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林業専用道技術者研修(平成25年度_2)

 

林業専用道技術者研修
第一回(1日目 2日目  3日目 第二回1日目 2日目  3日目 第三回(1日目 2日目  3日目 第四回(1日目 2日目  3日目)

 第2回研修が始まりました~研修1日目(平成25年8月21日)

    本日から、平成25年度 東北ブロック林業専用道技術者研修の第2回目が、岩手県盛岡市のホテル エース盛岡において始まりました。

    当研修は、日本型フォレスター研修育成事業の一環として、森林・林業再生プランにおける今後の路網区分の一つである「林業専用道」につ いての基礎知識の習得と路線選定、設計方法等の技術の向上を目的としています。 

    今回は、測量・建設コンサルタントの職員6名、建設事業体の職員7名、合計13名が参加しています。受講者は、3日間の日程で講義・現地実習等の研修を受講します。

 

  挨拶 

    開講に当たり、東北森林管理局 伊藤盛岡森林管理署長から以下のとおりご挨拶がありました。

    「東北各地から盛岡まで足を運んでくださった研修生の皆様には、大変お疲れ様でした。今年も、豪雨による被害が全国的で発生していますが、東北地方でも7月中下旬に山形県で、8月9日には秋田県、岩手県において激甚災害に指定されるほどの想像を絶する局所的な災害が発生しました。特に、森林へのアクセスが失われたことは深刻であり、今後、多方面での影響が出てくるものと心配しているところです。このような災害に身近に遭遇して、改めて、路網アクセスによる恩恵とともに、災害に強い路網整備の重要性を再認識することにもなりました。」

    「さて、10年後の木材自給率を50%まで引き上げることを目的にした森林・林業の再生に向けて、平成23年度に見直しされた森林・林業基本計画においては、路網の整備が重要な柱として位置付けられています。日本の森林は、戦後造成された人工林を中心に毎年8千万m3ずつ蓄積量を増やしており、これは、近年の木材消費量約7千万m3を上回るレベルにあります。また、今後10年間で、人工林資源の6割が50年生以上となり、本格的な木材利用が可能と見込まれます。しかし、外材に対抗できる価格競争力を持たないことから、国産材の自給率は、依然として2割台に止まっています。そこで、意欲と能力のある経営体に森林経営の委託を進め、面的なまとまりのある施業団地を設定し、その団地の中で、高性能林業機械が十分に活躍できるように、路網密度を高めていくことが重要な課題となっています。」

    「オーストリアの林内路網密度は89m/haと、日本の18m/haの5倍以上あり、よく写真で比較紹介されますが、その等高線状に発達した路網が印象的です。急傾斜地でも、タワーヤーダー付きのグラップルなど高性能林業機械との組み合わせにより、高い生産性を実現しており、生産コストは、間伐材で比べると、日本の9,300円/m3の1/4~6割と低くなっています。日本においても、これをモデルに路網整備を進めようということですが、ヨーロッパと日本では条件が大きく異なります。ヨーロッパの大部分は、氷河で削られ、岩盤の割れ目が少ない安定した地殻からなっていますが、日本の場合は、活発な地殻変動により断層や割れ目の多い複雑な岩盤です。なおかつ、降水量が多くて浸食作用が著しいなど、不安定な地形・地質によって形成されていることに、大きなハンディキャップがあります。従来の大規模林道など、一般道に近い林道とは違って、林業専用道の場合は、尾根と谷の連続する森林内の路網整備であるため、局所的な地形・地質をよく把握することが重要です。」

    「10トン積みのトラックが走行できる線形と縦断勾配を保ちつつ、低コストで丈夫な道を造るため、構造物を少なくし、地形に応じた波形線形、こまめな排水処理等々の工夫が必要であり、これまでとは違った知識、技術、経験が求められます。日本の森林・林業の再生の実現に向け、先頭を切って取り組むべき路網整備の推進に、皆さんの力を奮って頂ければと期待する次第です。」

 

【講義の前に、各班で自己紹介を実施】

  紹介1  紹介2  

 

 

