森林・林業基本計画(抜粋)
森業等の推進による山村地域の自立的かつ持続的発展
山村地域には山や森林と深く結びついた貴重な伝統文化や習俗等が受け継がれている。また、山村地域は、森林の有する多面的機能の発揮を支える林業従事者の生活基盤としても重要な地域である。こうした山村地域について、人口減少と少子高齢化が進行する中、自立的かつ持続的な発展を図るためには、森林資源を最大限に活用して集落を維持していくことが不可欠である。
その際、森林の保健・レクリエーション機能や美しい景観に関心を持つ都市部の住民、森林整備等を通じた環境貢献を検討している企業等を対象として交流を拡大するなど、木材等生産機能にとどまらない森林の価値を活用して移住・定住の促進や所得の確保を図ることが重要である。このため、林業・木材産業の成長・発展と同時に、従来から進めている森林サービス産業を中心とした森林の総合的な活用の取組に加え、森林由来J-クレジットの活用等を通じて、人と森林との関係を深化させ、山村地域の所得の向上や豊かな森林づくりにつなげる森業を推進していく。
森業等の推進による山村地域の発展
ア.山村地域の内発的な発展
山村地域は、豊富な森林資源や美しい景観、伝統・文化等、有形無形の地域資源を数多く有している。また、林業生産活動等を通じて森林の有する多面的機能を発揮するなど、安全で豊かな国民生活を支えている。こうした山村地域の移住・定住者が継続的に生活を成り立たせていくためには、地域に存在する豊富で多様な森林資源を生かし、人材と所得を確保していくことが重要である。
このため、効率的な林業生産活動の推進、付加価値の高い木材製品の生産力強化、未利用材の熱利用等による地域内エコシステムの構築等により、林業・木材産業の成長・発展を通じ、地域内の経済循環を推進する。また、多様な収入と就業の機会の確保に向け、自伐型林業等の専ら自家労働等により木材生産等を実施する民間事業者の取組や、きのこ、木炭、薪、竹、漆等の特用林産物、広葉樹、ジビエ等の地域資源の活用と付加価値向上等を促進する。加えて、森林の総合的な活用を進め、山村地域の所得の向上や豊かな森林づくりにつなげる森業を推進し、地域外の力を生かしつつ地域の内発力を高めていく。
イ.山村集落の維持・活性化
山村地域を支える基礎的な社会は集落であり、それを構成する家々の協力が相互に結合して集落を成り立たせている。特に生活の基盤となる農林地の管理及び
利用を協働して行うことは、集落の維持・活性化を図る上で重要である。
このため、関係府省による住居、情報基盤、交通といったインフラの確保等に加えて、農林地の適正な管理及び利用を図る施策を推進する。具体的には、復旧困難な荒廃農地等への早生樹植栽等による継続的な管理と収入機会の創出、生活の身近にある里山林の継続的な保全管理や利用等の協働活動を促進する。
ウ.森業の推進
近年、都市部の住民の多様な潜在的ニーズに対応した森林空間の活用や、カーボン・クレジットの取引等を契機として適正な森林管理に取り組む動きが見られる。こうした状況を踏まえ、文化的サービスを始めとする森林の多様な生態系サービス(※1)の提供や活用を通じて、人と森林との関係を深めるとともに、林業と相まって森林所有者等に利益を生み出し、豊かな森林づくりにつなげる取組として森業を推進する。
具体的には、関係府省連携の下、森林浴やトレイルライド等、健康、観光、教育等様々な分野で森林空間を活用する森林サービス産業に加え、企業等による森林づくり活動や研修フィールドとしての森林空間の活用、森林由来J-クレジット等の活用を通じた資金循環による森林整備を推進する。企業等による森林づくり活動については、環境保全への関心が高まっていることを踏まえ、森林の整備及び保全が森林の機能に及ぼす効果に関する定量的な把握手法の調査、水源涵養機能等の定量評価の検討及び普及、SHK制度を活用した森林の二酸化炭素吸収機能の定量化等を推進する。カーボン・クレジットについては、森林由来J-クレジットに関するセミナー等を通じた企業と地域との連携事例の発信等により、生物多様性の保全や地域経済への貢献といった非炭素プレミアム価値の訴求等を促進し、取引の更なる活性化を図る。
エ.移住・定住の促進及び関係人口の創出・拡大
我が国全体の人口が減少する中、山村集落の維持・活性化に向けては、移住・定住の促進に加えて、山村地域やその住民と継続的かつ多様に関わる関係人口の創出・拡大が効果的である。
このため、関係府省連携の下、特定地域づくり事業共同組合等の枠組みの活用や、多様な人々の農林業体験等への参画を促進するとともに、林業高校や林業大学校への就学、森業への参画、半林半X(※2)、地域おこし協力隊への参加等を契機とした移住・定住や、ふるさと住民登録制度を活用した関係人口の充実を図る。
また、緑の少年団 (※3)の活動等を通じ、幼少期からの森林環境教育等を推進することで、社会の担い手となる子どもたちの森林や山村への理解や関心を高めていく。
さらに、林業研究グループ (※4)の活動等により森業を推進し、森林の多様な活用を図るとともに、森林環境譲与税を活用した都市部と山村地域とが交流する取組の横展開を進める。
(※1):基本法においては、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、林産物の供給等の森林の有する多面的機能の持続的な発揮が国民生活及び国民経済の安定に欠くことができないものと位置付けられている。こうした多面的機能は、自然資本が提供する恵みであり国際的には生態系サービスとも呼ばれている。
(※2):林業収入を得ながら、他の仕事でも収入を得ることにより生計を立てるライフスタイルをいう。
(※3):次代を担う子どもたちが、緑と親しみ、緑を愛し、緑を守り育てる活動を通じて、ふるさとを愛し、そして人を愛する心豊かな人間に育っていくことを目的とした団体をいう。
(※4):林業経営の改善及び林業技術の向上を主たる目的とし、林業経営に関する学習・研究活動、共同事業等を行うグループをいう。

参考:森林・林業基本計画(全文)~百年つづく「森の国・木の街」へ~(PDF:717KB)
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森林整備部森林利用課山村振興・緑化推進室
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