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シュンラン

シュンラン

シュンラン
(ラン科・シュンラン属)

Cymbium goeringii(Reichb. fil.) Reichb. fil. 属名(キンビディウム)ギリシャ語のcymbe(舟)eidso(形)の2語からなり、唇弁の形にちなむ。種小名(グーリンギー)は植物採集家のグーリング(P.F.W.Goering)の名にちなむ。

奥尻島(北海道)~九州に分布。落葉樹林下に生える。草丈10~20cm。葉は細長い線形で茎の基部に多数束生。花は基部が膜質鞘状葉に包まれた茎頂に1個つき、径6~7cm、萼片と側萼片は淡緑色、平開。唇弁はやや短く、白色で赤紅色の斑点がある。花期は3~4月。

根は白くて太い菌根となっており、菌根内部には菌類がすみつき、シュンランと栄養を交換し合う共同生活をしている。別名ホクロは、唇弁に点在する紫斑をホクロ(黒子)に見立てたもの。他にジジババ(爺婆)、ゲンコツバサミ(拳骨挟み)、テングバナ(天狗花)、オナツセイジューロー(お夏清十郎)、ウグイス、ハックリなどの方言名がある。

江戸中期の「物類称呼」に「畿内でホクリ、播磨でホクロ、四国でエクリ、東国でハクリ」とあり、一説として、アカギレ治療薬として利用されるサイハイラン(方言ハクリ)の名に由来するとある。サイハイランは、花の時期に根茎を採取しよく煮て柔らかくし、十分に練って乾し固め、その表面を削って粉としたものに水を加え、これをヒビ、アカギレの患部に塗った。シュンランは地下茎を粉末にし、これを飯粒に混ぜて練り合わせたり、あるいは焼いたりしたものを、布に包み絞って出た粘液をヒビやアカギレに塗布した。このように、ヒビ・アカギレの特効薬としての用途や用法が両者共通している上、花をつけたサイハイランに比べると、シュンランの方が個体数がはるかに多く手に入りやすいところから、いつしか、シュンランがヒビ・アカギレの民間薬としてのお株を奪い、それにつれて、サイハイランの方言であるハクリがシュンランの方にも移り、やがて転じてホクロになったという。

シュンランなどの早春の植物たちはやわらかい太陽の光が大好きで、太陽光が強くなるころには木々が一斉に葉を展開し、地表部を木漏れ日程度に隠し、強い光から植物全体を守ってくれます。

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