜供与、賄賂、販売または購入。
  5. 次の行為に係る虚偽の記録、計測もしくは表示、故意もしくは意図的な虚偽の植物の識別または虚偽の識別により作成した表示または書類の提出。
    1. 外国からの輸入、輸出、輸送、販売、購入または受領。
    2. 州間または外国との商取引における輸送。

なお、2008年に改正したレイシー法では、「販売」の定義の範囲を拡大し、販売依頼行為(オファー)もその中に含めています。販売依頼行為に含めるものとしては、物品の販売依頼の他に、ライセンスの提供、ガイド、装備提供その他のサービスの提供及び販売許可の提供があります。

(2) 熱帯林・サンゴ礁保全法(旧熱帯林保全法)
熱帯林保全法は、違法伐採の削減を目的として、違法伐採対策が必要な熱帯林が分布する国と債務取引を行い、債務取引により生み出された資金を債務国の伐採活動の監視、違法伐採対策要員の訓練その他の熱帯林保護事業の支援に利用するための法律です。この法律は、米国への違法伐採木材の流入防止効果をもたらすものとして実施されています。2021年に熱帯林・サンゴ礁保全法と改題され、元の法律の権限は2026年度まで延長されました。

3)保護種に係る法令

米国では、絶滅の危険がある動植物を連邦法である絶滅危惧種法または各州の州法により保護しています。
絶滅危惧種法は、絶滅の危機に瀕している種及び絶滅危惧種が依存している生態系を保護する手段及びプログラム提供し、これらの種に該当する動植物の保護を目的とする連邦法です。この法律では、絶滅の危機に瀕している種及び絶滅危惧種に該当する種を決定してリストを作成し、このリストに掲載している種及びワシントン条約その他の米国が批准している国際条約が指定している保護種に係る次の行為を禁止しています:

  1. 米国への輸入または米国からの輸出。
  2. 米国内または米国領海内での採取または捕獲。
  3. 公海への輸送。
  4. i項及びii項に違反して捕獲した種の所有、販売、配達、運搬、輸送または出荷。
  5. 州間もしくは外国間の商取引または商業活動における配達、受領、運搬、輸送または出荷。
  6. 州間もしくは外国間の商取引での販売または販売依頼

2020年12月現在、絶滅危惧種法のリストには、4種の樹木を含む1,636種の動植物が掲載されています。
なお、絶滅危惧種法のリストに掲載されていないものの、州によっては州の法令で独自に保護種を指定している場合があるので注意を要します。

4)森林減少防止に関する法令

米国の州・連邦議会には、森林減少に関連する商品(パーム油、大豆、ココア、木材・パルプ、牛肉等)の取引を回避するための下記の法案が提出されていますが、2022年8月23日現在、いずれの法案もまだ成立していません。

  • カリフォルニア州森林減少防止調達法(公共事業:木材・木材製品)案(California Deforestation-Free Procurement Act: public works projects: wood and wood products)
  • ニューヨーク州森林減少防止調達法案(New York Deforestation-Free Procurement Act)
  • 2021年「海外法治と環境保全型貿易法案(Fostering Overseas Rule of Law and Environmentally Sound Trade(“FOREST”)Act of 2021

3. 主要関連法令

1)連邦法

  • 1976年国有林管理法(the National Forest Management Act of 1976)
  • 1976年連邦有地政策管理法(the Federal Land Policy and Management Act of 1976)
  • 1990年森林資源保護不足緩和法(the Forest Resources Conservation and Shortage Act of 1990)並びに1993年及び1997年の同法改正法。
  • 1897年有機管理法(the Organic Act of 1987)。
  • レイシー法(the Lacey Act)
  • 熱帯林・サンゴ礁保全法(the Tropical Forest Conservation Act)
  • 絶滅危惧種法(the Endangers Species Act)

2)州法

  • ワシントン州林業施業法(Forest Practices)
  • ワシントン州「林業施業規則」(Practices and Procedures)
  • オレゴン州オレゴン林業施業法(Oregon Forest Practice Act)
  • オレゴン州「林業施業規則」(林業施業計画規則、伐採施業規則、再造林施業規則その他の計22件の林業関係規則の総称)
  • 各州の動植物保護に係る州法

4. 主要関係行政機関

1)連邦機関

機関名 業務内容/公開情報 URL
農務省山林局
(Forest Service)
連邦有林の61%を管理し、木材の生産販売業務を実施。ウェブサイトで木材販売関連情報、林業関連資料を提供。 https://www.fs.usda.gov/[外部リンク]
農務省動植物検疫局
(Animal and Plant Health Inspection Service)
輸入物品へのレイシー法遵守監督を実施。ウェブサイトで動植物の輸入に係るガイドラインや情報を提供。 https://www.aphis.usda.gov/[外部リンク]
レイシー法関連情報は、
https://www.aphis.usda.gov/aphis/ourfocus/planthealth/import-information/lacey-act[外部リンク]
内務省土地管理局
(Bureau of Land Management)
連邦有林の16%を管理し、木材の生産販売業務を実施。 https://www.blm.gov/[外部リンク]
内務省野生生物局
(Fish and Wildlife Service)
野生生物保護を主な業務とする絶滅危惧種法執行の主務官庁。 https://www.fws.gov/[外部リンク]
絶滅危惧種に係る情報は
https://www.fws.gov/endangered/[外部リンク]
国家安全保障省
税関国境警備局
(Custom and Border Protection)
税関業務、輸出入管理等の主務官庁。ウェブサイトでレイシー法関連を含む具体的な輸入手続に係るマニュアルや資料を提供。 https://www.cbp.gov/[外部リンク]
司法省
(Department of Justice)
ウェブサイトで連邦法の検索ができる他、裁判の結果を伝えるJustice Newを掲載。 https://www.justice.gov/[外部リンク]

