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合法伐採木材等に関する情報:ドイツ連邦共和国

ドイツ連邦共和国

(2023年4月1日:新設)

注 国別情報については、次の調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

注 リスク低減に関する事例等についてはこちら(PDF : 23,379KB)

1.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

1)合法伐採木材に関連する法令

ドイツでは、EU木材規則(EU Timber Regulation, EUTR)の国内実施法として、2つの法律が制定されています。

  • 「違法に伐採された木材の商取引を防止するための法律(木材流通確保法 、Gesetz gegen den Handel mit illegal eingeschlagenem Holz, Holzhandels-Sicherungs-Gesetz, HolzSiG) 」(2011年7月制定)
  • 「木材流通確保法に関する一般行政規則(Allgemeine Verwaltungsvorschrift zum Holzhandels-Sicherungs-Gesetz und zur Aufhebung von Verwaltungsvorschriften im Bereich des Rechts über forstliches Vermehrungsgut, HolzSiGVwV) 」(2013年11月制定)

(1) 国産材の合法性確保
違法に伐採された木材の商取引を防止するための法律(HolzSiG)に、国産材は州法によって定められた各管轄官庁が責任を負うことが規定されています。木材流通確保法に関する一般行政規則(HolzSiGVwV)は、州法で定められた管轄官庁が、HolzSiGに基づいて、ドイツ国内で統一的な監視を行うために制定されました。監視の対象となる市場参加者は、ドイツ国内で木材を伐採し国内市場に初めて流通させる森林所有者と小規模個人木材購買者(立木のまま木材を購入し自分で伐採する)であり、監視のための一般原則として、HolzSiGに加えて連邦と州の森林法、自然保護法に従うことが明記されています。

HolzSiGVwVでは、市場参加者は下記の情報を5年間保管することが求められています。連邦州の管轄官庁はそれを監視します。

  • 製品の種類、流通している木材の種類
  • 伐採が行われた州、地域
  • 体積、重量、製品単位の数
  • 木材が納入された購買者の名前と住所
  • 木材が現在効力を有する法規に適合していることを明示する正式文書、又はそれを明示するその他の証明書

また、市場参加者がドイツ連邦共和国内の土地で自己の責任において木材を伐採した場合、その市場参加者が木材伐採に関するすべての法令を遵守していると自分自身で判断できていると確認することができれば、リスク評価手続き、リスク軽減手続きを適用した調査は必須ではないとしています。

(2) 輸入材の合法性確保
ドイツでは、輸入材の合法性確認は、EUTRに従って実施されています。違法に伐採された木材の商取引を防止するための法律(HolzSiG)では、EUTRで要求される記録文書が保管されていない、デューデリジェンスを実施しない等に対し罰金(最高5万ユーロ)が課されます。EUTRに関連した施策の実施は、連邦食糧・農業・消費者保護省(Bundesministerium für Ernährung und Landwirtschaft: BMEL)の下部組織である連邦農業食料機関(Bundesanstalt für Landwirtschaft und Ernährung: BLE)が、BMELの責任の範囲内で行うことになっており、EUTRの管轄官庁(CA)として登録されていますが、輸入木材に関する監督のみを担当しています。HolzSiGには、EUTRの実施のために税関が協力することが規定されています。税関からCAであるBLEには、EUTRに関係するHSコードのすべての貨物のリストが共有され、CAは検査にその情報を活用しています。

2)主要関連法令

  • 「違法に伐採された木材の商取引を防止するための法律(木材流通確保法 、Gesetz gegen den Handel mit illegal eingeschlagenem Holz, Holzhandels-Sicherungs-Gesetz, HolzSiG) 」(2011年7月制定)
  • 「木材流通確保法に関する一般行政規則(Allgemeine Verwaltungsvorschrift zum Holzhandels-Sicherungs-Gesetz und zur Aufhebung von Verwaltungsvorschriften im Bereich des Rechts über forstliches Vermehrungsgut, HolzSiGVwV) 」(2013年11月制定)

3)関係行政機関一覧

行政機関 役割
連邦食糧・農業・消費者保護省(Bundesministerium für Ernährung und Landwirtschaft: BMEL) EUTRに関連する施策の実施
連邦農業食料機関(Bundesanstalt für Landwirtschaft und Ernährung: BLE) EUTRの管轄官庁(輸入材)

