ホーム > 政策情報 > 事業概要 > フォレスター等の育成について > 2012 研修実施状況 > 林業専用道技術者研修24-4


ここから本文です。

林業専用道技術者研修(平成24年度_4)

 

林業専用道技術者研修
第一回(1日目 2日目  3日目 第二回(1日目 2日目  3日目 第三回(1日目 2日目  3日目 第四回(1日目 2日目  3日目) 

 第4回研修が始まりました~研修1日目(平成24年10月1日)

本日から、平成24年度 東北ブロック林業専用道技術者研修の第4回目が、岩手県盛岡市の「ホテルエース盛岡」において始まりました。

    今回は、福島県を除く東北5県から森林土木工事を担当している県職員11名、森林組合職員1名、森林管理署等職員9名、合計21名が参加しています。受講者は、3日間の日程で講義現地実習等の研修を受講します。

開講式1  開講式2  

開講に当たり、東北森林管理局 伊藤盛岡森林管理署長から、以下のとおりご挨拶がありました。

    「森林林業再生プランでは、路網の整備が重要な柱として位置付けられています。日本の森林は、今後10年間で、人工林資源の6割が50年生以上となり、本格的な木材利用が可能と見込まれ、路網密度を高めていくことが重要な課題となっています。」

    「例えば、オーストリアの林内路網密度は89m/haと、日本の17m/haの5倍以上あります。また、高性能林業機械との組み合わせにより、高い生産性を実現しており、生産コストは、間伐材で比べると、日本の9,300円/m3の1/4~6割と低くなっています。日本においても、これをモデルに路網整備を進めようということですが、日本の場合は、活発な地殻変動により断層や割れ目の多い複雑な岩盤であり、なおかつ、降水量が多くて浸食作用が著しいなど、不安定な地形地質によって形成されていることに、大きなハンディキャップがあります。」

    「従来の大規模林道など、一般道に近い林道とは違って、林業専用道の場合は、尾根と谷の連続する森林内の路網整備であるため、局所的な 地形地質をよく把握することが重要です。10トン積みのトラックが走行できる線形と縦断勾配を保ちつつ、低コストで丈夫な道を造るため、構造物を少なくし、地形に応じた波形線形、こまめな排水処理等々の工夫が必要であり、これまでとは違った知識、技術、経験が求められます。」

    「日本の森林林業の再生の実現に向け、先頭を切って取り組むべき路網整備の推進に、皆さんの力を奮って頂ければと期待しています。」

 

オリエンテーション

    講師スタッフの紹介、日程説明、資料確認のあと、今回から実施することになりました「ふり返りシート」活用の目的手順留意点について説明が行われました。

オリ1  オリ2

斉藤佐藤岡本の各講師

 

林業専用道作設指針等の概要(講義)

    なぜ、今、路網整備が必要なのか?どんな路網が必要とされているのか?林業専用道とは何か?林道とは何が違うのか?を理解するために、森林林業再生プラン、路網整備の現状、路網整備の考え方、林業専用道の作設指針、林業専用道の設計上管理上の留意点等について講義が行われました。

指1

講師:東北森林管理局 斉藤林道実行係長

 

《諸外国の路網整備状況》

航空写真の白い部分が路網、見てのとおり、ドイツ、オーストリアの路網密度の高さがわかります。

    ドイツオーストリアでは、恒久的な路網(大型のトラックが通行できる基幹道)が高密度で整備されており、ウィンチ付きトラクタやタワーヤーダを基幹道上に据え付けて、道端まで荷揚げ集材し、トラックで運材する作業システムが一般的です。 

    日本は地形が急峻だったり谷密度が高いなどの制約が多いことから、路網の全てをトラック道とすることは困難であるため、地域に合った作業システムに応じて、林業専用道と森林作業道を組み合わせて整備していく必要があります。

    長期的に停滞している林業を再生するためには、林業の採算性の回復を図ることが重要です。
→木材は国際価格であり今後大幅な上昇は望めないことから、採算性を回復するには生産費を縮減する必要があります。

→生産費の縮減のためには、作業システムに応じた路網整備が不可欠です。 

指2

 

 《路網整備の考え方》

プランの実現に向けて具体的な施策を検討するため、検討員会を設置し、約1年間にわたり論議検討が行われました。

検討委員会において、路網を構成する道を整理し、それぞれの役割を明確化しました。

    路網を「車道」と、主として林業用の機械が走行する「森林作業道」に区分し、さらに「車道」を一般の車両の走行を予定して開設する「林道」と森林施業専用の車両の走行を予定して開設する「林業専用道」に区分し、長期間にわたり使用していくことを前提に整備していく必要があるとされました。

指3

 

《機械台数の推移》

路網整備を推進してきたことで、プロセッサとフォワーダの組み合わせが延びてきています。

指4


《作業システムとは》

    作業システムとは、素材生産における作業の仕組みであり、「人」、「機械」、「作業の流れ」の有機的な組み合わせであり、路網と密接に関連するものです。 地域で今後導入されるであろう、導入すべき作業システムに合致した路網配置と密度を念頭に計画する必要があります。

指5

 

《曲線部の片勾配、横断勾配 》

    普通車両の最小回転半径である12mのカーブを時速15km/hで走行した場合は片勾配を設置しなくても走行できるため、全てのカーブで片勾配が不要となります。

    これによりカーブで路面水が内側に集まることはないので側溝を設置しないことができ、また、横断勾配を付けないことにより、全線にわたり側溝を設置しないことが可能です。

    側溝を設置しないことにより、幅員が減少するため土工量の減につながります。また、 側溝を設置しない場合の路面排水は、波形勾配と横断排水による分散排水とし、きめ細かな横断溝を設置します。

