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林野庁

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合法伐採木材等に関する情報:オーストリア

(2023年4月1日:新設)

注 国別情報については、令和4年度に実施した調査の成果等(PDF:20,299KB)を参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

1.木材生産・流通の特徴

1)森林の概要

オーストリアは、欧州の中央に位置し、国土面積の48%に当たる401.5万ヘクタールが森林です。
森林は、生産林(336万2千ヘクタール)、保護林(49万4千ヘクタール)、伐採のない森林(15万9千ヘクタール)の3種に分類されます。生産林は、さらに商業林、天然更新林、生産保護林に区分されます。
オーストリアの原木の生産量は増加傾向を示し、2021年には樹皮無しの材積で約1,840万m3に達しました。同年の原木の最大の用途は、製材品生産であり、1,040万m3が使われました。次いでエネルギー用木材、柱やパルプ材等の産業用丸太といった用途になっています。

2)木材・木材製品の貿易状況

木材製品の2021年の輸出額は、前年比37%増の58億6000万ユーロでした。木材製品の種類別では、製材品の輸出額が最大で19.9億ユーロ(木材製品輸出総額の34%)で、次いで加工木材(18.6億ユーロ(31.8%))、パーティクルボード・ファイバーボード(11.3億ユーロ(19.3%))であり、主な輸出先は、EU域内(77%)、その他のヨーロッパ諸国(11%)、日本を含むその他の国(12%)でした。
2021年の木材製品の輸入額は、約32億ユーロでした。種類別では、燃料用を含む原木が最大で(9億9,500万ユーロ(31.1%))、次いで製材品(6億9,800万ユーロ(21.9%))等であり、主な輸入先は、EU諸国からの輸入が最大(86%)で、次いでその他のヨーロッパ諸国及び開発途上国(7%)でした。

2.森林の伐採段階における法令等

1)採計画及び許可

森林法により、木材の伐採は環境リスクや危険の回避に重点を置き規制されています。伐採面積が0.5ha以上の場合(保護林では0.2ha以上の場合)、森林所有者または伐採事業者(所有者と契約を結んだ事業者)は、伐採許可を州政府の森林当局に申請する必要があります。森林当局は、再植林を条件に伐採承認を与える場合がありますが、天然林が十分に分布する場合は例外となります。さらに、森林当局は承認後に現地での遵守状況を確認します。

2)伐採の合法性が確認できる書類の事例及びその発行条件

伐採許可証は州の森林当局によって発行され、その様式は州によって異なりますが、記載内容は同じであり、場所、面積、樹種など、許可された伐採の詳細が記されています。当局の決定は申請から6週間以内に下され、伐採期間の有効期間は通知が法的効力を得てから5年後に終了します。死亡による譲渡や譲渡契約に基づく場合を除き、森林の所有権変更によっても失効します
伐採に関して、森林所有者は伐採企業に伐採やその一部を依頼することが多い。そのような場合、森林所有者と伐採企業の間で契約が結ばれます(木材伐採契約書)。

3.木材の流通段階における法令等

1)木材の流通・合法性の確保に関する法令

(1)木材の輸送

木材・木材製品の輸送に関する特別な規則はありませんが、木材取引慣行(Austrian Timber Trade Practices: ATTP)には、丸太の輸送に関する条項がいくつか含まれています。国際的な陸上輸送が伴う場合には、国際物品運送契約に関する国際条約(International Convention on the Contract for the International Carriage of Goods by Road: CMR)運送状と呼ばれる書類が必要になります。CMR運送状は道路運送の契約上の証拠となるもので、業務の範囲と責任を決定し、関係者と運送品を特定するものです。この書類には、売主(荷主)が運送業者に伝える指示が記載され、陸上輸送の際には必ず添付する必要があります。木材の原産地、樹種の種類、量、購入者の身元が記載されています。

(2)木材の加工

オーストリアでは、産業部門全般に適用される労働、安全、環境に関する規則を除けば、木材・木材製品の加工に関する特別な法律や規則はありません。ただし、オーストリアの国内加工事業者は、EU木材規則(EU Timber Regulation: EUTR)においてトレーダーに位置づけられ、「木材・木材製品を納入したオペレーターまたはトレーダー」を特定し、前者についてその記録を最低5年間保存することが義務づけられます。原木の納品には、森林・木材・紙に関する商工会議所によって設立された「フォレスト・ホルツ・ペーパー(Forst-Holz-Papier)」の納品書テンプレートが用いられます。すべての原木は納品書で記録され、木材に関する情報(供給者、購買者、品質、数量など)が含まれます。

4.木材・木材製品の輸入・輸出する際の法令・証明システムの概要及び事例

1)木材の輸入

EU域外からの木材輸入について、輸入業者はEUTRで規定されたデュー・デリジェンスを実施する必要があります。EUTRの国内法として、オーストリア政府は、木材取引監視法(HolzHÜG)を制定し、連邦森林局が輸入木材の合法性の監視と管理を行います。EU域外からの木材輸入について、同局は検査対象となる輸入事業者のデュー・デリジェンスの実施を示す書類の確認と、訪問検査を実施します。EU域内からの輸入に関して、事業者はデュー・デリジェンスの義務はありませんが、取引について記録する義務が課せられます。

2)輸出

木材の輸出は、税関の審査を受けます。必要な輸出書類は、輸出先により異なります。EU域外の国への輸出には、輸出申告書、インボイス、原産地証明書、植物検疫証明書、船荷証券、パッキングリスト、重量リスト等が必要となります。

5.その他の関連情報

1)森林認証制度の状況

オーストリアには、PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification)及びFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)の認証制度が利用されています。それぞれの認証状況は次の表のとおりです。

各森林認証の状況(2019年12月)

種類 認証面積 CoC認証
PEFC 約300万ha 667件
FSC 587ha 435件

6.合法性の確認に活用できる書類の事例

伐採許可証:シュタイヤーマーク州での皆伐に対して発行された許可証(PDF : 590KB)
発行対象 所有者または伐採事業者
発行先 シュタイヤーマーク州森林当局
木材伐採契約書(PDF : 290KB)
作成者 森林所有者及び伐採事業者
納品書(PDF : 318KB)
発行先 木材・木材製品購入事業者
作成者 木材・木材製品購入事業者
国際物品運送契約に関する国際条約 運送状(PDF : 232KB)
発行対象 荷主
作成者 荷主
原産地証明書(PDF : 182KB)
発行対象 輸出事業者
発行者 各連邦州の商工会議所
植物検疫証明書(PDF : 185KB)
発行対象 輸出事業者
発行者 各連邦州の商工会議所

7.委託・補助事業の成果

1)令和4年度「クリーンウッド」普及促進事業のうち違法伐採関連情報の提供(生産国における情報調査)
報告書(令和5年3月)(PDF:20,299KB)

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