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林野庁

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第2章 林業と山村(中山間地域)

1.林業の動向

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(1)林業生産の動向

➢ 2019年の林業産出額は、前年比1%減の4,976億円

➢ このうち5割を占める木材生産は前年比2%増の2,700億円で4年連続で増加


(2)林業経営の動向

➢ 「2015年農林業センサス」によると、林家83万戸のうち保有山林面積が10ha未満の林家が88%を占め、小規模・零細な所有構造

➢ 林業経営体による素材生産量及び労働生産性は上昇傾向

➢ 林業従事者も含めた山元への一層の利益還元に向けて、森林組合の経営基盤の強化が必要
 2020年5月、組合間の多様な連携手法の導入や、正組合員資格の拡大、事業の執行体制の強化を可能とするため、森林組合法を改正

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事例 販売の実務経験のある理事の事例(八頭やず中央森林組合)


➢ 八頭中央森林組合(鳥取県八頭町)では、販売の実務経験のある組合長のリーダーシップの下、販売実績・計画の管理に取り組み、職員間で情報開示し経営意識を共有

➢ 長期管理委託契約の締結、施業集約化に向けて説明会・座談会を精力的に実施

➢ 素材生産量が600m3(H19)から4.4万m3(H30)に伸びるなど事業量が飛躍的に上昇


(3)林業労働力の動向

➢ 林業従事者数は、2015年は4.5万人で全体として減少傾向であり、従事者の確保が重要
 一方で、林業従事者の常時雇用化は進展
 また、若年者率は全産業で低下する中、ほぼ横ばいで推移し若返り傾向

➢ 林業に従事する女性や都道府県の女性林業技術系職員による、女性同士の任意団体が各地で活動
 2020年、各任意団体の垣根を越えて、林業に関わりのある女性が集い、学び、意見を交わし合うことを目的としたオンラインネットワーク「森女もりじょミーティング」が発足


(4)林業経営の効率化に向けた取組

施業の集約化等

➢ 効率的な作業システムにより生産性向上を図るためには、複数の所有者の森林を取りまとめ、路網整備や間伐等の森林施業を一体的に実施する「施業の集約化」が必要

➢ 提案型集約化施業を担う「森林施業プランナー」の育成、森林経営計画制度の運用等を通じて、施業の集約化を推進

➢ 所有者が不明な森林、境界が不明確な森林の存在が施業集約化の課題

➢ 所有者や境界の情報等を一元的に管理する林地台帳を活用し、林業経営体に対して、施業集約化に必要となる森林情報の提供を推進

➢ 2020年6月に成立した第10次地方分権一括法による森林法改正で、地方公共団体が林地台帳の所有者情報を更新するにあたり、固定資産課税台帳の情報が利用可能に

➢ 森林GISや林地台帳等の効率的な共有のため、都道府県での森林クラウドの導入を推進

森林クラウドを活用した森林施業の集約化のイメージ

路網の整備

➢ 森林資源の充実や災害の激甚化等を踏まえ、木材の効率的な輸送を可能とするとともに、強じんで災害に強い幹線林道の整備を始め、林業・山村の基盤となる路網整備を積極的に推進


2. 特用林産物の動向

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(1)きのこ類の動向

➢ 特用林産物は林業産出額の約5割を占め、地域経済の活性化や雇用の確保に貢献

➢ 特用林産物の生産額の8割以上がきのこ類で、その生産量については近年ほぼ横ばい

➢ きのこ生産者数は減少傾向

➢ きのこ類の消費拡大・安定供給等に向けた取組を支援

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事例 地域の間伐材を活用した木質培地によるえのきたけ生産の取組


➢ 株式会社丸金まるきん(長野県長野市)は、国産スギ間伐材から作ったオガ粉等を活用した木質培地を自社生産し、えのきたけを育成

➢ 地域の間伐材を活用していることや、食感・風味が良いことなどが評価され、ミシュラン星付きレストランや高級旅館等の食材として提供

➢ きのこ収穫後の培地を廃棄せず有機堆肥等に全て活用することも評価され、特用林産物生産の取組としては初となる、ウッドデザイン賞2020(ソーシャルデザイン部門)を受賞


(2)木炭、薪、竹、漆等の特用林産物の動向

➢ 木炭の生産量は長期的に減少傾向で推移

➢ 薪の生産量は2007年以降増加傾向に転じ、2019年は4.6万m3(丸太換算)

➢ 竹材の生産量は2010年を底に増加傾向に転じたが、2019年は前年より6%減少し、107万束(3.2万トン)

➢ 国産漆の生産量は、2014年度に文化庁が国宝・重要文化財建造物の保存修理に原則として国産漆を使用する旨の通知を出したことを背景に、近年増加傾向で推移


3.山村(中山間地域)の動向

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(1)山村の現状

➢ 山村は、住民が林業を営む場であり、森林の多面的機能の発揮に重要な役割
 林業は、雇用の確保等を通じて山村の振興に貢献しており、山村の活性化のためにも林業の成長産業化が必要

➢ 「山村振興法」に基づく振興山村は国土面積の約5割、林野面積の約6割を占めるが、過疎化・高齢化が進行

➢ 過疎地域等では、空き家の増加や耕作放棄地の増大等の問題が発生

➢ 一方、山村の豊富な森林・水資源、景観、文化等に対しては、都市住民や外国人旅行客から多くの関心


(2)山村の活性化

➢ 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020改訂版)(2020年12月閣議決定)において、地方創生の基本目標達成のための施策の一つとして、林業の成長産業化が位置付け
 森林資源の循環利用を図りつつ、成長産業化を実現し、山村における雇用や所得を確保することが必要

➢ 国民の生活スタイルの変化や価値観の多様化により、健康、観光、教育等の多様な分野で森林空間を利用しようとする新たな動き

➢ こうした中、林野庁では、健康分野における「森林サービス産業」の創出・推進に向け、全国16地域でモデル事業等を実施するとともに、これらの成果等をオンラインフォーラムで共有
 また、教育分野では今後の森林環境教育の推進に向けた新たな方向性を検討

➢ 里山林の保全管理を進めるためには、地域住民等が森林資源を活用しながら持続的に里山林と関わる仕組みが必要
 地域住民等による里山林の保全管理や森林資源利用等の取組を支援
 農業被害がある地域においては、イノシシ等が出没しにくい環境(緩衝帯)をつくるため、林縁部の刈り払い、間伐等の整備を実施

➢ 山村と都市との交流を促進し、山村の関係人口の拡大を図るため、国有林の「レクリエーションの森」等の森林空間を観光資源として活用する取組や、環境教育、体験活動等の場として総合的に利用する取組を推進



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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