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「令和3年度中央国有林材供給調整検討委員会」概要

更新日:令和3年12月22日

森林管理局の管轄区域を越えた緊急的な供給調整の必要性について、林業・木材産業関係者等から御知見や御意見をいただく検討会を開催。

1.日時及び場所

令和3年12月2日(木曜日)13時00分~16時00分
林野庁AB会議室

2.議題

1.木材需給動向について
2.令和3年度各森林管理局の供給調整検討委員会の検討結果と対応状況について

3.議事概要 

【委員会の検討結果】

今般の木材輸入量の減少等に起因する国内の建築用木材不足・価格高騰(いわゆるウッド・ショック)に伴い、国産材製品への代替需要が増加し、原木需給にも大きな影響を与えているが、その影響は地域や樹種、用途により異なっており、先行きは依然として不透明である。このような状況から、引き続き、国産材の需要動向や民有林からの供給、輸入木材の動向を注視しつつ、各地域の需給動向を踏まえた国有林材の供給に取り組むべきである。なお、現時点で森林管理局の管轄区域を超えた緊急の供給調整を行う必要はない。

【主な意見】

(地域の需給状況)
〇北海道では、カラマツ丸太の在庫量が非常に少なく逼迫しており、今後、価格の動向も含めて注視が必要である。一方、トドマツ梱包材については、受注及び生産ともに順調に推移している。
〇東北では、全体的に原木が不足しており、引き合いが強く、どこも値上げしている状態で、この状況はしばらく続くと思われる。
〇関東では、国有林の立木販売の前倒しによって、原木需要に応える効果があったと思っている。製材所側からみると原木高、製品安という状況ではなく、製品に比べて、かなり原木の価格が抑えられている状況である。この原因としては、上昇しているのがKD材の価格であり、グリン材の価格は上がっていないためと考える。また、輸入材から国産材に切り替えようという動きはかなり進んでいる。
〇中部では、今年の市場における4月~11月の対前年比の実績として、素材の取扱量が140%、平均価格が120%少し切るくらいとなった。また、出材量は少なくないため、製材工場も丸太在庫を多少確保できているものの、価格は高止まりしている状況である。
〇近畿中国では、地域によって在庫が充足しているところと、不足しているところとがある。素材生産業界の基本的な問題だと思うが、地域差にも配慮した政策をお願いしたい。また、今後もウッドショックの影響は続き、一過性で終わらないと考えている。
〇四国では、ヒノキの丸太について、秋口に西日本全域で価格が上昇し、それに伴って出材が増えている。製材所側からするとありがたいが、製材の消費能力を超える出材が続いている。これまで丸太が足りなかったので製材所側も買い支えしていたが、最近はそれ以上の出材が続き、ヒノキの価格は下落している状態である。今後の価格の見通しとしては、ヒノキは輸入材からの代替需要があるので極端に下がらないと思うが、このままだと平年並に戻ってしまう可能性がある。
〇九州では、昨年6月頃、スギ丸太の平均単価が7千円程度であったが、今年に入って相場も戻り、更に2万2~3千円まで高騰した。素材生産側としては、本格的に出材した時には、価格が安くなっている可能性もあり、「材を出せ出せ」と言って出しても、何も保証はないので、加工側とも密接な付き合いが重要。

(全般的な意見)
〇寺社仏閣用の材の需要が戻らない。高品質材の需要が出て、価格が上昇しなければ、山全体の価値は上がらない。
〇今回のような木材不足・高騰の局面は、今一度、誰が在庫を持つのかということを検討する良い機会であり、乾燥材主体となったことも踏まえつつ、国による備蓄も検討してみてはどうか。
〇工場が原木不足の一方、港からは中国向けの丸太が輸出されている。国内に需要がある時は国内需要を優先すべきではないか。
〇国内の木材需給状況は、国際的に見ても不安定と言える。このような状況下で、国内の資源を活用し、国産材の供給体制を固めていくことが重要である。
〇原木不足から「木をもっと出せないか」と言われるが、山側の立場としては、一生懸命作業しても、作業員の人数自体は変わらないので、極端に出材を増やせるようになるわけではない。また、機械化と言っても、高性能林業機械が使える山は限られている。
〇アメリカの9月の住宅着工数は前月比1.6%減の155万戸程度であった。今後、アメリカでは金利を上げる政策にシフトする可能性があり、消費にどのような影響を与えるか注視する必要がある。
〇首都圏での木材商況については、極端に品不足という商品はなく、どちらかというと国産材、輸入材ともに供給過剰になりつつある。また、住宅向け木材については、ローコスト戸建て住宅の売上好調などにより、首都圏のプレカット工場で全ての樹種の価格が高止まりしているが、産地毎に価格差がでてきている。
〇原木の供給については、これ以上増やすと加工能力の上限に達し、材価の下落に繋がる可能性もあるので、今後の状況に注視しながら対応を検討する必要がある。また、備蓄の話もあがったが、民間でも直ぐ伐れる山を一定程度在庫していく取り組みも必要である。

お問合せ先

国有林野部業務課

担当者:供給企画班
代表:03-3502-8111(内線6306)
ダイヤルイン:03-3593-1675