林業専用道作設指針等の概要(講義)

    なぜ、今、路網整備が必要なのかを理解するために、森林・林業再生プラン、路網の現状、路網整備の考え方、林業専用道作設指針、林業専用道の設計上・管理上の留意点等について講義が行われました。

 

                                            講義1

                                                 講師:東北森林管理局森林整備課 畠山設計指導官

 

  《森林・林業の再生に向けた改革の姿》

    改革の姿における路網整備の考え方は、 施業集約化の推進や民有林と国有林が併存する地域において森林協同施業団地の設定を推進するとともに、「林業専用道」「森林作業道」の区別を新設し、路網整備を加速化させます。

具体的には、(1) 械を組み合わせた作業システムの整備、(2) 林所有者が不明な場合にも路網整備が進められるよう措置を講じます。林業専用道の作設にあたっては、作業システムを考慮しつつ、森林作業道の取り付け箇所等の配慮が必要です。
 

                                            講義2 

 

  《路網整備の現状》  

    作業道とは、素材生産など林業の事業に用いるため、作業用の車両の通行を予定して開設する道です。 林業の事業は、いくつかの作業用機械を組み合わせて行われます。

    路網の総延長は約44万kmで、ほぼ地球11周弱(1周約4万km)となります。 路網密度は約18m/haです。

 

                                            講義3

 

  《諸外国の路網整備状況》 

    日本の路網密度はドイツの1/7、オーストリアの1/5の水準です。

 

                                            講義4 

 

  《路網整備の考え方》 

    「林道」は、原則として不特定多数の者が利用する恒久的公共施設です。

    「林業専用道」は、主として特定の者が森林施業のために利用する恒久的施設です。 林業専用道については、林道規定の自動車道1、2級の設計車両と同じ普通自動車が通行できる規格構造とすることしていますが、一般の者にわかりやすいように普通自動車(10t積み程度のトラック)と表記としていす。

「森林作業道」は、特定の者が森林施業のため利用する施設です。
 

                                           講義5

 

  《路網の区分と役割》 

    それぞれの役割を理解し、適切な組み合わせによる路網整備が重要です。

    林業専用道は、林道の一区分との位置付けであることに留意する必要があります。

                                            講義6 

 

  《林業専用道の例》 

    10t積みトラックの通行が可能であるため、森林作業道を使って集めた木材や林業専用道の沿線で伐採した木材を直接トラックに積み込んで市場へ運搬することができます。

 

                                            講義7

 

  《路網整備水準の目安》

    路網・作業システム検討委員会において、地域の諸条件にとらわれない普遍的な因子として林地の傾斜度に着目して、地域で採用される作業システムに応じて必要となる路網密度の目安が示されました。

                                           

                                            講義8

 

  《林業専用道作設指針  第4 測量・調査・設計》

    路線選定にあたっては、図上測設の段階から複数の路線を比較する方法により路線選定を行うものとします。

    林業専用道は、地形・地質の安定した箇所を通過させることが必要であることから、地形図では把握できない微地形を把握して設計する必要があります。このため、現地での直接測量(線形目標杭(とんぼ)を設置しながら、繰り返し線形の検討を行う方法)によることが原則です。

 

                                             講義9

 

  《林業専用道作説指針  第5 土工》

    切土のり面勾配は、現地の土質条件等から標準値では切土のり面の安定が保てないと判断できる場合は、必要に応じて安定のり勾配とします。

    なお、労安則では、切土高が2m未満であって、崩落のおそれがない場合は、切土のり面勾配を直とすることができることとなっています。

    盛土のり勾配は、1割2分を標準としていることから、良質な盛り土材料の使用が必須です。特に、保安林内等においては、十分な安定性を確保した構造としなければなりません。(ただし、1割5分を要求するものではない)
                                           
                                            講義10

                                           

  《林業専用道作設指針のポイント》

    林業専用道作設指針のポイントは、 (1) 地形に沿った線形とする、(2) 土構造を基本とする、(3) 波形勾配と横断排水による分散排水、であり、この考え方に基づき、詳細な規格・構造等を定めています。