4)合法伐採木材に関連する法令の運用

ドイツは、EUの中で検査実施数が多い国の1つで、毎年200件を超える検査が実施されています。検査対象となる事業者の選定では、税関から提供されるデータに基づいたリスクベース・アプローチと、効率性を考慮した輸入金額の大きい事業者を優先的に考慮しています。BLEは、事業者がEUTRの要求事項を満たしたデュー・デリジェンス・システム(DDS)を実行しているか、木材輸入の際にDDSを使用して必要な書類を収集、分析し、リスクが無視できることを判断しているかを検査します。2022年時点で、大手300社は少なくとも一度は検査されており、すでに数回検査されている場合もあります。

CAの見解では、輸入事業者のリスク低減措置として、森林認証は、デュー・デリジェンスが不要となるわけではないが、リスク低減のための有効な手段であるとの認識でした。CAは、事業者がサプライヤーに対して自ら監査を実施して、サプライチェーンのリスクに関連する情報を文書化することもできるが、合法性の証拠としての価値は比較的低い、また、民間企業が提供している合法性検証スキームはコストが非常に高いため、輸入事業者にとっての利用価値はあまりないかもしれないとの見解でした。事業者による科学的検査の活用は、Thünen-Instituteからの報告によれば、大幅に増加しており、最もよく活用されているのは、樹種特定のための検査のようです。

5)業界団体や事業者によるリスク低減措置に関する事例

ドイツ木材貿易協会(Gesamtverband Deutscher Holzhandel e. V., GD Holz)の子会社のGD Holz Service 社は、EUTRに対応するためのコンサルテーション・サービスを、GD Holz会員に対しては特別価格で提供しています。DDSをパッケージとして提供していて、情報収集、リスク評価、リスク低減の各段階でテンプレートが準備されており、ユーザーはそれに従って記入していくことで、デュー・デリジェンスを完了することができます。リスク評価では、独自の「デシジョン・ツリー」(フローチャート)を提供していおり、ツリーに沿って各質問に回答することでリスクを評価し、その回答に対応したポイントを加算し評価する方法となっています。GD Holzは、森林認証がBLEの検査に有効なリスク低減措置の一つであるとしながらも、CPIが非常に低い国からの輸入の場合は虚偽のリスクがあるため、森林認証さえも問題となると指摘しています。しかし、森林認証された熱帯材の入手は困難であり、その他のリスク低減措置の選択肢としては、第三者による監査の手配、あるいは、企業が独自に監査を行うことですが、前者はかなりコストがかかり、後者はCAの検査で証拠として認められない可能性があるとの見解でした。

GD Holz社が提供するDDSを使用している2社の事例を表にまとめました。A社は、世界中の子会社合わせて9000人以上の従業員を抱える、産業用足場の製造と型枠システムの製造と合板等の供給をおこなっている企業です。B社は、従業員18人の輸入木材の卸売企業です。B社の主な事業は、すでに加工された木材製品(窓枠用集成材、端材パネル、集成材、モールディングなど)の輸出入で、主な顧客は窓・ドア業界の企業や小売店です。

A社(アフリカ諸国からの輸入事例) B社
情報収集 所有権に関するコンセッション契約や伐採許可証、売買契約、請求書や領収書などの関連書類、サプライチェーンに沿った輸送書類などを収集 森林から輸出までの製品サプライチェーンの全ステップをくまなく示し、合法的に伐採された木材であることを証明する書類(コンセッション契約と伐採許可証)を収集。
リスク評価 GD Holzが提供するデシジョン・ツリーに従って実施 GD Holzが提供するデシジョン・ツリーに従って実施

CPIを重視
リスク低減措置 森林認証を主に活用。ヨーロッパからは主にPEFC認証材、南米やアジアからはFSC認証材。

サプライヤー訪問による現地監査を実施しているが、上流サプライヤーまで監査するのは困難

科学的検査の活用を検討中

ロシア、ウクライナからバーチ合板を輸入していたが、制裁・高リスクを考慮し、取引停止中
森林認証を主に活用。

サプライヤーの現地監査も実施しているが、サプライヤーの協力なしには困難

サプライヤーとの契約をしないことを決定したり、サプライヤーの変更を行ったことがある

2. 委託・補助事業の成果

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