2)州政府機関

機関名 業務内容/公開情報 URL
ワシントン州天然資源省
(Department of Naturel Resources)
ワシントン州内の連邦有林以外の森林を管理。ウェブサイトで林業に係る州法や手続の情報を提供。 https://www.dnr.wa.gov/[外部リンク]
オレゴン州林業省
(Oregon Department of Forestry)
オレゴン州内の連邦有林以外の森林を管理。ウェブサイトで林業に係る州法や手続の情報を提供。 https://www.oregon.gov/[外部リンク]

5. 民間の森林認証システム

米国では、FSC(Forest Stewardship Council)並びにSFI(Sustainable Forestry Initiative)及びATFS(American Tree Farm System)による森林認証が行われています。この内、SFIは2005年12月に、ATFSは2008年8月にPEFCの承認を受けています。
FSCは2021年1月現在1,419万5,000ha(認証件数92件)、PEFCは2020年9月現在3,351万1,000ha(同90件)の米国の森林を認証しています。PEFCの認証林の内訳は、ATFSによる認証が690万4,000ha、SFIによる認証は2,660万7,000haです。FSCとPEFCが共同発表しているFSCとPEFCの両方の認証を取得している米国の認証面積(重複認証面積)は、2019年中頃の数値で907万1,000haです。集計時点は異なりますが、FSCとPEFCの認証面積の合計から、この重複面積を差し引くと、米国の実質的な認証林面積は3,863万5,000haとなり、この面積は米国の森林面積の12%に該当します。
米国においてCoC認証を取得した事業所数は、FSCが2021年1月現在2,310件、PEFCは2020年9月現在228件あり、両者を併せた件数は2,538件です。

6. 民間のリスク低減に係る取組

米国でも大手林産物企業を中心に、取扱林産物への違法伐採木材の混入の確実な防止及び違法伐採木材の取扱いがないことを第三者に示す目的で、サプライチェーン管理の強化がはかられています。サプライチェーン管理については、自社内での法令遵守の強化に加え、サプライヤーに対する審査を厳格化し、サプライヤーへの法令及び企業の調達方針の遵守に関するトレーニング機会の提供、登録制によるサプライヤー管理、サプライヤーのモニタリング及び監査の強化を行い、林産物企業から伐採地までのトラッキング及び流通過程全体の合法性確認などを実施している事例がみられます。

1)業界団体等の取組
2012年6月にレイシー法違反事件の解決のために被告のギターメーカーと政府が締結した刑事執行協定の中で実施が定められた法令遵守プログラム、大手建材流通企業のレイシー法違反裁判において、2016年2月に裁判所が被告に策定と実行を命じた政府が承認するサプライチェーン管理を含む環境コンプライアンス計画及び2017年9月にレイシー法違反の有罪判決により被告のエッセンシャルオイル製造販売会社に実施が命ぜられたコンプライアンス計画は、政府が承認したレイシー法遵守のためのプログラムとして注目されています。

広葉樹合板・単板協会(DHA)の資金提供により作成されたDHA規格は、レイシー法遵守プログラムや他国の法令を考慮し、米国国家規格の開発手続きの下で開発された、任意でありながらも国家的な合意に基づくデュー・デリジェンスに関する規格です。

国際木材製品協会(IWAPA)は、会員が自主的に活用することができる環境方針と、木材・木材製品に関する環境に配慮した調達方針を提供しています。また、コンプライアンスとデュー・デリジェンスに関するトレーニングコースを提供しています。

2)民間企業の取組
米国の大手フローリング卸売業者であるA社は、レイシー法を遵守し、合法な木材を調達するという方針を表明しており、出所が不明な木材製品を故意に購入しないこと、また原産国で違法に生産された木材製品や、サプライチェーンの一部で違法に取引された木材製品を故意に購入することはないとしています。同社の合法性リスクを最小化するための手順における主要なステップは、①情報収集、②リスク評価、③リスク管理と低減、④継続的な実施、で、国別リスク、サプライヤーリスク、製品リスクをそれぞれ評価し、「高」「低」のいずれかに分類しています。A社は、海外のサプライヤーや他の米国の輸入業者から直接フローリングを購入していますが、リスク評価を行う際は、後者の場合には、輸入業者のデュー・ケア手順を確認することとしています。追加的なリスク評価として、A社はサプライヤーの製品の一部に対し同位体分析を行っています。毎年、検査計画と検査結果をすべてのサプライヤーに共有しています。これは、木材の伐採地について虚偽の情報を提供した場合には摘発されるリスクがあることをサプライヤーに認識させ、正確な製品申告を行うよう促すことにあるとのことです。

7. 合法性の確認に活用できる書類の事例

米国では、公的機関は合法性確認ができる書類を発行していません。
合法性の確認に活用できる森林認証による書類以外のものには、米国広葉樹輸出協会が発行しているアメリカ広葉樹環境プロファイル(PDF : 1,880KB)及び同協会が承認したインボイス(船荷証明書)(PDF : 147KB)があります。
同協会のウェブサイト[外部リンク]は、環境プロファイル策定の背景、合法性の根拠及び書類の記載内容に係る情報を日本語で提供しています。
環境プロファイルまたは同協会が承認したインボイスが発行できる米国広葉樹輸出協会の会員企業リストは、同協会本部のウェブサイト[外部リンク]に掲載されています。

8. 委託・補助事業の成果

(1) 令和元年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち海外情報収集事業報告書下巻(令和3年3月)(PDF : 16,700KB)
(該当ページはp1~p136)

(2) 令和3年度林野庁委託事業「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国リスク情報活用に向けた調査報告書下巻(令和5年3月)(PDF : 2,048KB) (該当ページはp7~p48)

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