保護林
「保護林」は、原生的な天然林などを保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、野生生物の保護、遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究等に資することを目的としている国有林野のことです。
国有林野事業では、自然公園法の前身である国立公園法(昭和6年)や文化財保護法の前身である史跡名勝天然記念物法(大正8年)の制定に先駆け、国有林野独自の制度として大正4年に保護林制度を発足させて以来、時代の要請に合わせながら保護林の適切な保護・管理に努めてきました。
現在、保護林制度における保護林区分は、(1)森林生態系保護地域、(2)生物群集保護林、(3)希少個体群保護林の3区分となっています。
鳥海ムラスギ遺伝資源希少個体群保護林
設定年月日 : 平成3年4月(昭和41年4月学術参考保護林) 指定面積 : 13.18ha 特徴等 : 鳥海山麓の標高650mに生立しているこの地域唯一の天然スギ自生地です。スギのほかブナ、ミズナラが混生しており、スギの多くは地上3~4mで樹幹が分岐し特異な形態を示し、これは積雪量と関係が深いと考えられています。「鳥海ムラスギ原生林」として昭和48年12月に秋田県指定天然記念物に指定されていますが、平成3年の台風19号被害によって大部分がなぎ倒されてしまい、現在、区域内で大径木を見ることは出来ません。区域外では点在している生立木を見ることができます。 |
![]() 鳥海ムラスギ |
獅子ヶ鼻湿原希少個体群保護林
設定年月日 : 平成3年4月(平成9年4月拡大) 指定面積 : 26.11ha 特徴等 : 獅子ヶ鼻湿原は、鳥海山の噴火活動等によって形成された「出壺(でつぼ)」と呼ばれる湧水池があり、豊富な湧水によりかん養されて成立した湿地帯と周囲のブナ林によって構成された、独特の景観をなす湿原です。この湧水は、水温・水量とも年間を通して一定に保たれており、これまで人為の影響をほとんど受けることなく植生が遷移しているため、多様な水生・湿原植物が生育しています。 特に、流水の中と周辺にはコケの群落が有り、その規模、植物相が豊富な点でも学術上極めて価値が高ものとなっています。 平成13年1月に国指定天然記念物「鳥海山獅子ヶ鼻湿原植物群落及び新山溶岩流末端崖と湧水群」に指定されています。 |
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鳥海山生物群集保護林
設定年月日 : 平成16年3月(平成23年拡大) 指定面積 : 2,549.19ha 特徴等 : 鳥海山は、多雪山地型の垂直分布帯が典型的に発達し、秋田県側の一部にコメツガの分布が確認されているが、亜高山帯針葉樹林帯を欠いた特徴を持っています。 概ね標高1,000mまではブナ-チシマザサ群落で、その上部にはミヤマナラ、ハイマツ、ミヤマハンノキ、ナナカマド、ミネカエデ等の群落が分布し、凹地等には雪田植物群落、ヌマガヤ-ショウジョスゲ型の草原やアオノツガザクラ群落が広がっています。この地域には、鳥海山特産種であるチョウカイフスマ・チョウカイアザミや一属一種の日本海型分布をする固有属の一つであるトガクシショウマが生育しています。山頂一帯は、風衝型の矮性低木群落と火山荒原が発達しています。 |
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他の地域の「保護林」については、リンク先:東北森林管理局HPをご覧ください。
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林野庁 東北森林管理局由利森林管理署
〒 015-0885 秋田県由利本荘市水林439
TEL : 0184-22-1076