西表島の森林
西表島を含む南西諸島は、東西南北約1,000kmに渡って弓状に広がり、その形成過程や地理的隔離によって多様な生物相が成立し、島ごとに固有の種・亜種が分化する等、生物学的にも非常に興味深い地域となっています。
西表島は、南西諸島の中でも最も西端にあたる八重山列島に属し、面積約28,900ha、沖縄県内では沖縄本島に次ぐ2番目に大きな島です。島の約9割が森林に覆われ、その大部分の約24,600haが国有林です。
仲間川や浦内川などの河口付近にはマングローブ林が発達し、山麓部は、主としてスダジイやオキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹を主体とする天然林に覆われています。
これらの森林には、イリオモテヤマネコをはじめ、カンムリワシ、セマルハコガメ、キシノウエトカゲといった西表島固有種や八重山地域の特産種をはじめとする希少な野生動物、ヤエヤマヤシやニッパヤシなど珍しい植物が生息・生育しています。また、川には、マリユドゥの滝、ピナイサーラの滝など、数多くの美しい滝が存在し、豊かな亜熱帯林の自然とともに素晴らしい景観を創出しています。
このため、西表島の特異な森林生態系を後世に残すことを目的として、国有林のほぼ全域を森林生態系保護地域に設定されました。(面積約22,400ha)仲間川、浦内川、ヒナイ川流域の自然休養林を含め、風致景観の維持形成が図られる等保健休養機能に配慮した森林の保護管理が行われています。
西表島のマングローブ
マングローブの生育環境に適応するために、例えば、気根のような形態的な特徴や塩分を除去する特別な生理学的な仕組みなどを発達させているものである。分類上は、陸上の近縁種から分かれており、マングローブ林では純林を形成するものの、決して陸上には進出しないものである。
マングローブ林植生の主要な要素にはならず、限定的に分布していて、大規模な純林を構成することがほとんどないものである。
純粋なマングローブ林の構成種として生育することは決してなく、マングローブ林に近接して生育する陸上植生で、耐塩性や耐水性等を有する種類のものが多く、干潮帯から陸地化したところで先駆樹種になるものである。