指6

 

《排水処理》 

    やむを得ず側溝を設ける場合は、原則素堀としていますが、マサ土等のため洗堀の恐れがある場合は、張芝等により洗堀防止対策を検討します。

原則開きょとしているのは、開きょの方が維持管理しやすいこと、閉塞による被害が少ないからです。

    洗越工は、常水と出水時の流水の差が大きい箇所や、土石等の流下が予想される箇所等で、常水以上の流水を越流処理することが適当な箇所へ設置します。地形条件、経済性等からボックスカルバート等が合理的な場合は、適切な工法を選択します。

指7

 

《林業専用道のイメージ》

地形に沿った線形により土工量を縮減できます。

切土高を低くしたうえで、保護工は行いません。 簡易な資材による横断排水工(止水エース)を設置します。

指8

 

《林業専用道の管理》

林業専用道の管理については、これまでの林道と全く同じです。

指9

 

林業専用道の調査設計(演習)

    明日の藪川林道における現地実習の準備として、班ごとに藪川林道周辺の5千分の1の図面上で林業専用道の路線検討と、平面図や縦横断面図等から見直すべき線形、工法等について検討を行いました。

テーブルを班ごとの配置に変えたところで自己紹介を実施。

設1  設2

設3  設4

 

演習内容、手順、検討に当たっての留意点等について説明。

この演習や明日実習により、林業専用道の適正な線形の選択や適切な施工管理の知識を習得します。

設5  設6

講師: (株)森林テクニクス青森支店 岡本支店長

 

班ごと演習の様子

<1班>                                                                                                                  <2班>

設7  設8   
                                                        

 <3班>                                                                                                                  <4班>

設9  設10

 

設11  設12

 

ふり返り

今回から以下の目的のため、「ふり返りシート」を活用することとしました。

毎日の研修内容について、受講者自身がその内容や理解度等を確認する

受講者間で理解度等を共有することで、新たな気づきを促す

受講者の理解度、モチベーション等を運営側でも共有し、翌日以降の研修運営に反映させる

研修最終日に毎日記載した「ふりかえりシート」を確認し、狙いの達成度や課題等を自身で検証する

 

 

 

 

《個人でシートへ記入します》

ふ5  ふ6

 

《班内で記入したふり返り内容を順番に読み上げて共有します》

ふ2  ふ4

  

 研修2日目(平成24年10月2日)

林業専用道現地検討(現地実習)

盛岡市藪川林道において、現地実習が行われました。

    実際に作設された藪川林道を歩きながら、平面図や縦横断面図から線形、工法等を見なすべきとした箇所を確認し、線形を見直すべき箇所、法面緑化や構造物等の必要性等について再検討し、検討内容について意見発表しました。  

実1  実2   

実習地の概況説明:東北森林管理局 佐藤設計指導官                                                     実習の進め方等について説明 

 

班ごとに踏査を実施し、見直すべき線形、工法等について検討 

実3  実4 

実5  実6 

実7  実8 

実9  実10 

実11  実12 

実13  実14 

実16  実15   

実17  実18

 

検討内容について意見発表 

発1  発2 

発3  発4 

発5  発6

発7  発8   

発9  実10

発11  発12

 

意見発表の途中、講師から曲線半径について解説がありました。

発13  発14 

 

発15  発16

発17  発18 

 

写真 

実習終了後、全員で記念撮影。 

 

林業専用道の調査設計(演習)

    現地実習終了後、研修会場に戻り、藪川林道の現地調査を踏まえて、5千分の1図面上で検討した路線を再検討し、図面作成と路線選定理由のとりまとめと、既設藪川林道の線形、工法等の見直すべき事項のとりまとめ作業を行いました。

ま1  ま2

ま3  ま4

ま5  ま6

ま7  ま8
 

ふり返り

ふり1  ふり2 

 

 研修3日目(平成24年10月3日)

研修最終日は、今後の活動に向けたディスカッションや林業専用道設計のポイント等について講義が行われました。

 

今後の活動に向けたディスカッション(演習)

説明

発表方法の説明

 

【一昨日、図面上で検討した路線について、昨日の藪川林道の現地調査を踏まえて再検討した図面をスライドで映しながら、路線選定理由を班ごとに発表しました。】

デ1  デ2

デ3  デ4

デ5  デ6

 

デ7  デ8

追  デ10

デ11  デ12

デ13  デ14

 

デ15  デ16

デ17  デ18

 

デ19  デ20

デ21  デ22

デ23  デ24
 

《各班からの発表後に、講師から図上選定図(正解ではなく参考)が示されました。

参1  参2

 

 【昨日の藪川林道の現地調査を踏まえて、平面図をスライドで映しながら、線形、工法等の見直すべき事項について、班ごとに発表しました。】

直1  直2

 

直3  直4

 

直5  直6

 

直7  直8

 

直9  直10

 

路網計画策定時における地域情報の事前収集について(講義)

    路網整備の留意点として、事前に整備箇所の自然的条件、社会的条件、作業システムとの親和性に係る情報を入手する必要があるため、その入手方法について講義がありました。

収集1  収集2

 

林業専用道設計のポイント(講義)

林業専用道に求められる機能、路線選定の考え方、回避すべき地形等について講義がありました。

ポ1  ポ2

ポ3  ポ4

 

ふり返り

ふり返り1  ふり返り2

 

    受講者の皆さん3日間の研修お疲れ様でした。森林・林業再生プランの実現に向けて、研修で習得したことを職場で実践されることを期待しています。

 

 

 

 

お問い合わせ先

森林整備部技術普及課
ダイヤルイン:018-836-2053
FAX:018-836-2012