 

       講義11 

     

 

 林業専用道の調査設計(演習)

明日の藪川林道における現地実習の準備として、班ごとに図面上で路線の検討と、縦横断図等から見直すべき線形、工法等について検討しました。

  演1  演2

          講師:(株)森林テクニクス青森支店 柴田業務課長

  演3  演4  

 

この演習や実習により、林業専用道の適正な線形の選択や適切な施工管理の知識を習得します。

  演19  演20

  演5  演6 

  演21  演22   

  演7  演8

          

  演23  演24    

  演9  演11

  演25  演28  

  演13  演15

 

  演26  演27

  演10  演12

  演14  演16

 

  演18  演17 

 

 研修2日目(平成25年8月22日)

現地実習 

    盛岡市藪川林道において、現地実習を行いました。

    1日目に、班ごとに図面上で検討した藪川林道の路線を実際に作設された林業専用道の線形とを比較し確認を行いました。

    また、縦横断図等から線形、工法等を見直すべきとした箇所を歩きながら確認し、線形を見直す箇所、法面緑化や構造物の必要性等について検討を行い、 検討内容について意見発表を行いました。

  実1  実2

    概況説明:東北森林管理局森林整備課 中田路網整備係長                           実習の進め方等について説明    

                                                                                                            

班ごとに踏査を実施し、見直すべき線形・工法等について検討       

  実6  追1

  実3  実5   

  実7  実8

   

踏査の途中、曲線半径と中心線形について解説がありました。

  実9  実10 

  実11  実12 

 

踏査を再開

  実13  実14

  実15  実16

  実17  実18  

 

検討内容について意見発表 

  実19  実20   

  実21  実22   

  実23  実24     

  実25  実26

  実27  実28    

  実30  実29 

  実31  実32

    

   実33  

                                                          全員で記念撮影。現地実習お疲れ様でした。

 

3日目の発表に向けた準備(演習)

    バスで岩洞湖活性化センターに移動し、遅い昼食をとった後研修会場に戻り、藪川林道の現地調査を踏まえて、5千分の1図面上で検討した路線を再検討し、図面作成と路線選定理由のとりまとめと、既設藪川林道の線形、工法等の見直すべき事項のとりまとめ作業を行いました。     

  実34  

  実35  実36

  実37  実38

  実39  実40

 

 研修3日目(平成25年8月23日)

研修最終日は、今後の活動に向けたディスカッションや林業専用道設計のポイントについて講義が行われました。

 

今後の活動に向けたディスカッション(演習)  

    一昨日、図面上で検討した路線について、昨日の藪川林道の現地調査を踏まえて再検討した図面をスライドで映しながら、路線選定理由を班ごとに発表しました。

 

<1班の発表と質疑>   

  発1  発2 

  追2  発4

   <2班の発表と質疑>

  発8  発6

  発7  発9 

  発10  発11

  <3班の発表と質疑>

  発12  発13

  発14

  <4班の発表と質疑>

  発15  発16 

  発17  発18

  発19  発20

 

    昨日の藪川林道の現地調査を踏まえて、平面図をスライドで映しながら、線形、工法等の見直すべき事項について、班ごとに発表しました。

  <4班の発表> 

  見1  見2

    <3班の発表>  

  見3  見4

  見5  

 <2班の発表>

  見6  見7  

 <1班の発表> 

  見8  見9

  見10 

 

林業専用道設計のポイントについて説明(講義)

林業専用道に求められる機能、路線選定の考え方、回避すべき地形等について講義が行われました。  

  

  説1  説2

  説3  説4

  説5  説6

    講義により林業専用道の設計のポイントを確認することができました。

 

    受講者の皆さん3日間の研修お疲れ様でした。研修で習得した知識を現場で実践して頂くとともに、地域の特性を踏まえた創意工夫等の応用能力の向上が図られることを期待しています。

第3回目の研修は、9月18日~20日の日程により同会場において実施する予定です。

 

 

 

 

お問い合わせ先

森林整備部技術普及課
ダイヤルイン:018-836-2053
FAX:018-836-2012

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